12-2「うるさいうるさい煩い五月蠅い」(5P)
炎に包まれ、苦しそうな、祈るような、恨むような瞳で
こちらを見つめている、彼らは、”いつも同じ”。
助けてくれと
どうして私たちがと
どうしてお前だけがと
黒く焼け焦げた顔面から覗く
3対のどろりとした眼から送られる念も
──それでも、助けようと、手を伸ばすのも。
いつも、同じ。
「────何をしてる! 早く!」
炎の中に手を伸ばす。
懸命に、懸命に、限界まで。
今なら助けられると、そう信じて。
しかし
伸ばした腕の先に
ねっちりと絡みつく『手』に
彼は
『────ぐんっ……』と現れた足元の重みに目をやれば、
太ももに、足に、脛に、纏わりついてくる。
無数の手が、ぺたぺたと這い上がってくる。
ぺた
ぺた
ぺたぺた
べたべた、ずずん
ぼっちゃん
ぼっちゃん
ぼっちゃん
ぼっちゃああああああああああああああああああああん
鳴くな喚くな鬱陶しい
踏めども踏めども湧いて出る
払えども払えども
しつこくしつこく
しつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく……っ!
────ああ、しつこい!
「────離せッ!!!」
────それに、気を奪われ必死になっているうちに、音がする。
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