第十六話 次々と訪れる来客
〜
喫茶店に残ることになり、若干気が重い感じになっていると、扉が開かれ1人の少女が入って来た。
肩にかかるセミロングの黒髪にどこかカリスマ性を感じる独特のオーラを放っている彼女は、トレイセント学園の生徒会長を務めている
「あら? こんなところでお会いするとは奇遇ですね。
「お前は
店内に入ってきた彼女の名を口にすると、
「どうやら2人だけの甘い空間を邪魔したみたいですね。デート中でしたか」
「デートな訳がないだろう。こいつは俺のストーカーだ」
「だ、誰がストーカーよ!」
俺の言葉に不満を持った
「あらあら、貴方のような人にもストーカーが居るなんて思ってもいませんでしたわ」
「だから! ストーカーじゃないって言っているでしょうが!」
揶揄われていることに気付いていないようで、
そんな彼女を無視するかのように、
つまり俺は、2人の少女から挟まれた形となる。
「おい、どうして隣に座る」
「どうしてって、ここがわたくしのマイポジション。毎回座っている席ですから。そうですよねマスター?」
「お嬢さんの言う通りだ。彼女は毎回そこに座っているよ」
チッ、面倒臭いやつの隣の席に座ってしまったものだ。
「そう言えば、毎度金魚の糞のように貴方の側にいるあの男は居ないのですか?」
「金魚の糞? ああ、
金魚の糞と呼ばれるとは、あいつも可哀想だな。だが、大体同じ風紀委員として俺の近くに居ることが多いから、自然とそんなイメージが付いてしまっているのだろう。
そんなことを思っていると、隣からドンとカウンターを叩く音が耳に入ってくる。
「
顔を横に向けると、帝王の取り巻きの女の名前を呟き、
「次こそは負けない。
そう言えば、
「そう言えば、今週末は
そうか。もしかしたらそんな未来もあるかもしれないか。第57回優勝馬のエアグルーヴ、第68回優勝馬のローブデコルテ、第73回優勝馬ジェンティルドンナ。この3頭が選ばれるなんてこともあるかもしれない。
だが、2024年までの
「あのう? お嬢さん? お話も良いですが、何かを頼んでもらえます?」
「あら? ごめんなさい。では、いつものをお願いしますわね」
「はい、いつものですね。はいジョーカプチーノ」
「いつものボケをしてくれと言っているのではないのですが? おふざけも度が過ぎると怒りを助長させますわよ」
「ひっ! すみません。すぐにカプチーノを作らせていただきます」
どうやらマスターは、冗談を言っても許される相手とそうでない者を見分けることができないようだな。
なんとも言えない空間の中、またしても早くこの場から出たい気持ちになる。
おかわりしたこのコーヒーを飲み終えたら、代金を払ってさっさと帰ろう。
そう思っていると、再び店の扉が開かれ、赤いロングの髪に軽くパーマを当て、緩くウエーブがかけられている少女が入ってきた。
あいつは
彼女は走ってこの店に駆け込んで来たようで、息を荒くしている。
「マスター、悪いけれど厨房に入らせてもらうわ」
許可を貰う前に彼女は厨房の中に入り、そして姿を消した。
その光景はまるで、何者かからバレないように身を隠す行動のように思えた。
彼女の行動に疑問に思っていると、再び扉が開かれる。そして茶髪の一部がボサボサでアホ毛のように飛び出ている男が入ってくる。
「
店内に入るなり声を上げる彼を見て、小さく息を吐く。
やっぱりか。
「銀髪のゆるふわロングヘアーに赤い瞳! もしかして君は噂の
「いえ、帰国子女の樫の女王よ」
「やっぱり
「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」
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