第十六話 絆アビリティゲット
「今、
「あ、それね。良く分からないのだけど、実験的に試しに贈ってみたのよ。まさか、あなたに贈れるとは、思わなかったわ」
彼女に訊ねると、
「なぁ、絆アビリティって何だ? こんなアビリティ、聞いたことがない」
「それはあたしもよ。なぜか、桜花賞の後にこのアビリティが現れたの。でも、ダイワスカーレットには装備できないみたいで、
絆アビリティとは何か訊ねてみるも、どうやら
「クロは何か知っているか?」
「私も知らない。そんなアビリティ聞いたことがないよ。多分、知っているなら、
クロも知らないのか。彼女は霊馬競馬のことなら何でも知っているようなイメージだったから、正直驚きだ。
「せっかくだし、トウカイテイオーに装備できるか試してみたら? 贈れても、装備可能とは限らないし」
せっかくだから装備をするように送り主から促され、俺はタブレットを操作する。
今回は新しいアビリティも購入したいし、一旦リセットするか。
リセットの項目を押し、全てのアビリティを空白に戻し、早速絆アビリティを装備してみる。
すると、絆アビリティの
装備した途端にアプリがバグる様子もなく、正常に動く。
「絆アビリティ、装備することができた」
「本当なの!」
「それじゃ、トウカイテイオーは、ダイワスカーレットの
装備ができたことを告げると、2人は驚きの声を上げた。
実際に装備可能と言うことで、嬉しい反面、怖くもある。
本当に発動してくれるのだろうか? そもそも、ちゃんと発動してくれるものなのか? 発動するタイミングは? 自動なのか? それとも任意のタイミングなのか?
絆アビリティが謎多きアビリティである以上、装備していたままでは危険な可能性もある。レース中に不発に終われば、装備した意味がない。ただスロットを埋めただけのお飾りだ。
俺はレースに負ける訳にはいかない状況にある。危険を犯してまで、絆アビリティを装備する意味はあるのか? レースに勝つには、盤石だと思えるアビリティの方が良いのではないか?
『帝王! データ競馬に打ち勝つチャンスだよ!』
ハルウララの言葉に、俺はハッとして我に返る。
「ハルウララ」
『
ハルウララの力の篭った言葉に、俺は勇気付けられた。
確かにあの男とエアシャカールのコンビに勝つには、予想を上回る何かが必要だ。
「確かに、ハルウララの言う通りね。実際の競馬も、ゴールするまで何が起きるか分からないわ」
「人気のない馬が1着を取って、大荒れするレースも普通にあるし、データだけが全てではないことを知らしめようよ!」
「そうだな。この絆アビリティで、あの風紀委員長の出鼻を挫いてやろう」
よし、残りは4つのスロットがある。何を装備させようか。
一旦所有しているアビリティを確認する。
持っているアビリティの【スピードスター】【闘魂注入】【登山大好きっ子】に加えて絆アビリティの【
なら、新しいアビリティを購入して最後の1枠を埋めるべきだ。
アビリティ購入の画面を操作し、様々なアビリティを見比べる。
前回、ハルウララで出走した時は、アビリティが購入できないと言う不具合が起きていたが、今回はその心配はなさそうだ。
そう言えば、俺ってバフは積んでいるが、デバフ対策のアビリティは1つも持ってはいないよな。今回、買っておくか。
デバフ対策のアビリティから良さそうなアビリティを探す。
お、これなんか良さそうだな。
これで準備はできたな。
タブレットに表示されている時間を確認する。
まだ時間はあるな。せっかくだし、エアシャカールやゴールドシップの対策もするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます