第10話 ギルド試験での無双


 う……、疲れた………

 俺は昨日麗奈の話を止められずに、深夜の3時ごろまで話を聞くこととなった。

 麗奈はまだまだ話したそうだったが、母さんの圧に負けてしぶしぶ華恋の部屋に行って寝た。

 もともとは、晩御飯を食べたら帰る予定だったらしいが俺と話したくて泊まることにしたらしい。

 そのせいで俺はとてつもなく疲れたのだが……、楽しかったのでよしとする。

 今は朝の10時半、今日は昼の12時からギルドに連れて行ってもらう約束を麗奈としているのだが、あいつはまだ起きてこない。

 麗奈のやつ、ちゃんと約束覚えてるよな……。

 そう思っていると2階からドタドタと階段を降りてくる音がした。

 

「優ーーくーーーん!!!なんで起こしてくれなかったの!!!」

「いや、流石にこの歳にもなって許可なく女子の部屋に入っちゃダメだろ」

「確かにそうだけどさーー!!!そのせいで約束の時間に遅れちゃいそうじゃん!!!」

「いや、後一時間半もあるし大丈夫だろ」

「女の子は色々とやることが多いの!!!」

「そうなのか……じゃあ頑張って準備してくれ」

「優君つめたーーい!!!」

「はぁ……じゃあなんか手伝えることあるのか?」

「うーん……ないね」

「だろ?だから頑張ってくれ」

「約束の時間遅れたらごめんね?」

「いや、遅れないように頑張れよ……ってもういないし」


 麗奈はそう言い残すと一瞬で去って行った。

 あいつ、なんで朝からあんなに元気なんだよ……俺にもあの元気を分けて欲しい……。

 

 そして、その数十分後……


「ふわぁ……、おはようお兄ちゃん……」

「あぁ、おはよう華恋」

「ところでさお兄ちゃん、なんか麗奈ちゃんが急いで色々準備してるんだけど、今日どっか行くの?」

「今日は、麗奈に12時からギルドに連れて行ってもらおうと思って」

「え!?お兄ちゃん今日ギルド行くの!?」

「あぁ、そうだよ」

「なんで言ってくれなかったのよ!!!」

「だって、それ麗奈に言ったの昨日の深夜だし、華恋はさっきまで寝てたし……」

「言ってくれればもっと早くから準備したのに!!!」

「え?華恋も行くつもりなのか?」

「もちろん!!!そう言うわけだから私も急いで準備してくるね!!!」


 そう言って華恋も二階へと消えて行った。

 あいつ……間に合うのかな?まぁいいか、それは俺の考えることじゃないし。

 それから俺は、やけにドタバタする家の中で、テレビを見て約束の時間まで過ごした。



 —————————————————


 俺は今電車の中にいる。

『世田谷ダンジョン』の近くにあるギルドに向かうためだ。

 今『世田谷ダンジョン』と言ったが、日本には今5つのダンジョンがある。

 北海道の『札幌ダンジョン』、新潟の『長岡ダンジョン』、東京の『世田谷ダンジョン』、大阪の『大阪ダンジョン』、福岡の『福岡ダンジョン』の5つだ。

 これは後から調べて分かったことだが、ダンジョンはその都道府県の中で1番人が多いところにできるらしい。


「ふん、ふん、ふふ〜ん♪」

「麗奈、楽しそうだな」

「そりゃそうだよ!だって5年ぶりの優君とのお出かけだよ!まぁ、できれば二人がよかったけど……」

「ん?なんか言ったか?」

「う、ううん!なんでもないよ!」

「そうか?ならいいが」


 確かになんか言ったと思うんだけどな……、まぁいいか。本当に言いたいことならちゃんと言うだろ。


「そうだよ、お兄ちゃん!5年間も出掛けられなかったんだから今日は楽しまないと!」

「いや、一応試験を受けに行くんだが……」


 なぜか目的が逸れているような気がしたから本当の目的を言ってみたのだが……、聞いてなさそうだ。

 まぁ俺もこの二人と出掛けるのは10年ぶりだし、試験が終わった後は何かして遊ぶか。

 そんなことを考えながら、俺はギルドへと向かうのだった。



  ——————————————————



「優君!ここがギルドだよ!」


 麗奈がそう言って指したのは、東京じゃ絶対にないような大豪邸だった。


「ここがギルドか……」


 正直言ってもっと小さいと思っていた。

例えるなら、公民館ぐらいだ。

 だが、この建物は想像の30倍はでかい。

ちゃんと測ればもっとあるだろう。

 異世界でもこんなでかさは城か公爵の屋敷ぐらいしかなかった。


「でかいな……」

「そうだよ!なんたって日本に5つしかないダンジョンを管理するためにあるからね!」

「あぁ、そうか」


 確かに麗奈の言う通りだ。日本に5つしかないものを管理するにはこれくらい必要か。

 俺の基準は異世界だからな……。それより少し大きい程度かと思ってしまった。


「じゃあお兄ちゃん!入ってみよ!」


 そう言って華恋は、俺の腕を引っ張ってギルドの中に入った。

 そこには活気が溢れていた。

 酒場では多くの冒険者が飲み食いをしながら、依頼の祝勝会や作戦会議をしている。

 その左にある受付にはたくさんの人が依頼を受けにきている。

 ここまでなら異世界と同じなのだが、ここはもっとすごかった。まず、酒場の右にはたくさんの武器屋があった。そこにはいろいろな装備があり、たくさんの人が買い物をしていた。

 2階の1番右には道具屋がある。何が売ってるのかまではわからないが、役に立つものが沢山あるのだろう。

 2階の真ん中と1番左の施設は何かわからなかったが、それでも十分過ぎるほど設備は整っていた。


「すごいな……」

「でしょ!ここには冒険をするためのものが全部あるんだ!」

「なるほど、だからこんなに広いのか……」


 それならこの馬鹿でかい建物の広さにも納得がいく。


「今日お兄ちゃんはギルド入会の試験を受けるんだよね?」

「あぁ、そのつもりだ」

「じゃあ受付にいこっか」

「分かった」


 そう言われて俺は受付に行く。


 途中、歩いていると「なんであいつが麗奈さんと……!」や「おい!あいつ今華恋ちゃんにお兄ちゃんって呼ばれてたぞ!」「けど、似てないよな……」「つまりそう言うプレイってわけだ」「俺たちの華恋ちゃんにそんなことをさせるなんて……!許せん!!」などと言う声が聞こえてきたが、一切を無視する。この二人と歩いていると絶対に羨ましがられるからな……。

 いや、羨ましがられるだけならマシかもしれん。場合によっては憎悪や殺意のこもった目で見られることもあるからな。

 まぁ、確かに俺みたいな冴えなくて強さぐらいしか取り柄のない男と、麗奈たちみたいな超絶美少女が歩いていたらそりゃ羨むよな。

 しかも、異世界じゃ俺は最強だったかもしれないが、この世界じゃどうかもわからないしな……。はぁ、なんで俺ってイケメンじゃないんだろう……。

 そんな考えても仕方がないことを考えながら、俺は受付に試験を受けにいくのだった。



  ——————————————————


【感謝とお願い】


読みに来てくださった皆様、ありがとうございます!

初めて書く作品なので、誤字や脱字があるかもしれません、なので、もしあったらコメントをよろしくお願いします。あと、自分も初めて書く作品なのでもし「ここの話おかしいんじゃない?」とか、「ここもっとこうすべきじゃない?」と言うところもあったらでは教えてください!


そして、「話の続きがきになる!」などと思っていただけましたら、☆評価をお願いします!

それではまた次のお話で会いましょう!






 


 

 


 


 

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