婚約破棄から始まった新たな婚約、けれど婚約者とはどこか距離が空いていて。
まず、この物語を読んで思ったのが、邪悪な悪者がいないということです。
婚約破棄モノにありがちな要素として、破棄を大々的に発表して晒し上げる元婚約者だったり、それに乗っかる取り巻きだったり、裏でほくそ笑む泥棒猫だったりと、分かりやすい悪者がいます。
しかし、この作品の登場人物達は、みな良識が備わっており、婚約者さえも主人公に一定の配慮をみせていたことに好感が持てました。
また、物語の根幹となる新たな婚約者との関係も、秘密主義でありながらも思いやりが感じられて、安心して読める作風となっています。
簡潔でありながら完成された物語、ぜひ読んでみてください。