第14話 Bランク冒険者
俺は久しぶりにに使ったこの技の威力を見て、やはり凄まじいなと感じてしまう。
『
飛び上がった位置から降りる勢いと、自分の力を使うことによって、相手に惑星が落ちてきたと思えるほどの衝撃を与えるのだ。
普通の人が同じことをやってもここまでの威力は出せない。
これは、俺が天神流を完璧に使え、さらにあの馬鹿げたステータスがあっての威力なのだ。
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あの後、無事ギルドマスターからの推薦をもらえることになった俺は、とりあえず麗奈達と合流するために電話をかけている。
プルル……プルル……ピッ
『もしも〜し、優くん試験は終わったの?』
「あぁ、今終わったところだ。」
『どう?合格できそう?』
「大丈夫だろ、だぶん」
『結果はいつ出るの?』
「もうすぐ出るって言ってた」
『じゃあ、結果をもらったら酒場の1番右端の席に来て、私たちはそこで待っとくから』
「分かった、結果が出たらすぐに行く」
『ん、分かった。じゃあバイバーイ』
「また後でな」
そう言って俺は電話を切る。
普段の麗奈も電話の時ぐらい落ち着いてれば過ごしやすいんだけどな……。
そう、何を隠そう麗奈は電話になると急にうるさくなくなるのだ。
常に会話の後ろに
だから俺は、何回も電話と同じまではいかなくても、もう少しテンションを下げてくれと何回もお願いしている。
まぁ、聞き入れてくれたことはないんだけど……。
「天神さーん、受付に来てくださーい」
と、こんな話をしていたらもう結果が出る時間になっていたようである。
不合格になっていることはないだろうから、あとは俺のランクが何から始まるかだけだ。
正直に言うと、俺の実力はSランク冒険者くらいはあると思う。
Sランク冒険者に近い実力を待っていた斎藤さんを倒せたのだから、少なくとも実力的にはSランク冒険者になれる資格があるだろう。
だが、冒険者とは戦うだけが仕事ではない。ダンジョンを攻略するには罠を見つけたり、地図を作ったり、怪我を回復させたりといろいろな役割がある。
冒険者ランクとは、そういう事も踏まえて決められる。だから、実力しか測っていない今の状態ではCランクぐらいから始められたら万々歳だろう。
華恋がちょうどCランクだから同じランクになれたら嬉しい。そうしたら同じ依頼を受けられるからな。
ちなみに、何でこの世界に戻って来たばっかりの俺がこんなにも詳しいことを知ってるのかというと、昨日麗奈が嬉々として教えてくれたからだ。
そうして俺は、期待と不安を抱いて受付へと向かうのだった。
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「天神優真さん、あなたをBランク冒険者に任命します」
俺は、本日3回お世話になっている金沢さん(さっき名前を聞いて判明した)にそう言われた。
「え!!!Bランクですか!?」
「はい、天神さんの実力を考えれば妥当かと」
「そうですか……まぁ、高いところから始められる分には嬉しいですけど……」
「本当は、Aランクぐらいにはしたかったらしいですが、流石に無理だったそうです」
「いやいや……これでも十分ですよ……」
「なら良かったです。それでは、今から冒険者としてのルールをいくつか説明します」
「はい」
「一つ目は『横取りをしない』です。相手が見つけた宝物や、戦ってる相手は基本的には横取りしてはいけません。
二つ目は『訓練室以外で冒険者同士は戦ってはいけない』です。冒険者の皆様は超人的な能力を持っているので、喧嘩などをしたら多大な被害が出てしまいます。なので、戦う場合でしたら訓練室を使ってください。ですが、例えば冒険者の誰かが暴れ出してそれを止めるために戦う、などの正当な理由があれば大丈夫です。
三つ目は『命を大切にする』です。訓練室と違ってダンジョンでは死ねばそれで終わりです。なので、命を粗末にするようなことは絶対にしないでください」
「はい、気をつけます」
「その他のルールやギルドのことはこの本に書いてあるので、できれば読んでおいてください」
「分かりました。ありがとうございます」
「そして、こちらがギルドカードとなります」
そうして渡された物には、俺が最初に書いたあれと、ランクが書いてあった。
「このカードがないと依頼を受けれないので気をつけてください」
「はい、分かりました」
「それでは、これからの天神さんのご活躍を楽しみにしていますね」
「ご期待に添えるように頑張ります!」
そう言って俺は、酒場へと歩き出した。
まさかBランクから始められるとは思わなかった。
それだけギルドマスターが俺の実力を評価してくれたということなのだろう。
できればそれを裏切りたくはない。
だから俺は、ギルドマスターの期待に応えられるように頑張ることを密かに決意したのだった。
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「えーと……あ!あそこか」
結果が出た俺は、麗奈と約束した酒場の1番右端に向かっていた。
そして、麗奈達を見つけたと思ったら、そこではナンパが行われていた。
「華恋ちゃ〜ん、俺と一緒に依頼受けない?」
「そうそう、いっつも断るんだから今日ぐらいいいじゃ〜ん、麗奈さんもどう〜?」
「えっと、今日はお兄ちゃんとの待ち合わせがあるのでダメです!」
「華恋ちゃん?その断り方じゃ今日以外なら大丈夫ってことになっちゃうよ?」
「あっ!そっか!じゃあ、いつでもお断りします!」
「私もお断り」
この一部始終を見てた俺は、ついつい感心してしまう。
困ってたら助けようかと思ったが、どうやら二人とも、特に麗奈は断り慣れてるみたいだ。
「そう言わずさ〜」
「今日だけでいいからさ、ね?」
華恋と麗奈が断ってるにも関わらず、ナンパをやめない男二人。何でああいう人種はあんなに拒絶されてるのにまだいけると思えるのだろうか……。
「ダメです!それにもうすぐお兄ちゃんが来るはず……って、お兄〜ちゃ〜ん!!!ここだよ〜!!!早く来て〜!!!」
遠目から見てたつもりだったが、華恋は俺に気づいたらしい。
そして、俺を見つけた瞬間、大声で俺のことを呼んできた。
「はぁ……何で大声で呼んじゃうかな」
そのせいでこの近くにいる人のほとんどが俺のことを見てるじゃないか……。
まぁ、言っちゃったもんは仕方がないか……。
「よう華恋、ギルドの試験終わったぞ」
「どう、合格できた!?」
「あぁ、できたぞ」
「さっすがお兄ちゃん!!!」
いきなり現れて華恋と親しげに話している俺を見て、ナンパ男達は唖然としていた。
「じゃあ、優くんも来たし、私たちはもう行くね?」
「うん!バイバイ男の人達!」
「え?あっ、え?」
「え?お兄ちゃん?優くん?」
華恋達の親しげな呼び方に、いまだに男達が混乱しているのをいいことに俺たちは酒場を後にするのだった。
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【感謝とお願い】
読みに来てくださった皆様、ありがとうございます!
皆様のおかげもあって、気づいたら週間ランキング60位を切っていました。
これからも、もっと人気になれるように頑張るので、応援よろしくお願いします!
最後に、「話の続きがきになる!」などと思っていただけましたら、☆評価をお願いします!
それではまた次のお話で会いましょう!
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