第11話 最強の力


 俺は今、ギルドに入るための試験を受けるために、受付の列に並んでいる。列自体はすごく長かったが、動きが意外と速いので、早く俺の番が来そうである。

 ちなみに麗奈たちは俺の試験が終わるまではギルド内をぶらぶらしているらしい。

 だから今は俺一人だ。一応麗奈たちの新しい連絡先も聞いているので、困ったことがあれば連絡するつもりだが。

 そんなことを考えていると、ついに俺の番が来た。


「次の方〜」


 そう言った人のところへ行くと、その人はさっきまでの人と同じ用にこう聞いてきた。


「本日はどのようなご用件ですか?」

「今日は、ギルド入会のための試験を受けにきました」

「分かりました。では、ここに必要項目をお書きください」


 そう言われて渡された紙には、住所、電話番号、年齢など、いろいろ書くことがあった。

 それを順番に埋めて行った俺は、気になる質問があったのでそれが何かを聞いてみることにした。


「あの……この『得意分野』と言うのはなんですか?」

「それは、自分ができることを書いてください。例えば、剣が扱える、魔法が使える、罠を見つけるのが得意、などですね」

「分かりました、ありがとうございます」


 それにしてもできることか……、まぁ安直に剣でいいか。あと、魔法が少々使えることかな。

 それを書き終えた俺は、その後にあった質問に答え、紙を提出した。

 その紙を見て受付嬢は、


「はい、確認しました。これで大丈夫です。

では次に実技の試験があるので2階にある第4訓練室に行ってください」

「はい、分かりました。ありがとうございます」


 無事に許可をくれたので俺は訓練室へと向かった。



  ——————————————————


 第4訓練室と言う場所は、さっき何かわからなかった真ん中の施設にあった。ちなみに左も訓練室だった。

 訓練室に入ると、そこには女の人がいた。


「こんにちは。あなたが天神優真さんですね?」

「はい、そうです」

「それではここの訓練室についての説明をします。ここの訓練室は最新技術とダンジョンのアイテムで作った幻想世界ファンタジーワールドです。幻想世界ファンタジーワールドというのは現実とは違う、簡単に言えばVR空間みたいなものです。なので、幻想世界ファンタジーワールドで死んだとしても現実世界の体に影響はありません。つまり、この訓練室は、現実世界の体に影響を与えずに、色々な訓練ができる世界と言うことです」


 つまり、どんなにきつい訓練をしても、なんなら死んでも大丈夫と言うことである。

 何その恐ろしい発明品。


「は、はぁ、すごいですね」

「えぇ、素晴らしい発明だと思います」

「それで、俺はそこで何をすればいいんですか?」

「中にいる試験官と戦ってもらいます」

「なるほど、分かりました」

「それでは早速いきましょうか」

「はい」


 そう言って、彼女は目を閉じて何かを唱えた。

 すると、そこは草原だった。

 すごっ……、本当に現実世界とは違うところに移動しちゃった。

 そんなことを考えていると目の前にいた屈強な男が話しかけてきた。

 

「よう坊主、俺はここの試験官をしているAランク冒険者の斎藤真司だ。ここではお前の実力を計らせてもらう。そこにいる女に説明してもらったと思うが、この世界は死なない。だから、遠慮なくその中から好きな武器を選んでくれ」


 屈強な男、改め斎藤さんにそういられた俺は、数ある武器の中から刀を選んだ。


「ほう、坊主刀を使うんだな?」

「まぁ、そうですね」

「刀は扱いが難しいが大丈夫なのか?」

「はい、大丈夫です」


 そう言って俺は刀を構える。

 そうしたことで俺が、が蘇ってきた。

 最近は触っていなかったが、異世界にいる時は毎日のように触っていたのだ。

 その記憶が蘇り、俺の集中は極限まで研ぎ澄まされた。

 それを見た斎藤さんも手に持っていた斧を構える。

 そして、俺をこの部屋に運んでくれた女の人が前に出た。どうやらこの人はこの試合の審判も兼ねているようだ。


「それでは準備はいいですか?」

「はい、大丈夫です」

「大丈夫だ」

「それでは、始め!」


 女の人がそう言った瞬間、斎藤さんは、斧を構えて俺に向かって突進してきた。

 そして、俺の目の前まで来ると斧を振りかぶって切りつけてきた。

 それを俺は刀を使って受け止める。


「ほう……これを受け止めるとは、坊主なかなかやるな?」

「ありがとうございま……す!」


 そう言うと同時に、俺は斎藤さんを弾き飛ばす。

 それに驚いた斎藤さんだが、すぐに冷静になってまた突進してきた。

 そのことを狙っていた俺は、斎藤さんが間合に入った瞬間に技を出す。


「天神流 二の太刀 五月雨さみだれ


 この技は、五月雨さみだれの如く勢いで相手に連撃を仕掛ける技だ。威力こそあまりないが、その圧倒的な手数で相手の反撃を許さない。


「ッッッ!!!」


 俺の連撃に驚いた斎藤さんは、急いで防御の構えを取る。

 急いで取った防御のため完璧ではなく、ところどころに怪我を負ってしまった。

 思った通り斎藤さんはパワータイプだから、技術が足りてない。

 異世界の斧使いはこのくらいの攻撃速度なら完璧に防御してみせた。


「ぬぅぅんッッッ!!!」


 ただひたすらに耐えていた斎藤さんは、俺の連撃が終わると、斧を横薙ぎにして攻撃をしてきた。

 それを俺は後ろに飛び退いて避ける。

 そのまま追撃してくるかと思ったが、斎藤さんは何かを喋り出した。


「ガハハハハ!!!受験生でここまでやるのは初めてだぞ坊主!本当は使うつもりなどなかったが、それに敬意を表して俺も全力で戦うとしよう」


 そう言うと、斎藤さんの雰囲気が明らかに変わった。


「俺のスキルは『狂化』、一時的だが身体能力が5倍以上になる。坊主、お前は俺の全力に耐えられるかな?」


 そう言った瞬間、斎藤さんはさっきとは比べものにならないほどの速さで俺に突進してきた。

 そして、そのまま俺の体を真っ二つにするほどの勢いで斧を振り上げた。

 だが、その攻撃が俺に当たりそうになった瞬間、俺の体は霧散した。


「ッッッ!!!消えただと!?」


 斎藤さんは俺がいきなり消えたことで、驚きの声を上げた。

 それはしょうがないことだろう。初見でこの技を見切ったものなど、今までいたことはないのだから。


「天神流 六の太刀 幻霧歩刀げんむほとう


 斎藤さんの目の前から消えた俺はから斎藤さんの首を切り落とした。


 『幻霧歩刀げんむほとう』、この技は特殊な歩き方をすることで相手に一時的に幻、正確に言うと残像を見せる技だ。

 斎藤さんはこの技の見せた幻を本当の俺だと思ったのだ。

 

 斎藤さんが目の前から消えていく。

 おそらく、死んだことで現実世界の体に戻るのだろう。

 俺が斎藤さんを倒したことがそんなに驚きだったのか、いまだに目を見開いて驚いている審判の方に声をかける。


「あの……、これで試験は終わりですか?」

「は、はい。これで試験は終了となります。結果は1時間ほどしたら出るので、1時間後にまた受付に来てください。あと、この世界は強く外に出たいと念じることで出ることで外に出ることができます」

「はい、分かりました。ありがとうございます」


 そう答えて俺は、現実世界へと戻るのであった。



—————————————————


【感謝とお願い】


読みに来てくださった皆様、ありがとうございます!

初めて書く作品なので、誤字や脱字があるかもしれません、なので、もしあったらコメントをよろしくお願いします。あと、自分も初めて書く作品なのでもし「ここの話おかしいんじゃない?」とか、「ここもっとこうすべきじゃない?」と言うところもあったらでは教えてください!

それと、時々前のお話やあらすじの変更をしているので、何か前と変わっているところがあったらごめんなさい。


最後に、「話の続きがきになる!」などと思っていただけましたら、☆評価をお願いします!

それではまた次のお話で会いましょう!








 




 

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