第二十二話 告白現場を見て
〜
突然に起きた予想外の告白イベントを目の前にして、あたしはどうすれば良いのかが分からずに、その場に立ち尽くすしかなかった。
え、え? ただ宣戦布告をするだけじゃなかったの? 告白って聞いていなかったわよ。
チラリと
「ちょっと待った!」
そんな中、茶髪の一部がボサボサでアホ毛のように飛び出ている男が、この場の空気を気にしないで声を上げる。そう、あたしの大っ嫌いな
「
この男はこんな場面でも変態発言をするのかい!
彼の言動に怒りを覚えたあたしは咄嗟に
「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!
やめるように懇願する彼だが、あたしがこの足をどかせば、また
「チッ、
足を退かすように言われる。けれど、この男の言うことを素直に聞くのは嫌なのよね。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁ! もうダメ! 一周回って目覚めてしまう! 痛みが快感になってきた!」
うわっ、キッモ! こいつがこれ以上変態になったら今以上にやばいわ。
彼の発言に鳥肌が立ってしまったあたしは、咄嗟に足を離す。
「足が痛いけど、初めて
ダメだ。この変態は病院へと連れて行った方が良さそうだわ。
「
「連れて行ったところで無駄だ。俺もこいつの性癖が異常だと思って、精神病院に連れて行った。だが、検査の結果、特に障がいとなるような病気は見つからなかった」
「その医者がモグリだったんじゃないの?」
「俺もそう思っていくつかの病院へと連れて行ったが、担当した医者は全員が口を揃えて正常だと言いやがった」
どうやら彼が連れていった病院の医者は頭がおかしいわね。この男を見て正常だと言うなんて。
「ゴホン! とにかく話はこれくらいにしよう。
「わ、分かった。でもさっき私が言ったことは覚えておきなさいよ。絶対にあなたを惚れさせてやるのだから」
しかし、数歩足を動かしたところで
「あ、そうだ。
サラリとアドバイスをして再び踵を返し、
どうしてあなたがそのことを知っているの!
思わず心の中で叫ぶ。
え? え? あたしってそんなに態度に出ていたの? 周りに気付かれないように普段通りのあたしでいたはずなのに。
突然
「
あたしの味方になってくれると言ってきた彼女のアドバイスは、確かに的を射ていた。
確かに、
今の状態で
今はレースのことだけを考えるべきだわ。
べ、別に
誰にも言われていないのにも関わらず、心の中でそう呟く。
って、何を考えているのよ! これじゃあたしはツンデレキャラみたいじゃない!
「だ、
「アタイの背後に立つんじゃねぇ!」
「グハアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!」
どうやら勢い良く詰め寄ったことで、
屋上の床に倒れ、彼は痛みに悶絶している。
「オチが付いたことだし、あたしたちは教室に戻りましょうか。そろそろ授業のチャイムがなる頃よ」
「確かにそうだな」
こうしてあたしたちは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます