愛なんてまやかしだと言う主人公。
それは、孤児だった主人公を引き取った養父母が、主人公に愛情をそそがなかったからでした。
義理の両親は自分達の利益のために主人公を育てたと、主人公はそう思っています。
そんな主人公に愛というものを教えるヒロイン。
この物語は、主人公とヒロインの純愛物語であり。
主人公が愛というものを教えられ、愛の大切さに気付かされるまでの成長の物語でもあります。
文芸寄りの表現もありますが、難しくなく、物語の情景がすっと入ってきます。
読むのが遅い私が、ほぼ一日で夢中になって読んでしまうくらい、とても読みやすいのも魅力の一つです。
それなのに、内容も技法もしっかりしていて読み応えもあります。
・特徴のある魅力的な登場人物達。
・こっそり散りばめられた数々の伏線が後半に回収されていく楽しさ。
・さりげなく描写される宝石などに関する知識など。
どれをとっても魅力がいっぱいです。
そして、最後のほうでは、しっかりタイトル回収もあります。
ああ、それで、ロミオなのねって納得できるはず!
純愛映画を見た後のような感覚を、読後感に味わえること間違いなしです。さくっと読めますので、一度読んでみませんか?
少女漫画的な作風の小説は普段全く読まないのですが,本作は不思議と読了してしまった。
登場人物が皆ハイスペックな美男美女で煌びやかな世界の住人たちという世界観に感情移入させるのは、やはり主人公の緻密な心理描写がなせる業。
芸能界のとんでもない人々と読者との接点として主人公の立ち位置が絶妙なおかげだと思う。
恋が成就するまでの展開もすごく好みで、ただ単に恋に落ちて云々という話ではないのが良い。
やはり、恋愛ものはその過程を描いてこそだと思うので、その点本作は主人公が持つ恋愛感情の捉え方の変遷を綿密に描いている。
少し陰のある主人公の内省的な心理描写好きなんですよね。
恋愛小説に求める要素をおさえつつも、やんごとなき人々の煌びやかさという普段読まないジャンルにも触れることができる良い作品でした!