5-6「プレミアムウエディングフェア・開催中☆」
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サンクチュアリ・ネミリア大聖堂
プレミアムウエディングフェア・開催中☆
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────女神のご加護を お二人に
厳格で神聖なホールで彩る祝福の時間
純白の壁・夜空のステンドグラスが
お二人のprecious・weddingを実現
──星空が祝福を降らす中
永遠の愛を誓いませんか?
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お見積もりのご相談はお気軽に
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※ ロイヤルまたはアッパーの爵位が必要です
────
聖堂の中庭。
手入れされた鮮やかな緑を茂らせる生垣と咲き誇る花々・吹き抜けのテラス。
8月の、燦々としながらも柔らかな日差しを綺麗に避けて、彼らは二人、テーブルに着いて花園を背負う。
盟主・エルヴィス・ディン・オリオン。
皇女・キャロライン・フォンティーヌ・リクリシア。
彼らをもてなすのは気品漂う茶器。
淹れたての珈琲が香りよく辺りを包み込み、王室御用達のパティシエが作るスイーツが、銀素材のスタンドを華々しく飾る。
そう。それはお茶会。
誰がどう見ても優雅でエレガンスなひと時。
シルクの様な銀の髪を持つ皇女と、彫刻のような顔だちをしている盟主。美と美の合わせ技。並んだ二人を絵画に収めたいと申し出る絵師は後を絶たない。
そんな彼らが向かい合い語られる話題は──────もちろん
「────キャロライン。まず、魔具の普及率だけど。あれは俺たちの間で大きな誤算があった。一般人における魔具普及率は国連が認識しているような数字じゃない。今調査を入れている最中だけど……、……実態は、もっと低いと見ている」
「その正確な数字はいつ出るかしら? 事実をもとに予想を立てなければならないわよね?」
「……そうだな……こちらに関しては、連盟で足を揃えるべきだろう?」
「そうね、その通りだわ。少々骨が折れるけれど、手配させましょう。魔具の便利さについては貴族を中心に広まっているから……火事などを防ぐためにも早めの浸透を目指したいわね?」
戦略会議である。
遠目から見れば『キャロライン様……、本日もお綺麗で。僕の胸は高鳴っています』だとか『あらエルヴィス……、貴方も素敵よ?』だとか愛を育んでいそう─────なのだが。
テーブルの上いっぱいに広がるのは資料。
耳に入るは小鳥のさえずりではなく、バサバサという紙の音。
用意された珈琲も焼き菓子も邪魔にならないように除け者状態。
ロマンも愛情もなにもなかった。
エルヴィスは用意した資料を真剣に読み込み、キャロラインは腕を伸ばして淹れたてのコーヒーをひとくち。そして彼女は、深紅の瞳を資料から離さず口を開け、凛としながらも圧のある声を張る。
「……ねえエルヴィス。調査件数は────まさか
「まさか。連盟三国、全件調査するなんて骨だろ。どの程度のサンプルを取ればいいかは、統計学者に聞いた方が適切じゃないか?」
「そうね。調査用紙はこちらで用意しましょう。最新の
「────あれ、買ったのか?」
「ええ。4台ほど」
「どうだった?」
「損はしないわ、お勧めするわよ?」
流れるような会話の中、挟み込まれた雑談も交わす彼らは、かつての級友である。
王家・貴族の集まるロイヤルスクールで共に学び、今や盟主と皇女という立場になった。学生時代は互いにライバルのような存在であったが、それも彼らの『縁の形』。互いが互いを、それでよしとしていた。
しかしいくら『級友の仲』で『お互いがそれで良しとしている』とはいえ、監視の老中や侍女がいる中、この態度でやりとりするなど到底できるわけがない。
キャロラインはキャロラインで『気品漂う皇女様』を演じなければならないし、エルヴィスはエルヴィスで『同盟領の盟主』で居続けなければならない。
その、やりにくいこと。
夏の花園・日陰とはいえ、じんわりしたと暑さを感じ、首筋にまとわりつく汗をひそかに拭うエルヴィスの前。キャロライン王女は、ばさばさと資料の中から一枚、羊皮紙を抜き出すと
「それで。次の議題は『連合国内における女性の人権問題』ね。……貴方に出してもらった資料見ているけれど、」
「おーそくなってすまん!」
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