五年熟した恋の味

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五年熟した恋の味

 お膳に出された一切れの肉は、うっすらと赤みがかっていて黒漆によく映えた。火を通していない肉ではあるが、発酵させてあるので生のまま食べられるのだという。五年に一度の祭りの日にこの村で振る舞われる、特別な肉である。

 この村では基本的に陸の動物を殺生することが禁じられていて、祭りの日にしか肉を食べられなかった。この特別な肉は栄養豊富で滋養強壮にいいらしい。祭りの次の年には、子どももたくさん産まれると言われるくらいだ。

 漆器にちょこんと乗せられた肉は一口ほどの大きさしかない。私は十七歳だから、この肉を食べるのは四回目だ。この肉を食べると楽しい気持ちになれるから、祭の日をいつも待ち遠しく思っている。

 他の人が食べている様子が気になって、顔を上げて首を回した。大広間には村人全員が集まり円になっている。上座から右回りで干支の順に座っていて、卯年の私は出入りをする襖に近いところにいた。年齢はバラバラで座っているので、隣には二回り違いの近所のおじさんがいる。

 おじさんは箸で上げたその肉をしげしげと観察し、ベロリと舌を出して舐めるように口へと収める。目を閉じて舌の上で味を吸い尽くすように堪能し、ゆっくりと噛みしだく。口から無くなることを惜しむように、消化することが勿体ないとでも言うように、五年分を味わいきるという執念を見せながら味わって、味がなくなるくらい噛んだ後に嚥下した。

「今年もいい味わいだねぇ。仁恵利ちゃん、食べないのかい? 食べないと神様のお力を貰えないよ」

「神様のお力?」

「これは神様からのお裾分けなんだよ。人は五年間で皮膚や内臓などの細胞全てが徐々に入れ替わっていくと昔から云われている。だから五年ごとに私達は神様のお力もいただかなければいけない。神様のお力も五年で身体から無くなってしまうから」

「十二歳の私と今の私は別物ということ?」

「そういうことさね」

 箸を持ち、袂を押さえて肉をつまむ。肉の赤黒い色を見ながらどんな味かを想像してみるも何も思い出せなかった。五年の間に私自身が新しくなって、舌も何も覚えていないのかもしれなかった。

 私は思いきって肉の塊を丸ごと口に入れてしまう。入れた瞬間舌の上でとろけていって、脂が口内の温度で馴染むように喉へと下りていく。優しいような懐かしいような味わいで、頭の奥のしばらく開けていない記憶が呼び起こされるような感覚がする。胎内で知ったような、自分を食べているような、不思議な気持ちだ。美味しいとか不味いとかは分からない。そんな二択で表されるような味わいではなかった。これが神様の味という物なのだろうか?

 ガリ。

 何か硬いものを噛んでしまい、自然と眉間に皺が寄る。じん、と歯の根が痺れたような感覚。砂の入ったアサリを噛んだときの嫌な歯触りだ。しかもこれは砂というよりも小石の大きさ。

 噛みながら肉と混ざった硬いものを舌で探り、空の椀にカランと吐き出す。白いツヤツヤとした石が黒漆の上に転がった。少し尖っている、乳白色の石だ。

 なんでこんなものが入っているのだろう。ねぇおじさん……と声を掛けようと顔を上げると異様な情景にぞわりと背を毛虫が這ったような恐怖を感じた。

 全員の目が、私を向いていた。

 おじさんが、おばさんが、みんなが私のことを見ている。目蓋なんて取り払ったみたいな丸い目で私のことを見ている。

 幼い子ども達は訳が分かっていなさそうな顔をしていたけれど、釣られるようにやはり私の方を見ていた。

 その目が一斉に、山の形に曲げられる。口も絵に描いたような笑みを浮かべて、口々に言うのだ。

「今年は仁恵利にえりちゃんだったかー!」

「おめでとうなぁ。これでかんざまと一緒になれる」

「仁恵利ちゃんは幸せもんじゃあ」

 あの肉を食べた瞬間に、世界が一変したようだった。みんなが良かったね、良かったねと口々に言うから悪い気はしない。しかし面のように張り付けられた表情の裏にある感情を読み取れない。何が良かったのか、誰も言おうとしない。

「仁恵利ちゃん、良かったねー」

 はす向かいで妹のように可愛がっている知歳ちとせも分からないなりに祝ってくれた。何がお祝いなのか分からなかったから、私は祝いに来たおばさんに訳を聞いてみる。

「ねぇ、あの白い石は一体何?」

「めでたいもんじゃ。仁恵利ちゃんは選ばれたんじゃ。えがった、えがった」

「選ばれたら何をするの?」

「神ざまと一緒になるんじゃあ」

「一緒にって、どういうこと?」

「幸せなことじゃあ。えがったなぁ、めでたいわ」

 何をどう聞いても、これ以上のことを教えてくれない。本質の分からない祝いの言葉は、呪いのように私の内に不安を降り積もらせる。

「五年前はお隣の千裡ちりちゃんやったもんなー。千裡ちゃんも喜んどるわ」

 「えがった」とみんなが口にする合間に、そんな言葉が挟まって頭にその人の像が結ばれた。

 千裡ちゃん。

 千裡ちゃんはお隣の家に住む、五歳年上のお姉さんだった。子どもの頃からよく遊んでくれて、本当のお姉ちゃんのように接してくれた。優しい千裡ちゃん。面倒見のいい千裡ちゃん。

「千裡ちゃんはどこへ行ったの?」

 近所のおじさんの袖を引くと、おじさんが涎を飲み込む音がする。あの肉の量は、腹を膨らせるには足りないのだろう。

「しっかりと役目を果たして神さまと仲良うしとる。何も心配することはないよ。神さまと一緒になった今、千裡ちゃんは神さまを崇めるわいらとも一生一緒におる。そもそも仁恵利ちゃんは覚えとらんか?」

 おじさんは舌で唇を舐めながら言う。

「千裡ちゃんを送ったのは仁恵利ちゃんだよ?」

 送った――五年前の記憶をゆっくりの脳の奥底から引きずり出す。確かに私は千裡ちゃんに「いってらっしゃい」と言った覚えがある。

『あたしは好きな人のところへ行くの』

 熱を孕んだ吐息混じりにそう言ったことを私は不意に思い出す。千裡ちゃんは恋をしたのだ、と私は直感で悟った。きっと素敵な人なのだろう。そして遠くへ行ってもう帰ってこないのだろうと、言葉の響きで感じ取った。

『仁恵利、また会うときは神さまのもとで』

 最後に千裡ちゃんはそう言った。神さまを信じる限り、千裡ちゃんは私達と共にいる。そう思った記憶がある。記憶が朧気なのは、やはり五年経ったからなのだろうか。

「仁恵利ちゃん、良かったなぁ」

 肩に熱い手を置いて、私のことを食い物を舐めるみたいに見るおじさんが視界に入る。下卑た笑いを口許に浮かべるこの人が気持ち悪く、この人ではないと頭の隅で誰かが言っている。この人じゃない。何が? この人ではないのだ。出会わなければいけない。あの人に。私は熱に浮かされて、存在を訴える心臓の強い音を持て余している。



「仁恵利は知らないと思うのだけれど、この村には神さまがいらっしゃるのよ。神社の座敷牢にいるの」

 祭のあと家に帰ると母親はそう教えてくれた。家に帰るなり何やら箪笥を漁っている。祭の日の間に神さまのところへ行くから、急いで準備しなければいけないらしい。

「お母さんは会ったことあるの?」

「無いわ。私は選ばれたことがなかったから。だからあなたが選ばれたことは大変名誉に思ってる」

「神さまと何をすればいいの?」

「そんなの決まってるじゃない」

 母親は選ばれた私のために箪笥の中から一番いい着物を出し、立っている私に当てがった。絹で織られた、地模様の入った真っ白い着物だった。まるで婚姻に着るような。

「神さまに恋をするのよ」

 程なくして、村で一番の長寿であり村長でたる大おばあさまが迎えに来た。大おばあさまの年は二百歳をゆうに超えていると言われている。顔には時代を超える度に増えていったのであろう皺が刻まれており、実際の年は分からないが二百歳と言われても納得がいく。しかし腰は真っ直ぐに伸び、地を踏む足取りはまだしっかりとしている辺り、言い方は悪いがまだしばらくは死にそうにない。

「仁恵利、元気でね。神さまといる限り、あなたは私達と共にあるわ」

 大おばあさまに連れられていく私に、母親は努めて笑顔で私に手を振る。どうしてだろう。めでたいことだと皆は言うのに、母親はどこか肩を落とし細めた目に滴が浮いている。隣にいる父親は、支えるように母親の腰を抱き、首に唇を付けている。両親にはきっともう会えないのだろうと悟り、二人のことを目に焼き付けておく。

「この村には『陸の人魚』と言われる神ざまがいらっしゃる。神ざまがいる限り、この村は長寿の村となり子に恵まれ栄え続けるんじゃ」

 神社へ向かう道中、大おばあさまが祭について説明してくれた。

「祭の日の今宵から翌朝にかけて神ざまに恋をして、一緒になるんじゃあ」

 神社の離れの社にたどり着き、大おばあさまは戸の鍵を開けた。月明かりがその先の下へ続く階段を薄く照らしている。大おばあさまは蝋燭に火を点し、燭台を私に渡した。

「明日の朝、遣いの者がやってくる。そのときに神ざまに恋をしていれば牢を開けてお前は神ざまと一緒になる」

「恋をしなかったら?」

「……あるめぇよ。あっしも神ざまを見たことは無いが、あっしらは神ざまに魅了される運命なのよ」

 階段の下の、更に向こうを二人で見る。今はまだ闇しか見えない。

「仁恵利、神ざまと末永うやっていき」

 大おばあさまは深い声でそう告げて、私に背を向けて帰っていった。

 軋む階段を踏み外さないように気を付けながら下りていく。その間に私はどうしても考えてしまう。神さまであれ、初めて会った者に「恋をしろ」だなんて無茶な話だ。恋をしなければ私はどうなるのだろう。役目を果たせなければ、一緒になれなければ村はどうなってしまうのだろう。一歩ずつ暗闇に足をだす度、不安が渦巻いてしまう。

 一番下に着くと、そこは格子がハマっており座敷牢になっていた。

「まぶし……」

 暗闇から湖の水面のように凛と通る涼やかな声がした。続いて酷く咳き込む声が聞こえて、蝋燭でそちらを照らす。座敷牢には男がいた。背は高く、枯れ木のように細く、骨ばった指も長い。ゆったりとした着流しを細い体に纏っている。

 『陸の人魚』というからには、足か頭が魚の姿なのかもしれないと想像していたのに、男は私と変わらず人の姿をしていた。

 いや、違っているところは無いわけではない。目鼻立ちは整っており、目元も涼やかで、睫毛は長い。纏う雰囲気も川のせせらぎのように透き通るようだ。高い位置にある格子窓から入る月明かりが彼の鼻筋を照らし、陰影が彼をより良く引き立てていた。

 瞳の色が不思議な色をしている。まばたきをする度に水面のように揺れるのだ。

 なんて美しい人なのだろう。人ならざる美しさ、とでも言うべきか。

「悪い。久々に声を出したから喉がちょっといかれてる」

 数度咳払いをして、男は牢の柵に腕をかけこちらを覗き込む。

「ここに人が来るなんて珍しいな。何か用か?」

 神さまというからにはもっと厳かなものを想像していたのに、その人は気安く声をかけた。身近な人に感じて、これならどうにかなるかもしれないと希望が生まれる。

「あなたが神さま?」

「ああ、そう呼ばれているよ。シデとか土塊つちくれと呼ばれることもある。好きに呼ぶといい」

 すん、と鼻を私の首元に寄せる。

「お前、いい匂いがするね。俺みたいな匂いがする」

「あなたに恋をしなさいって言われてて」

「そりゃあ難儀だな。命令されて恋をするなんて中々に難しいことを」

「そうなんです。そうなんですよ! あなたもそう思いますよね?」

「俺は恋というものはよく分からないからなぁ」

「恋をしたことが無いんですか?」

「無いんじゃないかな。あったとしても、もう忘れてる」

 くすりと笑い、その人は片ひざを立ててその場に座る。私も倣って、牢を隔てて対面するように座り燭台を側に置いた。

「知らない人に恋は出来ないから、あなたのことを知りたいのだけれど」

「仁恵利は頭が良いんだな。無からは愛着は生まれない」

 蝋燭の炎が揺れて、シデの輪郭も揺れる。

「俺は人である君達に似て、君達とは違う存在だよ。君達に負けた存在でもあるのだろうね。この世界で勝利したのは俺達ではなく君達の種族だった」

 シデが指し示した背後の壁には、小さく文字が書かれていた。暗くて内容まではよく見えなかった。

「人ではない故に、こうして神様として祀られて牢に入れられているのさ。畏怖すべき対象は、囲って祀り自分達とは違う立場のものとして定義することでやっと受け入れられる場合がある」

「あなたの種族はもうあなただけなの?」

「そうみたいだ」

「外に出たくは無いの?」

「外を見たい気持ちが無いわけではないよ。上の方にある窓は外に繋がっていてね。日の光も入るし、鳥の声も聞こえる。けどギリギリ景色までは見えなくて、どんなものだろうかと気になることはあるよ」

「自由になりたくはないの?」

 自由、という言葉を聞いてシデはどこか遠くを見る。その目の向こうに映るのは、この壁ではなく見ることのできない外の広い世界なのだろう。

「自由――自由とは、いいものなんだろうな。長らくここにいるから、知らないけれど」

「あなたの年は?」

「さぁ何歳だったろうな。もう覚えていない」

「寂しくはない?」

「もう寂しい寂しくないの域は越えているんだよ。同じ種族の仲間ももういないし……あんたが恋をしてくれたら、寂しくなくなるのかな」

 冗談のように言うその瞳は揺れていて、寂しさを湛えているようだった。その瞳が私の胸をざわつかせ、一つの決意を固めた。

「――一緒に外に出よう」

「出来るのか?」

「分かんない。けど、私はあなたがここにずっと閉じ込められておかれるのはおかしいと思う」

 恋をしたのかはまだ分からないけれど、私はこの人を外に出してやりたいと思った。

 座敷牢に幽閉されているなんておかしい。私達と違う種族とは言うけれど、話せば違いをほとんど感じない。こんなところに閉じ込めることなく、外で暮らすことも出来るんじゃないだろうか。

 その後もシデと話をして過ごし、朝になる。階段を上るとそこには知歳がいた。

「仁恵利お姉ちゃん、どうだった?」

「大丈夫。お役目は果たして、神さまと一緒になるわ」

 私は嘘を吐く。私の言葉を信じた知歳は私に鍵を渡してくれた。ごめんなさい、知歳。村の皆。けど私はこの人を自由にしてやりたいんだ。

「いってらっしゃい、仁恵利お姉ちゃん」

「うん、行ってくるね」

 知歳に見送られ、私は急いで階段を下りる。早くシデを外に出してやりたい。

「鍵を持ってきたのかい?」

「うん、すぐここを開けるね」

 鍵を回して牢を開ける、隔てるものが無くなって自由の身になったシデの手を取り外へ引こうとする。けれどシデの足は動かない。どうして? とシデの顔を見ると、微かに入る朝日の下で穏やかに微笑んでいた。

「ありがとう。仁恵利」

 手を絡めとり、背の高いシデが包み込むように抱き締める。胸板を感じながら、私も答えるようにシデの背に腕を回した。早くしないと。早くここを出て逃げないといけないのに、抱き締めるシデの温度が心地よい。

「お前のことが好きだよ」

 首に一瞬痛みが走り、ズブリと鋭利な物が突き刺さる。シデの歯だ。しかし痛みは急速に引いていく。麻酔が掛かったみたいだった。

「あっあっ――――」

 首筋からシデの体液が入ってきて、熱が血管を通り身体へ広がっていくのを感じる。頭が麻痺したみたいに白んで、皮膚が鋭敏になり、シデが触れている肩や背、全てが電撃が走っているみたいにヒリついた。

 気持ちよくて、気持ちよくて、本当に気持ちよくて、体液を入れられているだけなのに私の身体はビクンと痙攣して果ててしまう。

 恋というものはなんて素晴らしく素敵なものなのだろう。なんて気持ちのいい物なのだろう。

 好き。好き。好き。好き。愛してる。もっと近くに、一緒に、一つになって、味わって、交わって、あなたのものになってしまいたい。

 もっともっとと願うまま、私はシデの背に爪が食い込むほど抱き締める。

 シデに血を献上し、シデの体液をいただき、そして私は死んでしまった。

 けれど死んで終わりではない。シデと私は恋をしているから。

「処女の恋の味は美味いな。甘くて、柔らかくて、堪らない味がする。これを糧に俺はしばらく生きてられるよ」

 私の全ての血を飲み、自分の体液と入れ換えたシデは座敷の畳を外し土を掘り始めた。

「本当はね、俺に自由なんていらないのさ」

 ざ、ざ、と柔らかい土を手で掘る音が座敷牢に響く。

「俺の種族の肉は大層美味いし、食えば人魚のように不老不死になれるらしい。故にここから出るとあらゆる動物に狙われてしまうのさ。ここにいる限り俺は死なない。死にたくはないからそれでいい。俺に自由を教えてくれようとしたお前はなんて優しいんだろうね。その気持ちが嬉しいんだ。お前は俺に恋したようだが、俺は俺のことを考えてくれるお前のことを愛しているよ。だから一緒になろう。永遠に」

 シデは座敷牢の下に掘った穴に私を入れて土を被せた。穴は深くは無いから、シデの声がよく聞こえる。

「俺は毎日あんたへ語り続けるよ。なぁ、朝の鳥が鳴いているよ。あの鳥はこの時間になるとやってきて、朝を告げてくれるだ。それでね――」

 私のためにシデはいつもこうして語りかける。この土の中で過ごし、ゆっくりと私達の恋は熟成されていく。

 死にながら彼の語りを聞いて分かったことがある。彼の言う永遠とは、五年のことである。彼の種族は五年で全ての細胞を入れ換えるため、記憶も五年しか持たないのだ。

 どうやらシデが忘れた五年後に、私の肉は皆へ振る舞われるらしい。シデの体液を含み熟成した私の肉は皆の寿命を伸ばし、媚薬のような役割をして皆はまぐわい合う。私が祭の日に私が口にしたのはシデの歯だ。 首の白い歯の刺さっている部分は一際シデの体液が多く含まれていて、五年間の間にどの部位よりも柔らかく熟される。次にこの部位を食べるのは、きっと知歳なのだろう。そういう順番だから。

 私や千裡ちゃんや過去に食われた女の子達は村の皆へと配分されて、皆の血肉となり、寿命を伸ばし、子を育む。

 その子は私や千裡ちゃんや過去に食われた女の子達で出来ているから、こうして村が繁栄し続ける限り私達は永遠の恋と永遠の生を得る。巡り行く私の血はいずれも薄くなっていくけれど、過去の私達と未来の私達が恋をし続ける限りシデへの恋の濃度は上がっていく。

 そして私達は本当の永遠となり、彼を愛し続けられるのだ。

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