箱庭の星空
いとう
第1話
それは星という名前だそうでした。
一つ、一つが宝石のように瞬きながら、けれど押し付けがましくない優しさが宙に浮かんでいました。
私は尋ねます。
「これは、これはどのようなものなのでしょうか?」
『声』は何も答えませんでした。
私は驚きました。何故なら、私の疑問や質問には、いつも
私は悩みました。
そして気づきました。
そうです、私は『声』以外に悩みというものに、折り合いをつける
漠然とした不安でした。
得てして不安というのは漠然としているものですが……、ええ、初めての経験というのはどのような思いも肥大化するものです。幼い時は注射針の巨大さに目が
星はいつまでたっても消えることはなさそうでしたから。そして私はもう、とうの昔に眠たかったから。
少しずつ重たくなる
どうして星は宙に浮くのであろう、どうしてこんなにも近くあるのだろう、どうしてこんなに明るく見えるのであろう、と。
いくら考えてみても、答えは出ませんでした。
その間も星たちは、私の周りを
そんなとき、ふと一際明るい光が
それもまた星でした。
私はこの場を支配するもの、その名前が少しわかるような気がしました。そして星というものが何故、こんなに幸せなのに
たぶん、その名前は……。
消える意識と共に私が思い出すのはそこまででした。
箱庭の星空 いとう @itou0329
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