むずかしいかおしてえろいことをかんがえるの巻
男同士の約束
難しいことを考えているとき、エロい妄想にふけっているとき、私は基本的に音楽を聞かない。
音楽は私の思考の言語化の支障になるようなのだ。
音楽を聞くのは主に息抜き中か料理中である。
料理は好きな方なので、料理自体が息抜きを兼ねている場合もある。
我が家の料理番はそのとき手の空いているほうが担うということになっている。
暇な私と忙しいカジンなんてときは、私が用意し、逆もまた然りというわけだ。
そういうときは大抵、私は音楽をかけながら料理をしている。
運痴でうんちで音痴でカラオケ嫌いな私(注1)ではあるが、歌うのは嫌いではない。
そして、私は女性ボーカルの曲をよく聞く。
私の声は甲高いのだが、さすがに女性ほどは高くないと思う。
結果として、キッチンに裏声で歌いながら炒め物をする
先日もスマートスピーカーから流れてくる歌(注2)にあわせて、気持ちよく
サビにかかり気持ちよく怪鳥音めいた歌声を響かせていると、視線を感じた。
太郎丸(仮名)と次郎丸(仮名)が私から少し距離をおいたところで、じとっと見ているのである。
あきらかに不審者を警戒しているときの態度である。なんと失礼な。
「いいだろ。歌ったって」
やつらは無言だ。
「わかった。ひどい歌だったことも認める。ただ、誰にも知られたくないことだ。黙っていろよ」
やつらの視線が痛い。
「ここはひとつ、チキンジャーキーで手を打たないか」
やつらは自分たちのケージにかけていく(おやつやごはんは基本的にケージ内でもらうのがうちの決まりなのだ)。
私は先日作ったチキンジャーキーを冷蔵庫から取り出して渡す。
賄賂代わりである。
「いいか、誰にも言うなよ。男同士の約束だからな」
やつらは無言でジャーキーにかじりついているが、耳はひくひくと動いている。一応、耳を傾けてくれているみたいだ。
カジンの帰宅時間になった。
夕方の散歩も兼ねて、駅まで迎えに行く。
途中で出会ったカジンに色々と訴えかける太郎丸(仮名)と次郎丸(仮名)。
「まぁ! ふたりともたくさん、お話したいことがあるのね」
裏切ったな!
(まぁ、私たちは犬語の聞き取りがそこまでうまくないので、多分、私のジャイ◯ンリサイタルのことは、ばれていないと思う)
注1:ここらへんについては、こちらも参照していただけると幸いである。
「からあげ(レモンつき):カラオケ」『御痴走帖』
https://kakuyomu.jp/works/16817330657029655846/episodes/16817330659478625077
注2:ちなみに歌っていた曲がこれである。どうだ! 想像を絶する地獄絵図だろう!
一青窈 / もらい泣き
https://www.youtube.com/watch?v=gmxw6nAz6vY
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