神様っていると思いますか?

春夏冬 しゅう

私はいると思っている派。面白そうだし

 私に霊感は無い。ので、今まで幽霊や妖怪、神様の類は見たことが無い、たぶん。まぁ肝試しに心霊スポットへ行ったりなど霊に積極的に接触しようとしたことが無いし、幸か不幸か霊感のある知り合いが身近にいなかったため縁遠いだけの可能性もあるが、ほとんど身に覚えが無いまま30年ほど生きて、それらを娯楽として楽しんでいる。

 しかし、そんな私にも少しだけ「おっ、これは?」という経験がある。なので今回のコンテストにかこつけて書いていくことにする。皆さんはそんな経験ありませんか? もしあればコメントでも、コンテスト応募作としてでも投稿してみませんか? 400文字からOKらしいですし、読みたい(私欲)。



 まず一つ目。もう5年以上前、某関西最強の縁切り神社に行った時のことだ。何か覚えていない事が主目的の旅行で、その少し前に某SNSまとめサイトで話題になっていたためついでに行けそうだから行ってみたのだ。ミーハーである。

 路線バスに乗ったは良いものの寝て終点まで行ってしまい、めんどくささと眠さでテンション駄々下がりの中なんとか辿り着いたことを覚えている。まとめサイトなどのおどろおどろしい風評とは違い、その鳥居は静かに街に馴染んでいたし、駐車場には食べ物屋さんの宅配バイクが停まっていた。

 中に入り縁切り縁結び碑の威圧感に慄きつつ、意外と朗らかな様子の他の参拝者の方々の様子に安堵し、境内の一角ですやすや寝ている白と茶のつやふわ猫を眺め、せっかくなので私もお参りをして形代を碑に張り付け、配偶者とその浮気相手の縁切り願いや薄毛との縁切り願いなどが書かれているのを読み顔も知らぬ参拝者の今に思いをはせ、他にやれることも無くなったので神社を後にした。ちなみに私が願ったのは「より良く人生を生きていけるよう悪縁を切り良縁と結んでください」というようなふんわりした文言である。


 バイト先からクビを言い渡された。旅行から帰宅して数日後の事であった。


 まぁ笑ったよね、なるほどと。ちなみにそこは飲食店で、食品衛生管理者を半年以上不在のまま対応せず営業し続けるようなところだった。締め作業でレジ内の金額チェックもしてなかった。私自身完全無欠な仕事が出来ていたかは正直覚えていないが、問題があったとかクレームがあったとかそのようなクビの原因的な事は言われなかった。つまりはそういうことなんだろうと私は受け取った。

 野次馬精神半分、ぼんやりとした不安を抱えた生活を変えたい半分の気持ちでお参りした結果がこれである。これが神の所業でないというならなんてタイミングの良さだろうか。

 「いや、タイミングが合っただけだよ」と言う方も大勢いるだろうが、そういうものと縁が無い生活をしてきた私にとっては「神様はいるんじゃないかな」と思った初めての、そして一番大きい出来事であった。



 二つ目は半年ほど前だ。これまた神社関連なのだが、前述の神社とは違う場所にお参りした時の事。その神社の佇まいやら印象を書き起こそうと思ったがちょっと無理そうだ。御朱印がめちゃくちゃ綺麗だったとか暑かったとか少しは覚えているのだが、他の全てが一つの事を除いて全て記憶から消えているのだ。その一つとは、


 おみくじに書かれていた「高望みしすぎ」の一言である。


 その時私は、複数のあれこれに応募をしていた。もちろんそういうものの合格や受賞は狭き門であり、どれだけ私が真剣に投稿したところで落ちるものは落ちる。あれこれに応募した結果それらが認められ、大賛辞の雨あられバズりまくり一発逆転酒池肉林とはいかないのが現実である。とはいえ何とかなってほしい一心でこちらに参拝しお願いした私には、あまりにもド正論正面クリティカルパンチ。その時私の頬からは柏手の如き高らかで美しい乾いた音が発せられてたかもしれない。おみくじはどれも色んなことをふんわり指し示してそうに書かれているというが、あの時の私にあの言葉が書かれたおみくじは、これまたあまりにもタイミングが良すぎるというものだ。

 結局その時私が応募していた色々は全て不合格・受賞ならずであった。あの時のあの言葉は本当に痛い一発だったが、今となっては神様からの慈悲深い無慈悲な一発だったのだと思っている。そう思いたいだけかもしれないけれどね。



 そして三つ目。これは書いている今でもじくじくと効いているため書くのを躊躇われるのだが、せっかくなのだから書いてしまおう。

 これは神様とは少しズレる話だ。占いの話である。ちなみに私は占いも他のオカルトスピリチュアルな話と同様、娯楽として今も昔も楽しんでいる。

 つい一ヶ月ほど前に自分のメールボックスの整理をしていた時の事だ。大量のメルマガ等で4桁になった未読メールを削除しようと色々中身を覗いていた際に、10年ほど前にもらったメールを見つけた。それはその当時飲み屋で知り合った方からもらったメールで、タロット占いの練習をしていたその人の練習として自分は占ってもらっており、その結果をコメント付きの画像で送信してもらっていた。画質も荒めなその画像に懐かしさを覚えつつ、改めてその画像を酒の肴にでもしようと私は画像をダウンロードした。


 「自分自身が成功する未来を描いていない。諦めている」というコメントが目に飛び込んできた。吐きそうになった。


 今も呻き声しか出ない。頭を掻きむしってしまうようなコメントである。というか、なんなら今の私にこそ大ダメージな言葉な気がする。当時の私がどう受け取っていたか覚えていないのだ。

 タロットというのはあくまでカードにキーワードしか設定されておらず、そのカードが出た質問やそれの正位置逆位置などから読み解くものだと聞いたことがあるので、その人のタロットを元にした私に対する見識・タロット占い師としての目は確かだったのだろう。タイムスリップして当時に戻れたら「あなたのタロットはすごい」と熱弁したいくらいだ。まぁ本人も10年後の人間にぶっ刺さると思って占ってはいないだろうが。(ちなみにペンタクルの10というカードの逆位置である。最初調べた時はカードが出てこなくて頭の中に?がとんでいた)

 結局その画像を素直に酒の肴には出来なかった。そのコメントは見た直後からたびたび気を抜いた瞬間にふわりと頭に浮かんできやがるため、そのたびに「10年経った今もそうでーすイエーイ!!!!」とヤケクソ笑顔ダブルピースで打ち返している毎日なのだが、今回の短編賞の応募項目を読んだ時にこの事を書いてやろうか、どうせなら半年前のあの事や5年前のあの事も書いてしまおうかと思うきっかけになったのだから怪我の功名というか、ナイスタイミングだったのかもしれない。本当にそうか? ナイスタイミングということにするからこれからは頭の中過ぎらないでくれ。


 以上が、霊感0な私も「あるかもしれない、いるかもしれない」と思った出来事である。どれもタイミングが合っただけ、そういう風に私が受け取っただけととれもするだろう。でもまぁ、いても良いよねっていうか、いた方が世の中面白そうだよね。ってことで、私はそういう派閥である。

 これからも都合がアレな部分はアレとしつつ、そういう色んな見えないものがいるかもしれない世の中を楽しんで過ごしていこうと思う。

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神様っていると思いますか? 春夏冬 しゅう @dragonfly_autumn

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