12-2「うるさいうるさい煩い五月蠅い」(2P)





 「貴方のせいではありません」

  《──貴方のせいですよ、悪魔の子》


 「親の所業が降りかかったのだ」

  《──恨みを買うような仕事をするから》


 「ああ、可哀そうにお坊ちゃん」

  《──私が慰めて差し上げますわ》


  






  「僕のせいなの?」

  「僕がわるいの?」

  「父上がわるいの?」






 『呪いが降りかかったのだ!』

 『お母さんの代わり、ほしくなぁい?』

 『オリオンの言うことは聞いておかないとな』

 『ほら、逆らうなよ。オリオンに焼かれるぞ』

 『エルヴィスさまぁ、手ほどきは必要じゃありませんこと?』

 『いやあ、ははは! さすがオリオン様!』

 






 うるさい。


 うるさい。


 煩い。


 五月蝿い。


 上辺だけのそれが煩い。





「────それで。

 お前達は何が言いたい?」



 

 喉から出たのは大人の太い声。

 侮蔑と怒りを孕んだいつもの自分・・





 いつの間にか自分より背の低くなった貴族の女に問う。


 ──ああ、すり寄り胸を撫でる細く長い指が気色悪い。






 いつの間にか厚みを増し、猫背で歩く貴族の男に問う。


 ──ああ、見上げる目が醜く卑らしい、老いた声が憎らしい。

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