汐白

めいき~

第1話

霧がかかる灯台で、淡い光が船を導く。


蛍の様に雪が舞い、茨を裸足でいくような風。



当たり前の光景も、違う場所では写真だけ。




優しい海の幸とは裏腹に、何処までも冬の港は厳しい。



除雪の雪が巨大な壁を作り出し、壕に雪を入れ。


それでも、雪は等しく舞い落ちる。


優しい景色もあるけれど、現実はどこまでも厳しくて。



隙間風でも入ろうものなら、思わず肩を震わせ。


「今年も来たな」と苦笑する。


怪我をした、小鳥の様だと思えば。


「何を馬鹿な」と苦笑する。



そっと芋を網をのせ、魚と餅も横に置き。



その頼りない、揺られる火は。


希望と、夢灯りの様。



優しさも、辛さも。




夢に心をとられる、人の世みたいだ。



今日も又、雪を降ろさねばと立ち上がり。


林檎の花を想い、巡る季節を待ちわびて。



友に、頼むと声をかけ。


街頭の明かりに、ちらつけば。


それが、冬の花道。


流れる様な光が、汐のよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

汐白 めいき~ @meikjy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ