第15話 お祝い


 ナンパ男達を無視して俺たちはギルドの外へ出た。

 そこで俺は、さっきから気にっていたことを聞いてみた。


「麗奈たちはいっつもあんな感じなのか?」

「あんな感じ?」

「いっつもナンパされてるのかってこと」

「あぁ、そのことね……。いっつもではないけど、ギルドに行った時は8割くらいされてるかな」

「大変だな」

「ほんとにね、困っちゃうよ」

「そうか……」


 ナンパされ過ぎて困っているなんて非モテ組からしたら羨ましい限りだな。


「まぁそんなことは置いといて、優くんは冒険者になれたんだよね!?」

「一応な」

「やったね!これで優くんも冒険者になれたから、早くランク上げて一緒に依頼受けようね!!」


 満面の笑みでそう言ってくる麗奈に、これから伝えることを考えると少し罪悪感が芽生えてしまう。

 だが、言わないという選択肢はないので言うしかないのだが。


「満面の笑みでそう言ってくれたのは嬉しいんだが……実は俺、Bランクスタートなんだ」

「え!?本当!?」

「本当なのお兄ちゃん!?」

「あぁ、本当だ」



 そう言って俺は、今日もらったギルドカードを二人に見せた。


「ほんとだ……Bって書いてある……」

「すごい……試験だけでBランクになる人なんてこれまでいたことなかったのに……」

「そうなのか?」

「そうだよお兄ちゃん!!!これはとってもすごいことなんだよ!!!」


 どうやら試験だけでここまでランクが上がる人はいなかったらしい。


「ほんとにすごいよ!!!」

「ははっ、ありがとな」

「じゃあ、今夜もお祝いしなきゃだね!!」

「そうだね!!!それじゃあさ、今夜はウチでお祝いしようよ!!!お泊まりで!!!」

「いいね!」

「そうと決まれば早く帰って準備しよ!」

「さんせ〜い」


 そう言って、麗奈達は走って帰り道を進んで行った。


「俺の意思は……?」


 お祝いする本人の希望を聞かないという失態を犯しながら。



  —————————————————


「「「いただきます」」」


 俺は今、麗奈の家にいる。

 俺がBランク冒険者からスタートと言う、これまで誰も成し遂げたことがないことをしたお祝いをするためだ。

 参加者は、俺、麗奈、華恋、母さん、義父さん、麗奈の両親である。


「いや〜、それにしても、まさか優真くんがそんなにすごい人だったなんてね〜」


 そう言ったのは麗奈のお父さんである、新一さんだ。


「ほんとにね、まさかこんなにすごい子だったなんて、驚きだわ」


 そして、新一さんの言葉に賛同した女性が、麗奈のお母さんの恵さんである。


「ありがとうございます」

「イケメンで性格も良くて頭もいい、さらに冒険者としての才能も圧倒的、まさに完璧だね〜」

「ほんとにね、うちの子をもらって欲しいくらいだわ」

「ちょっ、お母さん!?変なこと言わないで!?」

「ふふっ、ごめんなさい」


 そう言って笑い合う二人を見て、俺は朗らかな気持ちになった。

 いつ見ても仲のいい親子である。

 この歳になってもこんなに仲がいい親子は珍しいんじゃないだろうか?


「そうですよ恵さん、麗奈にはもっといい人がいるはずですから」

「そうかしら?」

「きっといますよ、少なくとも俺よりいい人ぐらいは」

「そうだといいわね……」


 何であんなに歯切れが悪いんだ……?

まさか俺ってイケメンだったのか?いや、それはありえない。何たって俺は小学生の頃、同級生の女の子の手を触ってしまったら、顔を赤くして、「触らないで!!!」と言われたのである。

 あれは相当ショックだった。嫌われるようなことをした覚えがない子に、少し手が当たっただけで拒絶されたのだ。

 俺はあの子に嫌われるようなことはしてない。つまり、俺の見た目が嫌だったと言うことになる。

 こういうことがあったから、俺はイケメンではないと言えるのだ。


「麗奈なら、俺とは比べ物にならないほどのイケメン彼氏ができますよ」

「そうね、できたとしても比べ物にならないでしょうね」

「そうですよ」


 実際、麗奈はものすごい美人になっている。

 綺麗な黒髪をミディアムボブにしていて、目鼻は完璧な位置にあり、唇はぷるっとしている。体型に関しては、大き過ぎず小さ過ぎない胸や引き締まった腰、すらっと長い足など、完璧な体型をしている。

 これは男どもが放っておかないだろう。実際ナンパされてたし。


「お兄ちゃん!!私はどう?」

「華恋も俺なんかじゃもったいないな」


 本当に、強いことくらいしか取り柄のない俺と彼女らが一緒にいるのが奇跡みたいなものなのである。


「そんなことないよ!!お兄ちゃんはカッコいいもん!!!」

「ははっ、ありがとな」

「むっ、絶対本気にしてないでしょ」

「妹だからな」

「義、理、の、ね!!!」


 華恋は俺のことをかっこいいと思ってくれているようだが、兄妹贔屓が入ってるだろうからな、あまり信用はできない。


「優真、一つお前に言っておくことがある」

「何?義父さん」

「Aランク以上の冒険者にはな、重婚が認められているんだ」

「はぁ……それがどうしたの?」

「いや、二人以上彼女ができそうな時のために教えておこうと思って」

「じゃあ、俺には関係ない話だね」

「ははっ、確かに関係ない話だな」


 今は、とは何だろうか?いつか俺に二人以上の彼女ができるかもしれないと言うことだろうか?

 まぁ、今考えても未来のことなんてわからないしな。未来のことは未来の俺が何とかしてくれるだろ。

 俺は、そう強引に納得することにして、とりあえずはこのお祝いを楽しむのだった。


 この先に、今日聞いた話が役立つことが来るとは夢にも思わずに……。



  ——————————————————


【感謝とお願い】


読みに来てくださった皆様、ありがとうございます!

初めて書く作品なので、誤字や脱字があるかもしれません、なので、もしあったらコメントをよろしくお願いします。あと、自分も初めて書く作品なのでもし「ここの話おかしいんじゃない?」とか、「ここもっとこうすべきじゃない?」と言うところもあったらでは教えてください!


最後に、「話の続きがきになる!」などと思っていただけましたら、☆評価をお願いします!

それではまた次のお話で会いましょう!


 






 



 

 


 

 

 


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