第七話 天皇賞・春の出走メンバー発表
〜大和主流視点〜
「おや? これは、これは、嘘吐きの
生徒会の仕事を終わらせ、寮に帰ろうとしていると、
「嘘吐きだと? それはどう言う意味だ? お前に嘘を言った覚えはないのだが?」
「惚けないで良いよ。こっちは証拠が上がっているのだから。
まさか、直接妹に事実を聞きに行く行動力を持っているとは思わなかったな。
だが、彼氏は居ない? どう言うことだ?
何せ、この俺と約束をしたのだからな。どんなことがあろうと、妹の側に居て支えてくれると約束したのだ。
思考を巡らせる中、彼は俺の返答を待ちつつも、ニヤついた笑みを向けてくる。
こいつを調子に乗らせる訳にはいかない。このまま俺が何も言わないでいると、やつの言っていることを認めることになってしまうからだ。
しかし反論をするにしても、どうして妹が彼氏は居ないと言ったのか、その理由が分からない以上は、こいつを納得させることはできないだろう。
さて、どのように言葉を言い繕ってこいつを納得させようか。
妹の心理を想像すると、あることを思い付く。
そうだ。照れ隠しだ! いや、こいつに対して照れ隠しで嘘を吐くとは思えないな。なら、他の理由は?
更に考えを巡らせると、別の可能性に思い当たる。
そうか。分かったぞ! 妹は
ああ、我が妹ながら何ともいじらしい。なら、兄として精一杯サポートをしてやらなければ。例え
決断に至った俺は、長い沈黙を破り、口を開く。
「お前、妹のことを何も分かっていないな。妹は優しく、賢いんだ。お前に彼氏の存在を明かしたら、嫉妬して彼に嫌がらせをするとでも思ったのだろう。だからあんな言い方をして、彼氏の存在を隠したんだ」
「な、何だって! 確かに、
両手を頬に当て、口を大きく開ける
一部の人間にしか伝わらない例えだな。
「それじゃ、
「カチコミ前提で話す訳がないだろう! そもそもお前、そんなに力がないだろう?」
「うん。だから霊馬競馬の勝負を挑んで、そいつの力量を測ろうと思っているの」
「もし、彼が勝った場合は、妹との交際を認めてくれるのか?」
「そんな訳がないだろう? 僕は何があってもそいつを認めない。ただ力量を測りたいだけだよ」
こいつのワガママは、度を過ぎて子どものような発想だな。
「なら、教える訳にはいかない」
「教えろ!」
「教えない!」
「教えろ!」
「教えない!」
「お前らうるさいぞ! 廊下で騒ぎを起こすな! それにお前は風紀委員だろうが! もっと風紀委員の自覚を持って行動しろ!
俺たちが言い合っていると、不良のような見た目の男が声を上げながら近付いてくる。
「お前は、
「
「よし、今までは知り合いの程で話した。ここからは風紀委員長として話す。お前たちの騒ぎは、風紀委員として見過ごす訳にはいかない。だから、週末に行われる天皇賞・春で
「天皇賞・春って、もしかして、今回の出走メンバーが決まっているのか!」
「ああ、先ほど張り出された。
「あら、あら。これは面白い話を聞きましたわね。それじゃ、これはある意味、生徒会と風紀委員の代理戦争のようなものになるではないですか?」
聞き覚えのある女性の声が聞こえ、振り向く。そこには、肩にかかる黒髪のセミロングの女の子が、優雅に佇んでいた。
「
いつの間に背後に居たのだろうか? 全然気付かなかった。
「もし、
「ププ!
「お前ら、良い度胸だな! 喧嘩を売っているのなら、高く買い取ってやるぜ」
「では、100万ポイントで
額に青筋を浮かべ、
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