柱について、はぁ知らんけど

@kaimon924

第1話 古代神話の「柱」というモチーフについて 

 「柱」(はしら)というモチーフについて、である。


 しばらく不思議に思っていたことがあり、以前に受講した、朝日カルチャーセンターのヨガの講座にて、インドの神話の3つの真理「時・空間・柱」の話で、なんで3つめが「柱」なんだろう? ってことで。


 その講座では、脊柱に気を通す(仙骨から頭頂まで竹の節を通すようにぶち抜く)みたいなお話でしたが。


 個人的には「重力(とそれに抗する準構造物)?」かと思って居たわけで。


 その後、たとえば「NARUTO」で「人柱力(読みはじんちゅうりき、意味は人並み外れた怪異をその身に宿した宿命のヒーロー的な)」とか、「小林さんちのメイドラゴン」でエルマが小林さんに「(人)柱になどなるな!」と怒ったり、そう言えば「なにゆえ神様の助数詞は『柱』?」などと思ったりもしたのであった。


 お家建てる時に上げ棟・上棟式・建前。あれは危ないところを乗り越えた一区切りだそうで。


 さて、おじさんも乱読するとセレンデピティに当たるわけで。デウスエクスマキナ。


 宮城谷昌光(敬意を込めて敬称略)の中国歴史小説を読み始めると、さっそく影響を受けて史記や書経や春秋左氏伝に手を出し始めるわけで。


 まあワケワカラン、なぜならば、征服国家の宿命で、かつ儒教のフィルター「怪力乱神を語らず」で、征服された部族の神話の原型が僅かでも残って居るならば幸い。個人的には、分別くさいというか説教くさいという程度の無味乾燥な感想。さらに「書経」は、白川静氏によると後付けが多く、擬古文調の部分になると、孔子先生の頃からでも、第2・3どころか第7・8資料くらいになるらしい。堯・舜や各部族の洪水神(半魚半人とか竜体人面とか)をむりやり各王朝に当てはめたり上に黄帝をくっつけたりの部分か。

 かつて、鳥トーテムを祀っていた種族が、鳥の名を政務官の役職名にあてていた歴史を、「春には鳥がピーチクパーチク」のように読み替えて記録してしまったらそうなるか。


 それでも『古代中国の神話』(白川静)を読むと目から鱗で、その中にどうも

「古代中国では世界(大地)は9本の柱で支えられている」

という神話をもつ部族がいたらしい。


 最初は、円形の大陸の円周上に、9本の柱を想像したが、違う違う、そうじゃない、八角形の頂点と中心の9点のような気がする。また、田んぼの「田」の字のイメージでも、良いのか。


 そして、ユーラシア大陸を、ちょっとピザっぽい柔軟性で想定したのか、

「東南の柱に、共工が悪さをしたので、東南側が低くなり、それで河川は東南の海側に流れてるのだー」

 と考えたそうな。(もしも、大陸を、硬いコタツの天板状で想定していたら、真ん中に柱があるかぎり、周囲の一本が低くなっても、ガタつくくらいで傾きはしないはず。)


 このまま発展すると、大陸移動やプレートテクトニクスみたいな考え方にいくのかもしれないけれども。 


 「亀さんの背中に象さんが乗り、大陸を支えている」世界観と思って居たので、

 古代インドと中国の、意外な神話での繋がりを思ったのであった。


興味深いのは、何らかの上部構造の上側に大地があるので、柱の根元や、亀さんの甲羅とかじゃないんですね。


 まあ、天空や天球をさらなる上部構造と思うのは、やっぱり難しい。


 それなら、まあ、奈落の底には何かあるのかなあ~と縦穴掘ったり、洞窟探検したり、滝壺の底までの深さを計ったり、崖の上から谷底を覗いたりしてみて、うーん地底や海底はえらい深いところにあるようじゃ、つまり僕らの生活しておる大地は何かの上に乗ってるに違いない! と結論づけるのが自然、当然だったのでは。


 もう少し頑張ると「地球ってもしかして球体じゃねーの?」とか「三角形の内角の和は180度を超える非ユークリッド空間なんじゃね? 最短の航路はメルカトル図法では直線じゃなくて曲線になるんじゃね?」ってなるかというと、こいつはちょっと違ってるようで。どうやら、地球が球であることは、水平線の向こうから舟が来ると、灯台やマストの上端から見えてくる、というわけで、地平線や水平線が見える所で、大きな構造物があるところならば、わりと経験的に理解できてたようです。


 もし鄭和が喜望峰を廻ってたら、などと考えてもしょうもないことですが。


 そんで、なんで「人柱」と言うたり「神の助数詞が『柱』」やったりするのかっちゅうと、

 アレやね、つまり、「世界を支えるもの」やから。


 はぁ、しらんけど。

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