大福ふくふくふくちゃん3福め🌟

夢月みつき

第1話「お爺さんの落とし物」

「大福ふくふくふくちゃん3」登場人物紹介


 1. ふくりん 7歳

 主人公、ふわふわ優しい大福妖精族の男の子。

 最近、キャッチボールにハマっている。


 2. よう   8歳

 羊羹妖精族の8歳の男の子、ふくりんより一つお兄さん。

 ふくりんとは、幼稚園からの親友。


 3. お爺さん

 何か探し物をしている、不思議なお爺さん。

 白いあごひげとふくよかな体型が印象的。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ここは、スイーツ妖精村のお菓子の家公園。

 空は夕焼けに変わり、買い物や家路を急ぐ、人達も多くなっていた。



 ふくりんは、友達のようかん妖精族のようくんと、キャッチボールをして遊んでいる。

「ようくん、行くふくよ~!」

「おう、来い。ふくりん!」



 野球ボールをように投げる、ふくりん。それをナイスキャッチで、グローブで受け止めるよう。

 ボールを受け止めた、ようはお腹をさすると、ふくりんを見た。


「もう夕方だし、帰ろうぜ。腹減った」

「僕もお腹空いたふく」

 二人のお腹の虫がグ~ッと鳴る。

 ふくりんとようは、家に帰ることにした。



 ☆


 二人の家は、近所で同じ方向だ。

 てくてく二人は、田んぼのあぜ道を歩いてく。

 黒いからすが、カアカアと鳴きながら、山の方へ飛んで行くのが見えた。

 あんずお婆ちゃんのお店は、閉店時間で閉まっている。



 ふくりんとようが、道端に目をやると、一人の白いおひげを生やしたふくよかなお爺さんがキョロキョロと辺りを見回して、何かを探しているようだった。

 どこから来たのか、スイーツ村の住人ではないのは明らかだった、絵本で読んだ人間の姿をしている。



 ふくりんは、お爺さんに近づいて行き、声を掛けてみた。

「お爺さん、どうしたふく、何か落とし物?」

 お爺さんは、ふくりんとようを見て、困って八の字にしていた眉をまあるくしてニコリと微笑んだ。



「そうじゃよ、星の飾りを落としてしまってのう。それがないと、困るのじゃよ」

 お爺さんは、ふくりん達にそう言うと、また辺りを探そうとした。


「爺ちゃん、俺も探そうか?」

「ふくも一緒に探すふく~」

 ようとふくりんがそう言うと、お爺さんは二人の頭を優しく撫でて言う。

「いいのじゃよ、もう遅いから、ママの元へお帰り。心配しておるぞ」



「少しならママ、待ってくれると思うふくよ。僕、お爺さん心配ふく」

「俺も、爺ちゃんが見つけれるか。心配だ」


 そんな二人にお爺さんは、少し目を丸くしたが、しわしわの顔をほころばせて喜んだ。

「それでは、少しだけ頼もうかのう…」


 三人は、しばらく辺りを探した。

 すると、その時、ふくりんが田んぼのふちに光るものを見つけた。

「これ…綺麗なお星さま、ふく~」

 ふくりんは、瞳を輝かせ、キラキラ光る星の形をした飾りを拾い上げて手に取った。



 ふくりんが、ようとお爺さんの元に走って戻ってくる。

「お爺さん。お星さまの飾りって、もしかしてこれふく~?」



 ふくりんが持っている星の飾りを見て、お爺さんは安堵あんどして飾りを受け取る。

「そうそう…これじゃよ。ありがとの、ふくちゃん、ようくん」

 お爺さんの言葉を聞いて、二人は驚いて、不思議そうに顔を見合わせる。



「えっ、まだ俺達名前、言ってないよな?」

「うん、どうして、ふく達の名前知ってるふく?」


「わしは、子供達の名前なら全て把握はあくしとる。わしは…」

 お爺さんの手に持っている星が、光り輝くとふくりんとようの目の前には雪国で使うようなソリとそりを引く、立派な角の生えた首輪に、先程の星の飾りを付けたトナカイが現れた。



 そして、お爺さんも光に包まれ、白いポンポンの付いた赤い帽子と服を着た姿に変わっていた。

「お爺さん…!もしかして」

「サンタクロースか!?」

 喜びながら、目を丸くする二人の頭を撫でるとお爺さんは、ウインクをした。



「もうすぐクリスマスじゃのぅ、プレゼント楽しみにしておれよ」

 サンタクロースは、ふくりんとように綺麗な、クリスマスツリー用の大きな星の飾りを手渡すとソリに乗り、二人を乗せて、空を駆けて家の近くまで連れて行ってくれた。



 ☆


 眼下に広がる村の景色は、小さな二人にはとても、壮大に見えた。

 ふくりん達の村は、村の家々が密集していない為、明かりが点々と見える。


 その代わりに、空気汚染があまり無く空気が澄んでいるので、空を見上げれば星がとても綺麗に見えるのだ。


 空を飛んでいる間、夢のような時間を過ごした、二人はソリから降りるとサンタに礼を言った。


「サンタさん、ありがとう!」

「ありがとサンタさん。クリスマス待ってるふくよ~」

「ほっほっほ、二人とも、良い子でな」



 サンタクロースが乗る空飛ぶソリは、キラキラ輝く星屑を巻き上げながら、北の方角へと飛び去って行った。

「「ただいま~」」

 二人は、夢のような時間を自分の胸の中だけにしまって、家の扉を開けた。



 ☆彡おわり☆彡


 🎄🎅🎄🌟🎄🎅🎄🌟🎄🎅🎄🌟🎄🎅🎄🌟🎄🎅🎄

 最後までお読み頂いてありがとうございます。

 ☆彡メリークリスマス☆久しぶりの冬のふくちゃんでした。

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