第16話 次なる大陸へ

 「海底トンネル?」

 「あぁ、ドワーフたちが管理しているものでな、ウェインズ大陸に繋がっているんだ」


 温泉から戻り、寝る準備をしていると、プリメーラから明日の朝にここを発つと話していた。

 

 「ウェインズ大陸か……」


 ウェインズ大陸は魔法の向上に力を入れているカーロラ王国が治める大陸だ。

 最初に魔道具を作り出したのもこの国だと言われている。

 ブラバスに有効的で2年前、魔王討伐の時は色々と世話になっていた。


 「どうした? 不服そうな顔をしているが……」

 「いや、何でもない……」


 どのみち俺には他に行く宛もないことだし、ここは黙って彼女についていくとしよう

 

 「ちなみに行く理由は魔道具に関することか?」

 

 何気なく話をしてしまったが、その直後にしまったと思ってしまうが時既に遅し。


 「よくぞ聞いてくれた、カーロラ王国には国立博物館があってだな、そこには最古の魔道具が展示されていると言われているんだ。 また併設する図書館にはだなありとあらゆる魔導書があり、閲覧することも可能なんだ。もちろんそこには魔道具に関する——」


 プリメーラは意気揚々と語り続けていった。

 次第には理解できない用語が出てくるようになり、俺の小さな脳ではかかえきれなくなり気がつけば寝てしまっていた。


 

 「おはよう……」

 

 掠れた声のプリメーラに起こされた。

 あれからどれくらい寝ていたのだろうか、いつもなら日が昇ると当時に目が覚めるが地底では確認することができなかった。

 

 「あぁ、おはよう……ってプリメーラに起こされるなんて珍しいこともあるんだな」


 いつもは俺が起こしているのに、何かが起きる前触れとかではなければいいが。


 「そもそも寝ていない」

 「……え?」


 彼女の顔を見てみると、目の下にクマができていた。


 「仕方ないだろ! 明日にウェインズ大陸に行くこと考えたら楽しみで眠れなかったんだ!」


 子供のように目をキラキラと輝かせながら話すプリメーラを見て、俺はため息しか出なかった。


 

 「もう出発してしまうんですね」


 次の日、プリメーラが話していた海底トンネルに繋がる扉の前で長であるジネッタを始め、多くのドワーフたちが集まっていた。

 理由を聞いてみれば、鉱山の魔物を倒してくれた英雄だから、見送らないわけにはいかないらしい。


 「また、ふらっと寄らせてもらうよ、50年後までには」

 「はい、待っていますよ!」


 2人はものすごいスケールの長い会話をしていた

 長寿の種族にしか通用しない……。

 その時に俺が生きてるかわからないな。


 大勢のドワーフたちに手を振られながら海底トンネルに繋がる扉を開き、中へと入っていった。


 「真っ暗で何も見えないな……」


 扉をしめた途端、視界が真っ暗になってしまう。


 「待ってろ、今カンテラを出すから」


 直後にパチンと指を鳴らす音が聞こえる。

 プリメーラがストレージボックスを出したのだろう。


 「これじゃない、これは違う……そろそろここも整理をするか拡張するしかないか」


 真っ暗闇の中でプリメーラのぼやく声が響き渡っていた。


 「あったあった、これだ!」


 すると、すぐに視界が明るくなった。

 辺りを見渡すと集落と同じようにゴツゴツとした岩壁の中に狭い道が奥まで続いていた。

 

 「それじゃ進むとしようか」


 プリメーラが先頭を切って歩き始めた。

 

 

 「……たしか、そろそろだな」

 「どうした?」

 

 足を止めたプリメーラが壁に手を当てていく。


 「お、あったあった」


 プリメーラは壁に取り付けられた木の板を指さしていた。

 近づいて見てみると、何か文字が書かれているが、俺には読むことができなかった。


 「……なんて書いてあるんだ?」

 「『ここから上は海』と書かれているんだ」

 「海……?」

 「つまり私たちは海の下を歩いているんだ」

 「……マジ?」

 「あぁ、私は至って真面目に言ってるぞ」

 「いや、想像がつかなかったんだ」


 俺の返答にプリメーラはふふっと笑っていた。


 「私もだが、ドワーフたちも何で海の中にこんな道ができているのか解明できていないらしい」

 「そんな道を歩いて大丈夫なのか?」

 「師匠曰く、ここ100年、崩れたことはないと言っていたな」

 「ならいいけどな……」


 永遠と続くかと思える同じ道を歩き続けているが、終わりが見える気配がなかった。

 

 「そろそろ見えるはずだが……」


 先を歩くプリメーラがまたも周囲をキョロキョロと見ていた。


 「どうした? また何か書かれてるのか?」

 「いや、休める場所がどこかにあったはずだが……お、あった」


 道から外れた場所に小さな区画があり、中には石でできたテーブルと椅子が置かれていた。


 「まだまだ先は長いから、ここで休憩できるようにドワーフたちが作ったそうだ」

 

 たしかにずっと終わりなき道を歩き続けていると疲れも出てきており、少し休みたいと思っていたところだ。

 ドワーフたちに感謝をしながら、石で作られた椅子に座る。

 座り心地は……地面に座るよりはマシなところか。


 「お腹も空いただろう、出る時に師匠からもらったからこれを食べよう」


 そう言ってプリメーラはストレージボックスから包みを取り出した。

 開くと食べ物が入っていた。


 「昨日の宴の余り物だそうだ」

 「なるほど、道理でみたことがあると思ったよ」

 

 再度ドワーフたちに感謝をしながら、食べ物を食べていく。



 「……おーい、起きろ」


 全て食べ終わって、食休みをしていたのはいいが……。

 目の前でプリメーラが気持ち良さそうな寝息を立ててテーブルに突っ伏していた。


 「そういや、寝てないとか言ってたか」


 腹が膨れたことで眠気に抗うことができず、眠ってしまったのだろう。


 「……まあ、急ぐことでもないし俺も少し休むか」


 俺も彼女と同じように机に突っ伏してゆっくりと目を閉じていった。


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【あとがき】

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