第8話 幼馴染との再会

「なぁ母さん、なんでこの世界には魔力があるんだ?」

「優ちゃん……なんでそんなことが分かるの?」

「それは後で話すから今は俺の質問に答えて」

「うん……分かった。でも、話したらちゃんと優ちゃんの話も聞かせてね?」

「あぁ、わかってる」

「実はね………」


 そうして話された内容はとても衝撃的なことだった。

 2028年つまり俺が異世界に召喚された1年後のことだ。

 この世界に突如、過去最高に大きい隕石が衝突したらしい。

 普通は隕石が落ちたら陸上にも甚大な影響が出るはずなのに、被害がなかったことを不思議に思った学者たちがその隕石が落ちた周辺を調査してみると、正体不明の気体が見つかった。

 どうやら衝突した隕石はその不思議な気体で出来ていたらしく、そのおかげで被害が出なかったそうだ。

 

 だが、その気体の正体を調べようとしても全く分からなかった。

 そして、隕石が落ちてから一週間ほど経ったある日、世界中のいろいろな場所がその正体不明の気体で満たされるという現象が起こった。そして、そこから未確認生物が現れたそうだ。

 それは、ゲームに登場する魔物によく似ていたから『魔物』と名付けられた。

 世界中が自衛隊や特殊部隊を派遣してみたが、『魔物』には少ししか効果がなく撤退を余儀なくされたそうだ。

 その対処に世界中が悩まされていた時、人類にも変化が起こった。

 それは、ゲームの世界でいう『スキル』というものに目覚めるというものだっだ。

 その『スキル』は人それぞれあり、身体能力が上がり剣術が得意になるもの、魔法が使えるようになるもの、『魔物』を従えられるものなど、いろいろな力があった。

 それと同時に人類は自分の能力、つまりゲームで言う『ステータス』を見れるようになった。

 世界中の人々はその力で『魔物』たちを倒したそうだ。そして『魔物』を倒し先に進んでいくと、その場所が階層に分かれていて階層が下がるごとに強さが上がることがわかった。そのことがゲームに出てくる『ダンジョン』に似ていることから、それはダンジョンと呼ばれるようになった。

 そして、『ダンジョン』を攻略する人たちを『冒険者』と呼んだ。

 ちなみに隕石に含まれていた正体不明の気体は、その気体の力で『魔物』や『スキル』を生み出していることから『魔力』と呼ばれるようになったそうだ。


「ちなみに私たち家族と麗奈ちゃんはみんな冒険者なんだよ?」

「えっ!なんで?華恋と麗奈はそう言うの好きそうだから分かるけど、なんで母さんたちも……」

「それはね、優ちゃんを起こすのにダンジョンから取れるものが何か役に立たないかと思って……、さっきは言い忘れちゃったけどダンジョンからは沢山の資源が取れるの。だからその中に優ちゃんを起こすのに役立つものがあるかもしれないと思ったら、いてもたってもいられなくて……」

「そうか……ありがとうな母さんたち。俺のために危険を冒してくれて」

「ううん、だってお兄ちゃんのためだもん」

「そうよ優ちゃん、私たちだって他人のためだったらここまでやらないから」

「あぁ、そうだな。家族のためだから頑張るんだ」

「そうか……、みんなほんとにありがとな、俺のために」


 俺のためにここまでしてくれるのは本当にありがたかった。だからこそ一つ疑問がある。


「だとしたら、なんで麗奈はいないんだ?あいつなら何か用事があっても来そうだが」

「あぁそのことね。麗奈ちゃんを連れてくると絶対にうるさくするから連れてこなかったの」

「あぁ、なるほど」


 確かにあいつはうるさくしそうだ。5年間も喋ってなかったのだからその分を取り返すために永遠に喋り続けるだろう。


「だから優ちゃんが起きたことは言ってないの」

「え?」

「だから、次会うときは覚悟しといてね」

「えっちょっ、なんで言ってないのよ!」

「それじゃあ優ちゃん、もうすぐ面会の時間終わるからまたね!」

「えっ、ちょっと待ってよ!」

「退院の日を心待ちにしてるからね〜」


 そう言って母さんは俺に未だに抱きついていた華恋を剥がして行ってしまった。


「一様病み上がりの人に心配事増やさすんじゃないよ……」


 これは心の底からそう思った。




「あっ!優ちゃんになんで魔力のこと知ってるか聞いてなかった!」


 そして、つまらないことをしたせいで大切なことを聞き損ねた人もいたらしい。


————————————————


 一週間後


 無事に検査が終わり、異常もなかった俺は、5年間もいた病院を退院した。

 そして今は自宅に帰るために車に乗っている。

 俺からしたら10年ぶりの我が家なのに、俺はとても憂鬱な気分だった。


「はぁ〜、なんで麗奈に起きたこと言ってないんだよ……」

「も〜う、またその文句?いい加減諦めたら?」

「誰のせいでこんな気分になってると思ってんだ!」

「私?」

「自覚があるならなお悪いよ……」


 そう、何を隠そう俺の幼馴染に俺が起きたことを言ってないのだ。

 しかも、あいつは毎日必ずお見舞いに来てくれていたらしい。

 だが、性悪な母さんが何かと理由をつけてこの一週間はお見舞いに来れなくしていた。

 そのせいで俺は、起きたことも伝えられずに今日まで来てしまったわけだ。部屋に電話も携帯もなかったしね。


「はぁ〜、このことで母さんのこと嫌いになりそう」

「えっ!?嘘だよね優ちゃん!?」

「ほんとだよ」

「えっ?私優ちゃんに嫌われちゃったの?」


 そう言って母さんは目に涙を溜め出した。


「はぁ〜、優真。母さんを揶揄うのもそのくらいにしなさい」

「は〜い」

「え?優ちゃん私のこと嫌いになったんじゃないの?」

「ううん、違うよ。俺が母さんのこと嫌いになるわけないじゃん」

「そっ、そっか〜。よかった……」


 母さんはほんとに安心したようにシートの上で体をだらんとされた。

 まさかここまで母さんを傷つけるとは思わなかった。今度からこういう冗談はやめておこう……。

 そう俺が密かに誓っている間に、華恋が元気な声でこう言った。


「お兄ちゃん!お家が見えてきたよ!」


 そう言われて俺は窓の外を見てみる。

 そこには、10年間帰れなかった我が家があった。


「あぁ、なつかしいな……」


 しばらくして止まった家は、普通より少し大きめの一軒家だった。

 何を隠そうこれが我が家である。

 外に出てしばらくの間、俺は久しぶりに帰ってきた我が家を見て、感傷に浸っていた。

 すると、近くから何か物を落とす音が聞こえてきた。

 その方向を見てみると、そこには幼馴染がいた。


「麗奈久しぶり!元気にしてた……」

「優くーーーーーーーんッッッ!!!」

「ごふっ!」


 俺と幼馴染の再会は、俺が腹にダメージを食らうことから始まった。



————————————————


【感謝とお願い】

読みに来てくださった皆様、ありがとうございます!

皆様のおかげで、総PVが1000を超えました!

これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします!

あと、初めて書く作品なので誤字や脱字があるかもしれません、なのでもしあったらコメントをよろしくお願いします。あと、自分も初めて書く作品なのでもし「ここの話おかしいんじゃない?」とか、「ここもっとこうすべきじゃない?」と言うところもあったらでは教えてください!


「話の続きがきになる!」などと思っていただけましたら、☆評価をお願いします!

 それでは、次のお話で会いましょう!







 

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