帝国の影

Sanuki-_-Udon

第1話 絶望の始まり

ある日平和だった世界に激震が走った.消えたと思われていたあの帝国が蘇ったのだという...それはかつて日本に存在した大日本帝国であった.彼らは我々に敵対的なのか?その考えが世界の人々の中心的な話題になっていた.その真意を知ることは日本の同盟国であり,最重要敵国であったアメリカ合衆国に委ねられていた.アメリカ軍は,日本への潜入工作を開始した.それは一人の名も無きスパイに託された極秘任務であった……。


アメリカは大日本帝国復活の情報が日本の一部勢力からリークされ,ことを知った.この情報の真偽を確かめ,もし事実であれば何としてでも阻止すべく,アメリカ合衆国の諜報機関に所属するエージェント、オットー・ベンジャミン(本名不明)通称ACEを日本へと派遣することにしたのだ。

日本国には日本情報機密本部(JICD)というスパイ機関が設置されており容易にスパイ活動を行うことはたとえ米国でも難しかった。CIAは日本の真相を暴くために、極東の鷲作戦を実行した.

その担当には日本の文化や言語に長けていることからオットーが選ばれた。経験が浅いのではないかと心配されたが今の米国には日本に精通しているものは数少なかった.

日本へ到着した彼は、まず最初に東京へ向かった.帝都・東京ではあらゆる人種が行き交い,様々な人々が行き交う活気に満ちた街だった.活気があるということはそれだけ多くの情報も溢れているということである.彼はここから様々な情報を集めるつもりでいた. 情報収集活動に出かけたオットーは早速日本の高級官僚である堀光利と知り合うことができた.こんなに簡単に行くものなのかと疑問を持ったが考えすぎだとその考えを押しつぶした. 1ヶ月ほどかけ食事に行くほど仲良くなった.そんなある日だった.毎日の日課の秘密通信による定時連絡を終えソファでくつろいでいるとチャイムがなった.

「30分前の出前がもう届いたのか.」そう言ってドアを開けるとそこには誰もいなかった.あたりを見渡していると突然目の前が暗くなり意識が飛んだ.「おいおい,ここはどこだよ.」目を覚まして最初に目に飛び込んできたのはコンクリートで出来た壁と鉄格子だった.よく見ると手足に拘束具が付いており、身動きが取れなかった。

「何なんだここは,まさか拉致されたのか?」しかしオットーは焦ってはいなかった.なぜなら今までこの手の監禁から脱出はいくらでも訓練でやったし.だからこそACEつまり最高のスパイだと言われているのだ.そんなことを考えていると正面の扉が開いた。

そこには眼鏡をかけた短髪の男性が立っていた。その男は笑みを浮かべながらこちらへ向かってきた.そして目の前まで来るとこう言った.

「まさかここから脱出できるとは考えておらんだろうな?」

入ってきた時は後ろの光でわからなかったが段々と光に目が慣れてくるとその顔には見覚えがあった.

「お前‥まさかホリか!???」

「その通り.」

「なんでお前がここに?」

「お前はスパイなのにそんなこともわからないのか?ACEという名前も名ばかりであったのだな」

「何で俺がスパイだと?」

「日本に来てすぐ政府関係者と接触できるなんていう夢物語が現実にあると思ったのか?お前と会う前からお前が米国の諜報員でありしかも我が大日本帝国の調査に来てることはわかっていたんだよ.オットーくん.」

「お前は一体何なんだよ?」

「私か?な高きJICD所属堀光利大佐だ.」


衝撃の事実に言葉が出なかった.そんなわけないと否定したかったが、この雰囲気に圧倒されて口が開かなかった. 堀はニヤリとした笑みを浮かべながら更に続けた. そして堀はオットーが何も言えず何も動けない様子を眺めながら話し始めた。

この東京にある諜報機関J ICDこそが帝国を蘇らせたのだと言った。最初は信じられなかったが、これまでのことを考えると信じてみてもいいかもしれないと思い始めていた. そう考えていた時、突然部屋の中に警報が鳴り始めた。しばらくすると廊下から足音が聞こえてくる。

「おっと,どうやら君のお仲間が助けに来たようだ.さすが天下の米国様だ.感づくのが早いなあ.想定内だが.」

オットーは絶望した.この男がこんなにも落ち着いてるのを見て助けがここまで来ることはないことを悟った.案の定だった.30分もしないうちに警報は消えた.

結局誰も助けに来ることはなかったのだ.堀はオットーに更に追い討ちをかけるようにこう言った. お前も私の仲間にならないか? 栄光なる帝国軍のメンバーになればもうこれ以上の名誉を手に入れられるとオットーを誘惑した.しかし少し食い気味に否定した.彼には祖国アメリカの役に立ってみせるというプライドがあった.

すると堀は微笑み, そうか残念だと言った.すっと拳銃を向け「お前はこの大日本帝国においてある意味英雄となるだろう.」そう言って乾いた発砲音が部屋に鳴り響いた.

こうしてオットーはこの世を去った. この出来事が世界を再び戦火に巻き込むことなるがこのときはまだ世界のほとんどが知らなかった...

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帝国の影 Sanuki-_-Udon @Hyuga519

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