第4話夕日に沈む

父が亡くなって1週間、モルは鳴きながら部屋中を歩き回る。

父が姿を現せないので、昼間は屋内、屋外をニャーニャー鳴きながら歩く。

すると、夕方になると玄関先に座り、父の帰りを待っていた。

残された母は、そのモルの姿に涙した。

父が亡くなり1年後、母は名古屋で暮らす決心をした。

モルが一匹残されるので、弟の家で飼ってもらうために、モルを探すが、モルは逃げ回った。

このままでは、動物虐待になる。

しかし、この日を境に、家に帰って来なくなる。

聞くところによると、近所の方がモルを引き取り飼っていたそうな。

近所の人も事情を知っているので、モルにエサを与えていたそうな。


2年後、実家は取り壊された。

重機がどんどん、解体していく。

モルは高台で、壊される実家を眺めていた。

それは、近所に住む親戚が教えてくれた。

夕方にポツリと座り、モルは何を思ったのだろうか?

夕日が沈むまで眺めて、モルは新しい住み家に戻った。

話しを聞くと、今も元気でいるそうだ。

何ともかわいそうな猫の話しでした。


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猫と夕日 羽弦トリス @September-0919

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