第9話 冒険者ランク


「優くーーーーーーーんッッッ!!!」

「ごふっ!」

「優君!?本当に優君なの!?」

「げほっげほっ……、あぁ久しぶりだな麗奈」


 俺と幼馴染の再会は、全くと言っていいほど感動的ではなかった。

 

 なんで真っ直ぐに鳩尾に突っ込んでくるんだよ!普通もうちょっと上に来るだろうが!

 まぁ、文句を言っても仕方がないがな……、それに、俺がちゃんと備えていればこんなことにはならなかったし。

 このことからも分かる通り、俺は普段は力を押さえている。だってさ、日頃の生活で攻撃力が9億もあったら軽くデコピンしただけでそこが吹っ飛んでしまう。

 だから、さっきの突進も普通に痛いのだ。


「なんで起きたこと教えてくれなかったの

よーーーー!!!」 

「それは母さんに言ってくれ」

「なんでなんですか美雪さんッッ!!」

「だって〜、その方が再会の衝撃があるでしょ?」

「まぁ、確かにすっごく衝撃的でしたけ

どッッ!!」

「まぁまぁそんなことはどうでもいいじゃな〜い、そんなことより今は早く家に入ってこの前病院で聞き忘れたことを優ちゃんに聞かないと〜」

「その話が終わったら私が優君とお話ししてもいいですか?」

「もちろんいいわよ〜」

「それなら、早く入りましょう!」

「……いや俺の意思は?」


 俺がそのことに疑問を持つ前に家族と麗奈はみんな家に入って行ってしまった。



  —————————————————



 俺たちは今、リビングの机に向かい合って座っている。

 我が家の机は大きく、最大で8人座れる。

麗奈の家族と一緒に食事をすることが多いからだ。

 そして今の座りは、俺の向かいに両親。そして、俺の両隣が華恋と麗奈だ。

 そこにさっきの和気あいあいとした空気感はなく、真剣な空気が漂っていた。


「じゃあ、優ちゃんに説明してもらおうかな。優ちゃんはなんで魔力の存在を知っていたのかな?」


 母さんが真剣な面差しで聞いてきた。


「え!?優君は魔力のこと知ってたの!?」

「麗奈ちゃん、今は黙っていて」

「あっ、はい」


 麗奈が驚きの声をあげたが母さんの圧によって黙らされてしまう。

 この雰囲気は嘘を言える雰囲気じゃないな。まぁもともと嘘なんて言わないつもりだったが。

 

「実は俺、異世界に召喚されていたんだ。

「は?どう言うこと?」

「そのまんまの意味。俺は5年間、あっちでは10年間だったけど……異世界を救うために召喚されて戦っていたんだ」


 そして俺は話し出す。異世界で俺が何をしたのかを、どうしてこっちに帰ってこられたのかを、全て話した。

 最初はそんなことありえないと言う感じで聞いていた両親や麗奈も、俺の話が具体的すぎて信じざるをえなくなったみたいで、途中からは真剣に聞いていた。

 ちなみに華恋は最初っから全部信じてたみたいだ。後で理由を聞いてみたら「お兄ちゃんがこう言うところで嘘を言うわけないじゃん!!」と言われた。

 華恋は俺のことをすごく信じてくれているみたいだ。


「ということがあって、魔王を倒した俺は無事に地球に帰れたってわけ。魔力のことが分かったのも、異世界でそのことについて知ってたからだよ」

「優真……、一応聞くがその話は嘘ではないんだな?」

「うん、本当だよ」

「そうか……お前を疑っているわけではないんだが、あまりにもその話が非現実的でな」

「そんなこと言ったら、地球にダンジョンができるのも非現実的でしょ」

「確かにそうだな……」


 俺の説得に納得してくれたのか、義父さんは深く頷いていた。 

 俺たちの話を聞いていた母さんや麗奈も俺の言葉に納得せざるを得なかったようだ。


「何をしても起きなかった優ちゃんが急に起きた理由も分かったし、魔力のことを知っていたのにも納得ができたわ」

 

 そう言って母さんは真剣な雰囲気からいつものふわふわした雰囲気に戻ってこう言った。


「だったら今夜は優ちゃんの退院と異世界からの帰還を祝わなきゃね〜」


 きっと義父さんは、このギャップに落とされたんだろうな……。


「あっ、お義母さん!私も手伝う!」

「そう〜?じゃあお願いしよっかな?」

「うん!任せて!」


 そう言って胸を張る華恋を見ながら俺は過去のことを思い出した。それは……


「華恋って料理できたっけ?」


 華恋にバレンタインに渡された、ほぼ灰となったチョコレートを食べたことだ。

 あの頃の華恋はまだ小さくて、悲しませたくないから全部食べてお腹壊したんだっけな……。

 そんな苦い思い出があるから俺は華恋の料理を少し警戒している。


「ふっ、お兄ちゃん。私をみくびらないでくれよ。私はこの5年間、お兄ちゃんをビックリさせたくて料理をたくさん練習したのです!」

「そうなのか、なら安心だな」

「絶対ビックリさせるから待っといてね!」


 そう言って華恋は台所に向かって行った。


「じゃあ優ちゃん、夜ご飯まで待っててね〜」

「あぁ分かったよ」

「それと麗奈ちゃん、今日一緒に夜ご飯食べる?」

「食べます!食べさせてください!」

「じゃあ、親御さんに連絡しといてね」

「はいっ!」


 そう言って母さんも台所へと向かって行った。


「じゃあ麗奈、夜ご飯まで何する?」

「もちろん優君とおしゃべり!」

「じゃあ俺の部屋行くか」


 おしゃべりで夜ご飯まで時間を潰せるのかと疑問に思う人もいると思うが、それは麗奈を侮りすぎだ。こいつは、止めなければ永遠に話し続ける。だから、止めどきを見計らうのが重要だ。そうしないと寝れなくなる。

 過去にそう言う経験をしているから、俺は止めどきは絶対に見逃さないと心に決めている。

 よしっ、久しぶりだが気合い入れていこう。

 そんなよくわからない決意をしていると俺の部屋についた。

 扉を開けると、10年前に見た自分の部屋と同じままだった。


「内装、変えないでくれたんだ……」


 家族の思いやりを感じ、俺は少し嬉しくなった。

 そして、俺は麗奈の話を聞くためにベットに座る。その横に麗奈が座ると、麗奈は嬉しそうにこれまであったことを話してくれた。

 テストの順位でトップ3に入ったとか、大学はこんな感じ〜とか、いろいろなことを聞いた。

 そして今は、冒険者として行なってきたことの思い出話をしてくれている。


「それでね、その依頼を達成したことで私は今やBランクの冒険者になったんだよ!」

「Bランク?」

「冒険者ってのはね、ランクによっての格付けがあるんだけど……知らなかった?」

「あぁ、知らなかった」

「じゃあ説明するね、冒険者って基本的にダンジョンの近くにある『ギルド』から依頼を受けるんだけど、ギルドがその冒険者に適正な依頼を出すために冒険者のことを実力でF〜Sランクに分けてるんだよ。

 ちなみに、Sランクに近づけば近づくほどすごいんだよ。そして、B〜Sランクのひとは、日本に数千人しかいないいの!それに私は入ってるの、すごいでしょ!」

「それはすごいな」

「でしょ!私頑張ったんだから」


 それにしても冒険者か……、働き先に困っていた俺からすれば最も良さそうな職業だな。異世界での経験も活かせるし、明日ギルドに連れて行ってもらうとしよう。

 そう決意した俺は、また麗奈と夜ご飯まで喋り続けた。

 自分が異世界で培った規格外の力をこっちで使ったらどうなるのかも考えずに……。


 

—————————————————

 

【感謝とお願い】


読みに来てくださった皆様、ありがとうございます!

初めて書く作品なので、誤字や脱字があるかもしれません、なので、もしあったらコメントをよろしくお願いします。あと、自分も初めて書く作品なのでもし「ここの話おかしいんじゃない?」とか、「ここもっとこうすべきじゃない?」と言うところもあったらでは教えてください!


そして、「話の続きがきになる!」などと思っていただけましたら、☆評価をお願いします!

それではまた次のお話で会いましょう!






 

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