第6話 元旦
元旦、隆行の父親である横内学は駅前の喫茶店で雪穂の父親と会っていた。
「吉岡勉です」
雪穂の父親は短くそう名乗った。
ホットコーヒーを二つ注文すると、学は本題を切り出した。
「学校は事件を隠蔽しています。隆行と雪穂さんはいじめを受けていました」
「隆行くんがいじめられているとあなたに言ったのですか?雪穂は学校でいじめられていたなど一言も言っていなかったですが」
「私が興信所に行って調べてもらいました」
「そうですか。それで興信所は何と言っているのですか?」
「それは口にするのも辛いのですが、隆行と雪穂さんは体育準備室で不良グループに性行為を強要されたそうです…。それを不良グループが撮影もしていたそうです」
吉岡勉は最初首をひねったり、鼻梁をなでたりしていたが、やがて嗚咽した。
「雪穂が…あの雪穂が……、そんな目に遭っていたなんて…。あなたの息子さんもです…。これは手を打たないといけないですね…」
「この事件は到底、受け入れることは出来ません。そこで私は一計を案じたい」
「といいますと?」
「隆行と雪穂さんをそんな目に遭わせた不良グループをひとり残らず始末しようと思うのです」
「妙案ですな」
「大阪に殺しを家業にしているものがおりまして、ひとり500万円で始末してくださるそうです」
「不良グループは何人いるんですか?」
「全員で七名です」
「3500万円ですか。安いものだ。お金は私が用意しましょう。あなたにはその殺し屋に渉外をお願いしていいですか?」
「ええ、わかりました」
学と勉は握手した。
そしてその後、ふたりは嗚咽した。
レッドクリスマス 久石あまね @amane11
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