第8話(最終話) 新山と小野寺╱帰還

 俺は、父親だったのか。豊子さんの年齢、そして弟だという勝也君の年齢を考えると、ヨネは俺が三度目に会いに行った晩に豊子さんを、その一年半後に勝也君を身籠った。しかもよりにもよって、彼女の生業は…、あの環境の中で俺の子を二人も産み、育てていたとは。どれだけの苦労を…。あろうことか、俺は豊子さんの傍にいたというのに、自分の娘であるということに気付くことができなかった。それだけではない、彼女が自ら死に向かっていったことを止めることが出来なかった。彼女が命を落とす時、俺は彼女からの助けを掬い上げることが出来なかった。いや、あの時、むしろ助けを求めるものなど感じなかった、彼女から発せられたのは、余りにも穏やかな、穏やか過ぎる程の安堵だったのだ。しかし、そんなことは言い訳に過ぎないだろう。本当に、なんということだろう。俺は…、俺は何も知らずに、大馬鹿者だ、俺はなんと馬鹿な男なんだ。

 絹子さんから手渡された手紙で事実を知った時、俺の頭の中ではヨネの姿が走馬灯のように駆け巡った。ごめん、ごめん…ヨネ、ごめん。俺は、君の命も、子どもたちの命も守ることができなかった。俺はどうすればいい? 何もできない、今となっては、何も。初めての感覚だった。これが、絶望というものなのか。ヨネと別れたあの日、特攻隊として出撃した日、ヨネが死んだのだろうと知った日…、それよりもずっと、いや、比べ物にならぬほど、辛い。悲しみや寂しさではない、俺の目には悔し涙が滲み出た。だが、俺が泣いて、何になる? 俺が泣けば、ヨネは、豊子さんは、勝也君は戻ってくるのか? 違う。彼らもまた、この世にはもういない。救いようがないとは、このことではなかろうか。


くそ…。俺は、生きたかった!


どうしようもなく、初めて心の底の方から、生への渇望が、叫びが、湧き上がっていることを俺は感じ、認めた。

 

 再会の日の晩、俺達は鍋を囲んだ。徹郎さんの計らいで、大村との思わぬ再会も果たした。大村は変わらず陽気に、「小野寺伍長~、まだそんな辛気臭い格好してはる~、笑ってまうやん~、懐かしい、ほんまぁ。」などと、仲間であるが故の冗談を飛ばしてくれた。しかし、彼の年老いた姿を見て改めて、俺はこの世の者ではなくなったということを思い知らされた。また終戦直後の大村の狼狽しきった姿を知っている俺は、彼が彼らしく与えられた命を全うし続けていること、それは羨ましくもあり、今に至るまでの彼の苦しみを想うと胸に迫るものがあった。


 最初のうちは、絹子さんと徹郎さんは俺に気を遣っていたようだが、俺の方から豊子さんや勝也君の話を聞かせて欲しいと頼むと、堰を切ったように彼らに関する思い出話に花を咲かせてくれた。俺は悔しさの消えない胸中をそっと脇に置き、豊子さんや勝也君との時間を少しでも取り戻したい一心で、彼らの話に耳を傾けた。その話の端々からは豊子さんに対する愛しみや尊敬の念がひしひしと感じられ、豊子さんという一人の女性がいかに素晴らしい人間であったかを強く感じられた。俺は正直なところ、二人もの人間の親であるという実感は未だ持てずにいた。だが、自分の子である人間がこれだけ周囲に慕われ、想われ、こんなにも沢山の良い思い出を遺していったということは、とても誇らしい気持ちにさせてもらえた。これが親心と言えるのかは烏滸がましくて考えることもできやしないが、豊子さんが確かに生きていたということ。それを俺は喜び、感謝した。また、絹子さんは勝也君の話も沢山してくれた。彼は実に男らしい人間だったようだ。腕っぷしが強いという意味だけでは無く、何かを守ることに身を置いて生きたというその優しさと行動力は、俺をとうに越していたのだろうと思う。彼と会ってみたかった、酒でも茶でもいい、共に盃を交わしたかった。


 豊君は、智花ちゃんの相手を買って出て、食事に飽きた智花ちゃんと折り紙やお絵描きに勤しんでいた。二人の様子は傍目から見るとまるで父親と娘のようにも見えた。その様子を幸せそうに、だがどこか寂しそうに見つめる霞さんがいた。時間も時間になり、智花ちゃんは風呂に入る間もなくトロンとし始めたため、霞さん二階に連れて行って寝かしつけた。

 

 智花ちゃんが寝てしまい、大人だけの空間となった一階の店内は、所謂二次会の様子を呈することになった。それまで智花ちゃんの相手をし、それとなく会話に参加することを拒んでいたのであろう豊君に、徹郎さんが声をかけた。


「そういえば、豊ちゃんは、何か夢はあるのかい?」

 少し驚いたようでいて、何かしらの問いかけを受ける覚悟もあったような落ち着いた口調で、豊君が呟いた。

「夢…、ですか。」

 絹子さんは少し心配そうな顔で息子を見つめた。

「僕の夢は、家族を持つことだと、思います。」

 彼が発した、その少々意外な答えに、霞さんが無言で微笑み小刻みに何度か頷いている。既に家族を持つ彼女にとって、それは微笑ましくも複雑な夢に聞こえたのかもしれない。彼が続けて言った。

「僕は、誰かの居場所になりたいんです。僕にとって、家族とはそういうものだという思いがあります。理想論、かもしれませんが。」

 それにいち早く反応を示したのが、霞さんだった。

「誰かの、居場所?」

「はい。居場所があれば、人は生きてゆける。それは最大の幸福だと思います。逆に、居場所が無いまま生きてゆくというのは、余りにも無味乾燥で、辛いものです。」

「どうして、そう、思うの?」

霞さんが豊君を覗き込むように問うた。すると、彼は意を決したように語り始めた。


「僕は、ここに来る前、自分が一体何者なのか分からなかった。結論から言えば、そんなもの、無いんです。だって、僕らは日々変化している。地球が回っていることに気を留めずに生きているように、自分自身の変化に日々刻々と気付きながら生きている人間なんて、いやしない。だけど、確かに僕らは絶えず変化しているんです。それは細胞レベルの話でもあり、精神的な話でもある。だから、自分という人間の確固たる実態などを探しても、どこにも答えなんか無い、そう思うんです。


 だけど、あの頃、家を出た頃の僕は、それに気付いていなかった。僕はね、自分で言うのも可笑しな話ですが、就職するまで全てを人並みにこなしていたんです。勉強、人間関係、時に痛い目を見ることもあったけれど、なんとかなっていた。それなのに、就職して、ハタと周りを見渡すと、自分の姿が見えないことに気付いてしまったんですよ。自分の姿がこの眼で見えないことなんて、当然ですよね、同じ人間が二人いるわけではありませんから。でも、即ちそれは、自分の感覚が自分の物であることが前提です。だけど僕には、それが無かった。この手も指も、足も、そして頭の中さえ、自分の感覚で動かしている気がしなくなっていたんです。それを自覚してしまってからというもの、僕はそれまで出来ていたはずの「人並み」のことが出来なくなってしまった。仕事にも手が付かず、上司や同期に様子の変化を心配されるようにもなった。だいたい、僕自身も自分の変化に追いつけず、戸惑っていました。


 それからすぐに、僕はペンが持てなくなり、箸さえ使うことが難しくなりました。持つと手が震えるんですよ、勝手にね。上司に勧められて心療内科の門を叩きましたが、不安障害の一つである書痙と診断されました。ただ、診断が下され処方を受けたからといって、症状は一向に治まらなかった。反面、「どうにかしなければ」「もっと強くあらねば」という焦りは募った。それがある日、朝起きるとどうしようもなく、何か突拍子もないことをしでかしたくなったんです。そんな衝動も、もしかしたら不安障害からくる症状なのか、と考えもしました。だけど、気付くと僕は子どもの頃父と通った映画館の前にいました。そこで時間が合う映画のチケットを買って、館内に入ったんです。観たのは、『デスペラード』という作品でした。内容という内容は無い、よくあるギャングの復讐劇、そんな話だったと思います。だけど僕にとっては、架空の世界の中で人がバタバタと倒れていくフィクション丸出しなその映像、それが妙に胸に迫ってきて。泣くような話じゃあ、ないんですよきっとあの映画。でも僕は映画館でおいおい泣いてしまった。エンドロールが始まってすぐに、僕は映画館を出ました。


 そしたら、ふいに父のことを思い出しましてね。父と過ごした日々、彼の眼差し、声、そして突然の別れ。コマ劇前の広場で、僕はまたしても大泣きしてしまった、それもしゃがみ込んでね。僕は、父がいなくなって悲しかったんだ。そう、初めて実感したんです。でも、母さんだって、いや母さんの方が悲しいんだ。母さんが一番、大変なんだ。僕はせめて母さんの重荷になんかなっちゃいけない。そう思うことでずっと自分の心を守っていた部分もあったのでしょうね、だからその日まで、僕は父の死を悲しめていなかった。そう思いました。そしたら、なんだか父と母が出会ったこと、その糸を追ってみたくなりまして。一先ずその足で祖母の家に向かいました。平日の昼間にスーツ姿でやってきた孫に、祖母は少し驚いてはいましたが何かを察してくれました。それで色々と、父と母についての話を聞きました。もちろん、豊子さんの話も出ました。だけどあまり深くまでは、話したくても話せなかったのかもしれませんね。ただ、僕が気になったのがここ、網走という街の存在でした。母が僕を生み、育てた場所。母にとって、父と繋がるためのターニングポイントがここだ、僕はそう思った。祖母の家を後にして、僕は着の身着のまま、何もかもを置いて体一つになって、ここに来ました。今思うと自分でも驚きますが。そして大村さん、あなたがこの店に連れてきてくれた。それから僕は、徹郎さんに勧められてここで喫茶店をやることにして、今に至るわけです。


 気付けば、自分でも何がしたくてここにいるのか分からない、そんな時の流れに身を任せる日々でした。でも、この漂うだけの時間で、やっと気付いた。自分なんて、見つけることはできない、ってことを。ただ僕らはここにいる、それだけのことなんです。御覧の通り、僕の手は上手にホットケーキを焼けるまで、自分の感覚を取り戻した。僕は、僕だという感覚を。だからこそ、今やっと思えるんです、寂しい、と。それは良いことだと思っています。孤独というやつは、無理に楽しまなければいけない大人の嗜好品ではないのです。居場所がある者が、楽しみたい時に楽しむものなんだ。僕もそろそろそんな大人になりたいものです。でも…、母さん、ごめん。心配を、かけました。本当に、ごめん…。」


 豊君は話し終えると、絹子さんを真直ぐ見つめた。絹子さんは、微笑みながら涙を流し何度も頷いていた。彼が、「迎えに来て欲しかった」と彼女に告白した理由を、俺はなんとなく理解した気がする。彼の溶かすべき氷の一角が丸みを帯び始めているのを感じた。

 

 それから数日間、絹子さんは網走に唯一あるシティホテルに宿泊し、もう少し旅を続けると言って去っていった。旅を終えた時、豊君が空港まで迎えに行くという約束を取り付けて。霞さんは、まだ夫との関係について決断をするには至らない様子であったが、徹郎さんの勧めで、『しまざき』の二階、かつて豊子さん、そして絹子さんと豊が暮らしたあの部屋を借りて滞在することになった。家賃は不要と徹郎さんは言ったが霞さんはそれを固辞し、驚くべき行動力で網走の総合病院で医療ソーシャルワーカーの求人を見つけて応募し、職を得た。学生時代に取得した資格を十数年ぶりに生かすのだという。だが、「智花を振り回してつくづく申し訳ない」と彼女は度々口にした。たしかに時折、「パパ、大丈夫かなぁ。」といった言葉が智花ちゃんから出ることもあり、その時の霞さんは切ないような、申し訳ないような顔で、「大丈夫だよ、ごめんね。」と謝っていた。それでも智花ちゃんは、生き生きとした母親の姿と、父、祖父さながらの新たな仲間たちとの生活に純粋なる楽しみを見出している様子であった。そもそも、まだ幼い彼女にも、彼女の人生は始まっている。どんなに大人に振り回されようが、環境が世に言う完璧なものではなかろうが、仲間が、家族が、絶えず彼女の命を思いやり大切にしていれさえすれば、彼女は彼女の手で自分の人生を創り上げてゆけるはずなのだ。俺達と同じように。

 

 三ヵ月ほどが経ち、とうとう霞さんがある決断をすることになった。それは夫、宗和との離婚である。だが、彼女はとても前向きにその判断を下したようだ。離婚を期に宗和と智花ちゃんの面会を定期的に設けることができた方が、延々と別居を続けて無言を貫いてゆくより建設的だと考えたそうだ。若干気になってはいたが、今のところ豊君と霞さんの間には男女の関係というものは生じていない様子だ。豊君の方はどう思っているのか分からないが、少なくとも今の霞さんには母として、そして一人の人間として越えてみたい山があるようだ。豊君もそれに気付いているし、尊重していることだろう。彼の人生観を信じれば決して下世話なことはしないと俺は信じている。そして万が一、霞さんにとって何か不都合な事態が起きようものなら、俺がそれを許しはしないことも重々承知であろう。一方、智花ちゃんという孫のような存在を得た徹郎さんは、智花ちゃんの保育園への通園が始まってからは送迎の役目を買って出、霞さんが仕事から帰るまでの間、家では良き遊び相手として奮闘しており、以前よりも格段に若々しくなってきたように思う。実際、たまに顔を出す大村さんにも、「えらい若返ったわ~」などと褒められている。



 網走にも遅い春の日差しを感じる、清々しい朝だ。土曜日ということもあってか、霞さんは病院での仕事が休みのため、智花ちゃんと店の開店準備のため手伝いをしている。二人を見つめる豊君はなんだか嬉しそうだ。徹郎さんは智花ちゃんの送迎が無いためか、土曜日はゆっくり起きることにしているようで、まだ起きてはこない。

 俺の出る幕も久しく、彼らの穏やかな日常を見守るに徹した時間を漂っている。誰かと話すことが恋しい気もするが、この平穏な時に身を任せるのも良いものだと思う。俺は網走川沿いの船着き場に横たわっていた。誰に見られるわけでもない、このくらいは許されるだろう。そうしていると、俺はいつしかとても懐かしい感覚に襲われていた。これは、眠気だ。死んでからというもの、眠気という感覚は一度も生じないようになっていたから、俺は少々戸惑った。しかし、眠たいというのはこんなにも心地よいものだったのか。目をつむりながら、ああ、いつまでもこの感覚に浸っていたい、そう思っていた時だった。


「なにそないな所でくたばってんねん、小野寺伍長。」

 大村の声だ。しかし、どうして急に。そう不思議に思いながら、俺は強烈な眠気から目を覚まそうとした。



 目が開き体を起こすと、既にそこには大村の姿は無かった。その代わり、俺の隣には智花ちゃんが体育座りをしていた。そして俺も何故か同じような格好で座っていた。智花ちゃんがこちらを見て、ニコリと微笑む。周りを見渡したが、霞さんの姿は無い。俺は、もしや…、と思った。思い切って、俺は智花ちゃんに問うた。


「俺、誰かな?」

 智花ちゃんは可笑しそうに笑って答えた。

「おーむらのおいちゃん、でしょぉ? へんなの~。」

 ― ついに来たのだ。最期の、時だ。

俺は高鳴る胸を必死に鎮め、胸いっぱいに空気を吸った。久々に吸う、温度と湿度、味のある空気だった。そして俺は、智花ちゃんに話すことにした。

「智花ちゃん、おいちゃんの話、聞いてくれるかな。」

「いいよ?」

「ありがとう。何を言っているか分からなくてもいいんだ、だから聞いていてね。」

「うん。」

「人はね、生きたいという気持ちに正直になって初めて、生きることができるんだよ。生きたい、生きたかった、もっと生きたいのに。そんな気持ちを心で叫ぶ時、僕らはやっと一歩踏み出せる。それが、生きるということさ。幸せは、その中にある。形もなく、目にも見えず、耳で聞こえるわけじゃなく、僕らの中にある。」

「おいちゃんは、いきてるの?」

「ああ、今やっと、生きているよ。お母さんに伝えてくれるかな。僕は、これから家族に会いに行ける、ありがとう、と。」

「おいちゃんのかぞくは、どこにいるの? おいちゃん、とおくに、いっちゃうの?」

「それが、どこにいるのかは僕にもよく分からないんだ。でも、きっと幸せなところにいるよ。僕もそこに行くつもりさ。」

「でもぉ…、おいちゃんがいなくなっちゃうと、みんなさみしくなっちゃうけど…。」

「ありがとう…。」

俺は不覚にも目頭が熱くなった。

「あ、そうだ。智花ちゃんに約束してほしいことがあるんだ。守れるかな?」

「うん、いいよ。」

「どんなに生きるのが大変だと思っても、時には自分なんかが生きていてはいけないような気がしても、恥ずかしがらずに心の中で叫んでほしいんだ、「生きたいよー!」って。そうすれば、智花ちゃんも、お母さんも、智花ちゃんが大好きな人も、みんな幸せになれる。これは、秘密の魔法だ。」

「うん、わかった。ひみつのまほう、ママにもおしえてあげてもいい?」

「ははは、秘密なんだけどな。でも、智花ちゃんにお任せするよ。」

「わかった!」



 目を離した隙に、智花がどこかへ消えてしまってもう一時間も経つ。一度周辺を探しに出ていた豊さんが戻ってきた。だが、智花は一緒ではない。もし危ない所に行っていたりしたら…。


「今度は私が探しに行ってくる! 豊さん、ここで待っていて!」

 私は叫び、走り出そうとしたその時だった。智花が網走川の方面から一人てくてくと歩いて帰ってくる姿が見えた。私と豊さんは智花の名を叫び、駆け寄った。私たちの声で、電話の前で待機していた徹郎さんが店から飛び出してくる。私は爆発しそうだった不安が一気に溶け、思わず智花に怒鳴ってしまいそうになったが、それよりも彼女の小さい体を思い切り抱きしめた。私は安堵の涙を止められないまま、智花に問うた。

「智花、どこ行ってたの…。ママたち、すごくすごく、心配したんだよ?」

 智花は申し訳なさそうな顔で答えた。

「ともか、おおむらのおいちゃんと、おはなししてたの。おふねのところで…。」

「え? 大村の、おいちゃんと?」

「うん。ひみつのまほう、おしえてもらっちゃった。」

「秘密の魔法、って?」

「それは、ひーみーつ! あ、でもおいちゃん、ママにいってね、って。これから、かぞくにあいにいけるんだって、おいちゃん。」

 私と豊さんは、思わず目を見合わせた。


 あの日、智花が話した相手が本当に大村さんだったのか、私も豊さんも、誰も本人には聞いてはいない。だが、それから小野寺が私達の前に姿を見せることは一度も無かった。彼は、「何か」を、見つけることが出来たのだろうか。


 ただ、いつか家族と共にいる小野寺に再会できる日。

 それが私たちにも来ることを、願っている。

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流氷 桃 七海 @southwind

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