12-2「うるさいうるさい煩い五月蠅い」(6P)





 がらりがらりと、屋根が、建物が落ちる音。

 ごろごろがらりと、全てが彼らを潰す音。






 命を 奪う音

 命が 消える音

 





 そのたびに襲いくる

 悲しみと無力感








(──ああ また 助けられなかった)







 

 いつも同じ

 いつも同じ


 何度も何度も繰り返し

 何度も何度も、彼らを殺す



 ”この度に”

 ”大切な人を 見殺しにしている”


 


 


(────また助けられなかった。

 また殺した。



 すまない、すまない。

 シェリル、マイク、ヘレン。




「────夢の中だけでも、お前たちを助けられたら……!」

「無理だよ、おにーさん」





 暗い暗い闇の中

 その声は、空間を裂くように響き渡った。





 声を

 脳が理解した瞬間

 血の気が引いていく。





 妙にクリアな思考に


 奈落を宿した瞳が


 動揺で震えた。








 ────今ここで・・・・


 聞きたくない・・・・・・

 




 彼は恐る恐る顔をあげた。

 闇の中、こちらに背を向けて

 背筋を伸ばしている『彼女』






 震える唇が 名前を紡ぐ





「……み……………………り、あ?」

「────だって」





 ──『彼女』が声を張る。

 闇の中姿を現した、焼けただれたビスティーの前で。






「おにーさん。ワタシのことだって」









         た

         す

         ヶ

        て

         く

        レ

         な

         か

        ッ

          た

         で

         し

          ょ

         う

         ?














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