うつになった僕は。
@momo_2023829
第1話 始まり
僕、
ただ、死にたかった。
それは、突然に来た。
なにもかもがどうでもよくなって、このまま生きていても仕方がないかなという気持ちが強くなり、クローゼットの中から手ごろなビニール紐を取り出し、体重に負けないように何重にも巻いて丈夫な紐を作った。それから、ネットで首つりの方法を検索し、ドアに紐をかけて首をつる方法をとった。これが、一番早く簡単に死ねるのだろうと信じた。
首を吊ったと同時に息ができなくて、苦しくて、首に力を入れたら目の前、視界が暗く、暗く、端から真っ黒になっていく。その時間は一瞬だったのだろうが、すごくゆっくりな気がした。そして、そのまま気を失った。
しかし、結局死ねなかった。縛りと、自分の体重にドアが耐えられなかったみたいだ。
目が覚めた瞬間に涙が流れた。
生きてる。生きてる安堵感になのか、死ねなかった悲しみなのか、わからなかったが、徐々に涙の量が増え23歳にもなって咽び泣いた。
こんなに泣いたのはいつ以来だろうか、記憶にないほどだった。
だんだん落ち着いて来て、スマホを見る余裕が出てきて見ると、会社からと母親からの着信歴が十件ほど入っていた。今まで会社に就職してから、遅刻もめったなことじゃない限り休みもせず、まじめに働いてきていたおかげか、すごく心配をかけていたみたいで、電話を折り返すと「事故か?」「大丈夫か?」など温かい言葉をかけてくれるのに対し、僕はちゃんと言葉にできず、「今日は休みます」とだけ伝えた。
そのあと、すぐに母親が家に帰ってきた。
僕の部屋はドアが外れているし、首には赤い痕、紐がまだ肩に残っていて、座り込んだまま微動だにしない。このような状況を見て、目を丸くし、
「何があったん?大丈夫なんか?」
と声をかけてくれる。それに対して、僕は、
「うん」
としか答えられず、また泣いた。
母親からも会社の上司からも、いろいろ温かい言葉をかけてくれるたびに僕は、どうして自殺なんて考えてしまったのだろうかと自問自答を繰り返し、繰り返すほどまた、死にたくなった。
迷惑をかけたのに対して、本当に申し訳なく自分が情けなくなって自分を責めた。
知らないうちに、朝から夕方に変わっていた。ようやく動けるようになったのは夜だった。
キッチンでは、母が夕飯を作ってくれていて、その匂いで今日は一日何も食べていないのに気付いた。
「もう大丈夫なん?何にも反応ないからさ。ご飯食べれるか?雑炊とかにするか?」
「うん。食べる」
「明日、とりあえず病院いこな」
「うん」
うつになった僕は。 @momo_2023829
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