魔法、スキルの確認


 転生してもやることないじゃん。

 だってさ、転生者って小説とか漫画とかだと魔王を倒してくださいとか、追放された後に強くなって追放した奴倒すみたいなものがあるじゃん。

 だけどこの世界もう魔王倒されちゃってるからそんなことないし、もうこの世界別に強さなんて求めなくていいから?別に追放しないんだよなぁ。


 でも、異世界に来たんだから旅には向いているとは思うし、前にいた世界?の時にも思ってたからいいタイミングかもしれないけど。

 スローライフのほうが送りたいって自分の心が言っている。

 でも、スローライフを送るんだったら、魔法が必要になってくることもあるから、自分がどんな魔法を使えるかをわかっておきたい。

 だけど魔法の確認ってどうすればいいんだ?

また聞き込みだなぁ。だるい。



◇◇◇◇◇◇◇




「魔法やスキルはまずこの世界には魔法、スキルの確認という概念がなくて、いろいろと個人の癖、日ごろの行いなどでスキルが出るので確認はできません。

次に魔法なんですけど、魔法も出る人出ない人いるので後発的に魔法が出るときがありますけど、ほとんどないですね」


と、言われました。


 ふざけんなぁ!!

 じゃあ俺が前世で癖でやっていたことをすべて掘り出した後に発現するのを待たないといけないじゃんか!


 まず魔法ってこの世界の住民だと生まれてすぐに発現する物みたいだから、俺はどうすればいいの?

 魔法使えないの?

 聞いてみたところ後発的に発現する物もあるらしいけど!ほとんどないってどういうことだよ!

 スキルも確認が俺に依存してるから一回ストップ。


 とりあえず魔法の事は仕方ないけど武器がいるよな。

 武器な、何がいいんだろうなぁ。


 祭りなんだから武器商店なんてそこら中にあるでしょ。

探してみるけど。だるい。

異世界来てからほとんどだるいしか言ってないんだが。


◇◇◇◇◇◇◇



 甘かった。俺の目論見が甘かった。

 そもそも勇者が魔王討伐したんだから旅に出る人なんてめったにいないだろう、という事で武器商店がないまたは魔王が討伐されたことで自分の決断でつぶしたことぐらいわかりきっていただろうがぁ!!


 と、思ったところで老婆がこちらに手招きしているのがわかった。

明らかにこっちに目線が行っている。

普通祭りに行くはずなのに。


「なに、おばあさん」


 初めてあった人だけど、前世?の技術があるからこういう接触になっちゃう。


「お前さん、困った顔してるねぇ」


「なんでわかった?」


「顔がめちゃめちゃ困った顔してたからに決まってんだろ」


 急に怒ってる上司の時の言葉遣い!

 あ、なんか前世でも上司で思い出したけど、上司に「お前本当に顔に出るよな」

とか言われてたわ。

 転生しても人間の中身は変わらないのか……


「んで、考えてるところ悪いけど、何に困ってんだい?」


「勇者が魔王討伐したじゃん?だけどね俺も旅に出たくて。

武器商店探してんだけど、ある?」


 はぁ、と老婆がため息をついた。

直後に、


「武器が欲しいのならついてきな」


 武器が買えるのならそれでいいや。と探している途中で思っていたからこの提案は本当にありがたい。

 本当になかったから。武器商店。



◇◇◇◇◇◇◇



「ここだよ」


 老婆に連れられて数十分歩いたところにそれはあった。


「ここは、私の家兼武器制作所、工房と言ってもいいかもしれないけどね」


「ここで武器買えばいい?」


「いいや、別に魔王が討伐されたからそんなに利益も出ないし、私がもう作ってあるから適当に持って行っていいよ」


「じゃあ、じっくり見させてもらいます!」


急に、なんで敬語?と思っていそうな顔をしている老婆には口出ししないでおこう。

お前もたいがい顔に出るじゃねぇか。







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魔王、倒されてました。~異世界でやることないから楽しもうと思ったけど、旅に出ろって言われました~ 海陽 @39377

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