4-11「あっ。あっ。んっんっ。」




「────んっ。」

 昼。


「────アッ。」

 声。


「あっ。あっ。ん……っあっ……!」

 ミリアの声と。


「…………へえ、もっと?」

 エリックの声が。

 ────ふたりきりの店内に響く。

 


「あっ。あっ……!? やだっ……! ああっ、あっ? あっ。あっ。んっ……あぁっ。」

「…………ミリア……これは?」


 

 女の声は焦り上ずり、男の声は余裕そのもの。



「あっ! あっ! やだっ。ちょっ……、とっ、まっ……てっ!」

「…………もう少し、入れようか? ほら」



 はぁっ、はあっ、んん、……っ!

 荒く詰まった息遣い。篭る熱気に滴る汗。

 のけぞり驚く女に、ぐっと責め立てる男。



「あっ、やだっ! だめっ。あっあっあっ。」

「ダメって言われても……君が求めたんだろ?」

「──はっ──んぅっ!?」



 彼の動きに合わせて目が開く。

 んっ、と息をつめ、ぎりぎりのところで抵抗する。


 焦りと苦悶・紅潮で頬を染めながら、ミリアは余裕のない瞳で彼を射抜いて──



「────おねがいっ」

「──へえ? もっと欲しいんだ?」 



 ああ、だめ。

 げんかい。

 持ちこたえていたけどもうだめ。


 ミリアは溜まらず口を開いた。

 腕が、倒れる、ぎりぎりのところで。




「────んんんんああああああ! ねえ待って!? ちょっとまって!? こんなギリギリのとこで力キープするっ!? ちょっとキミッ……大人げなさすぎるのでは!?」


「……求めたのは君だろ? ほーら」

「ああああああああちっとも動かない! ちっとも動かない! あああああっ腕がぷるぷるッ! ぷるぷっ。あああああああっ! もう無理ああああああああ!」

「…………だから言ったんだよ。何度やらせるつもりなんだ、『腕相撲』」

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