第26話 中国南部の洪水、三峡ダムで思うこと。

 最近中国の南部における洪水の頻発を見て思うことです。これはネット、特にユーチューブで面白おかしく記事になっている面があるので話半分に聞いていましたが、しかし、通常の報道としてもかなり頻度が上がり、しかも、深刻化してきました。実際巨大な湖の堤防が決壊したニュースもありました。


 気象情報の視覚化をしているサイト、WINDYを見ていても中国南部、長江や淮河あたりでは夏場はかなりの降水量で、すごいことになっているようです。


 これを見て思ったのが、例の三峡ダムです。約600キロのダム湖を従える巨大ダムですね。これが決壊すると地球の回転速度がわずかながらに変わるといわれています。

 この水力発電量は年間で1000億 kWhです。現在の日本の原発の発電量が560億kWhですから、その倍を1か所の水力発電所で賄っています。ただし、日本の原発の稼働率は20%程度です。


 ただ、その巨大水力発電所の意味ですが、このエネルギーはどこから出ているでしょう?それは川の流れです。つまり、川があってそこに水車があってそれがからからと回転して発電するのと同じことです。

 1リットルの水が1メートルの高さにたまっているのをゼロメートルまで流すのに、傾斜を作ってちょろちょろ流そうが下にそのまま落とそうが、エネルギーの総量は同じだ、といえばいいでしょうか。


 つまり、水力発電というのは川の流れを遅くする代償でエネルギーをもらっているのです。山から海に水が到達する力が犠牲になります。そうするとどうなるか?つまり、陸地に水が滞留する傾向が強くなります。


 これが中国で洪水が頻発する一つの原因ではないでしょうか。一部では乾季に水を堰き止め、雨季に水を流しているからだ、という話もあります。それも正しいでしょう。つまり、拍車をかけているのです。

 長江の標高差は5400mと言われていますが、この5400mの内、大半は山間部のチョロチョロした部分です。流域面積が巨大ですのでもっと低地になって水が集まってくる感じでしょう。


 ヨーロッパでもスイスという川の源流に近い国で水力発電が盛んだそうです。実に国の60%を賄っているそうです。で、最近ヨーロッパも洪水が多いですし、旱魃も起きています。これって、水力発電所の影響はありませんか?という話です。本当に巨大河川で水力発電して大丈夫でしょうか?大陸の河川は日本のように急に山から海に流れません。長距離をダラダラと移動します。


 論文を探しましたがありませんでしたので、妄想かもしれませんが、洪水が増えた理由は気象だけですか?ということです。


 ヒートアイランドによる人工降雨のようなプロセスも考えられますし…やっぱり再生可能とか原子力とか関係なく、使用するエネルギー総量を減らさないとまずいのではないでしょうか?



 なお、揚水型の水力発電というのもあります。これは夜間などに余ってしまう電力を使って、水を上に押し上げておきます。使用するときに落とすことで発電するもので、巨大な蓄電池と思えばいいです。この方法は実はエネルギー効率に寄与すると思いますが、どうでしょう?


 逆に日本で水力発電が盛んにならないのは、農業や漁業、飲料と発電など権利が複雑でダムを作る前提を調整するのが大変だからだそうです。








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