天才とぼっち編
閑話 とある天才の呟き
授業が終わった後――。
システムが解除され、ただの無機質な四角い箱へと戻った模擬ダンジョン。
生徒もみな教室へと戻り、先ほどまでの
「…………」
そしてそのある種物寂しい景色を、一人残ってジッと見つめる男子生徒がいた。
「……18分35秒」
呟いたのは、この日の授業で出た最高タイム。
そしてさらに――。
「《
攻略難易度“A-”のダンジョンに相当する、模擬ダンジョンの超高難度設定。
どちらも高校生のレベルではない。
大人でさえクリアできる者は限定されるだろう。
ゆえに、もし仮にそれらを同時に二つとも達成できた者がいたとすれば、その人物は間違いなく只者ではない。
「
ポツリと呟く空閑。
「……フフ」
次いで、小さな笑みがこぼれる。
――空閑晴斗。
成績優秀。スポーツ万能。
爽やかで整った外見に、誰とでも仲良くできる人当たりの良い性格。
男子からは
外見においても内面においても、共に「こうなりたい」を具現化したような完璧超人。
――時杉蛍介。
成績微妙。スポーツはジョギングのみ。
中肉中背の平凡な外見に、人当たりどころかそもそも人に相手にされないド陰キャ。
男子からは
外見においても内面においても、共に「こうはなりたくない」を具現化したようなぼっちマン。
最強と最弱。
頂点と底辺。
ヒーローとモブ。
なにもかもが対極。
本来であれば決して交わることはない。
「ああ……久しぶりだよ。テストがこんなに待ち遠しいのは」
――だがしかし。
「君もそう思うだろう……時杉君?」
そんな二人の運命が、今まさに交差しようとしていた。
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