第131話 娘を抱きながらそう誓う(挨拶と宣伝あり)


「ルーカス様っ!!」


 そんな時、セバスが血相を変えて俺の元へと走ってくるではないか。


 ちなみにダニエルの墓は家から少し離れた丘の上に作っていたりするので、その老体で走ってくるのはかなり堪えただろう。


「どうしたセバス? そんなに急いで? どこかの貴族が生意気だと宣戦布告して来たとかか?」


 なので俺はセバスに回復魔術をかけてやりながら俺の元へとそこまで急いでやって来た理由を聞く。


「か、回復魔術ありがとうございますルーカス様。……って、ち違いますぞっ!! た、確かに今ちょっときな臭い奴らはいるのも確かではありますが、今はそんな奴らなどどうでも良いのですっ!! とにかく戻ってきてくだされっ!!」

「ったく……どっかのバカ貴族からの宣戦布告ではないとすると……ま、まさかっ!?」


 そのセバスの焦り様に、どこかの貴族から宣戦布告をうけたのかと思っただが、どうやら違うらしい。


 そして、宣戦布告される意外にセバスがここまで血相を変えて俺の元まで老体に鞭を打って走ってくる理由が他にあるだろうか? と思った時、俺はピンときた。


 俺の予想が正しければ、今すぐにでも走って帰らなければならないだろう。


「そのまさかでございますっ!! 奥方様の陣痛が始まりましたっ!!」





 こういう時、男がいかに無力であるかという事を痛感させられた。


 できる事と言えば隣の部屋で子供が産まれて来るのを待つだけである。


 しかも、ただ待つという事も出来ずに部屋の中をうろうろと動き回り、なんとかはやる気持ちや、何もできないという無力感を誤魔化す事しかできないのが歯痒くて仕方がない。


 そして、何時間俺は部屋の中をうろうろしていただろう。


 何百と部屋の中を往復したその時、隣の部屋から元気な産声が聞こえて来るではないか。


 その瞬間俺は部屋を飛び出してドゥーナがいる部屋へと向かう。


 するとそこには、汗だくになりながらもやりきったという表情と母性を感じさせるような表情をしたドゥーナと、産まれた子供をお湯で洗っているマリアンとタオルを持った女性の使用人たちの姿が見えるではないか。


「旦那様……元気な女の子です……」


 だというのに、周囲は嬉しさの中にもほんの少しだけ残念そうな雰囲気をしているではないか。


「よくやったドゥーナっ!! 俺は男の子だろうが女の子だろうが関係なく嬉しく思っているぞっ!! ドゥーナに似て可愛い女の子ではないかっ! 跡継ぎが何だっ!! 男の子が産まれなければこの子に継がせれば良いっ!! 女性が継いではいけないなど、頭の固いじじばば共の考えではないかっ!! それに文句を言ってくる奴は例え皇帝陛下であろうともぶん殴れば良いっ!!」


 確かにこの世界に転生して色々とあったのだが、それら全てがどうでも良いと思えるくらいに最高に嬉しいと言うのにそんなくだらない事で俺の嬉しさの度合いが少なくなる訳などあり得ない。


 そんな俺の言葉にドゥーナは「この子はこれからお父さんのせいで大変そうね」と呟きながら微笑む。


 その微笑みは勿論、娘やマリアンヌ、そして使用人たちに領民も含めて今よりも幸せに暮らして行けるように、今まで以上に領地発展に力を入れなければと、俺はタオルにくるまれた俺の娘を抱きながらそう誓うのであった。



────────────────────────────────────────


ここまで読んでいただきありがとうございますっ!!

この作品でございますが一旦はここで完結とさせていただきますっ!

 

書籍化の話が来た場合は続きを書けるように色々と回収していない伏線や領地開拓もございますので、その場合は続きを書かせていただきますっ!! ので何卒宜しくお願いいたしますっ!!(ちらちら)


また、ここまで読んでくださった方たちは勿論誤字脱字報告をしてくださったかたもありがとうございますっ!!


基本的には睡魔と戦いながら執筆していたのでかなり助かりましたっ!!


そして、この作品を読んで面白かったという方はブックマークと星評価、レビューをしていただけますととても嬉しく思いますっ!! 


とにもかくにも、ありがとうございましたっ!!!!



 最後に宣伝でございます。



【タイトル】

最凶悪役令息に転生した俺、幼女を拾い娘として育てるも強く育て過ぎたかもしれない……。どうしよう……俺の娘は天才なのかもしれない。

https://kakuyomu.jp/works/16818093084167238724


【キャッチコピー】

そこをどけ!! お父さんだぞ!!


【あらすじ】

 前世の記憶を思い出したは良いが、どうやら俺はとあるゲームの悪役であるようだ。


 どうやらそのゲームではどのルートでも俺は死ぬようなのだが、その結末を迎える前に前世の記憶を思い出せた事は幸運だったと言えよう。


 とはいえ欲を言えば婚約者から婚約破棄をされる前に思い出して欲しかった。


 そして俺は祖父のいる別荘で夏休みを利用してゲームの知識で自身の能力強化を重点的に伸ばしていた時魔獣や魔物たちに襲われている村に出くわし、魔獣や魔物たちを一掃するも生き残っている村人はいないと思われた。


 そんな中井戸の中に身を隠す一人の少女を見つけ、養女として育てる事にするのであった。



 何卒宜しくお願い致します。(*'▽')ノ

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転生したら悪役領主として主要キャラ達から殺されるキャラクターだった為、主人公達とは関わりたくないので領地を立て直してスローライフを極め領地に籠りたい。 Crosis@デレバレ三巻発売中 @crosis7912

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