12-2「うるさいうるさい煩い五月蠅い」(3P)



 

 《──なぁに、すぐに落ちぶれるさ》

 「エルヴィス閣下あ! 流石ですなあ!」



 《……は! 若造わ~かぞうに何ができる》

 「いやあ! 此度のご活躍! 痺れましたぞ!」



 《──穢らわし~い、殺しておいてぇ。》

 「この国の発展も、オリオン様のおかげですわ♡」






         煩い


         煩い


         煩い


         煩い




 


 血に塗れた土地で

 のうのうと生きているのはお前たちも同じだろう


 多くの命の上に

 富と安寧を享受しているのはお前たちも同じだろう




 死の商人に媚びへつらい、揉み手をしてきたのはどこのどいつだ

 父にすり寄り、俺にすり寄り、浅ましく汚らしいのはどこのどいつだ



 

 金、名誉 

 呪われた後ろ盾が欲しいのはどいつだ








 澱む、濁る、意識の中で声がする

 延々と声がする

 





 焼けただれ、朽ちた家の前で

 貴族と、オトナの、五月蠅い、声がする



 お前のせいだと声がする





 『酷い火事だったんですって』

 『魔具が放り込まれれたって聞いたわ』

 『あんな子、預かるから』

 『ああ、ああ、おいたわしや』

 『熱かったでしょう、苦しかったでしょう』




 お前のせいだと声がする

 お前が居なければ良かったと声がする



 




 『オリオンの子なんて 預かるから』







 ────ごめんね ぼくのせい

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