第34話 宇宙ねこは白く輝く光となって

宇宙ねこ 星の船から落っこちてカプセルのまま地面の中に


種の中目覚めるときを待っていた。まあるくなって養分蓄え


今だ今!さあ手を伸ばし外に出よう!花弁の上でひかり感じて




山を出て冒険したら出会ったよ「猫ちゃんおいで」やさしい声で


「かわいいね。手のひらサイズ!」嬉しくて「子どもだからね」「えっ!しゃべれるの⁉」


ボクの星、ずっと遠くにあるんだよ。泣かないで君、さみしくないから


テレパシー母星とつなぐ。金茶のね、大きな耳で受信してるよ


山の中動物たちと暮らしたよ「今度はあたしといっしょにいてね!」




「おはよう」と言い合う愛しさ ごはん食べ「いってらっしゃい」見送る背中


ポケットに入って一緒にお出かけす。海に行ったり映画を観たり


「だいすきよ」「ボクもだいすき!」まるまって布団に入る ぬくぬくあったか


君が言う「ずっといっしょよ」せつなくてこたえられずにそっとすり寄る




望月の夜に宇宙見て交信す あと何度同じ月見れるかな


うちあける「もう帰るときなんだよ」と。「いつ行っちゃうの?」「月まるくなったら」


「行かないで」涙を流す君を見て、胸痛くなるんだけれどでも


出来るならそばにいたいよ、ずっとずっと。でもボクもうすぐ大人になるんだ


真夜中に月光浴びて脱皮する 白くて長い綿毛のような




真っ白な大人の姿 背は君と変わらないでも姿は異なり


君が言う「すごくきれいね」ボクはただ白い綿毛で君を抱きしめ


月光に輝きながら宇宙にゆく またねいつかねきっと会いに来る





  「宇宙ねこは白く輝く光となって」 了


  *ショートショートの連作で、10万字超の長編にいたします。

   1話ごとに読み切りの形式で、次話に続きます。

   毎日2回(7時、18時)更新。よろしくお願いいたします!


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