第十六話 馬生ゲーム 子馬編③
「お願いッス! どうか3以外の数字が出てくれッス!」
「どうしてまた3ッスか! このゲーム、バグっているッス!」
再び出た数字が3と言うことで、
「何を言っているナゾ? たまたま連続で3が出たくらいでバグにしないでほしいナゾ? このゲームはデバッグにデバッグを重ねて、バグの発生を最小限で留めているナゾ? いくら何でも、それくらいでバグだと言わないで欲しいナゾ?」
デバッグにデバッグを重ねた? つまり、なぞなぞ博士は、このゲーム開発に携わったと言うことなのか?
『ナイスネイチャが他の馬たちと並走して練習をしていた。もう直ぐゴールが近い。何着になると思う?』
どうやら、重なったからと言って、必ず他の馬も関わるイベントが発生する訳ではないみたいだな。
「そんなの1着になって欲しいッス! けれど、メタ発言をするのなら、どうせ3着ってオチッスよね。分かっているッス。3着ッス」
やけくそ気味に
『何とか3着に食い込めた。3着に入るためのコツを掴んだ。全てのステータスがアップし、更に3のカードを手に入れた』
「全然嬉しくないッス。予想的中しても、複雑ッス」
結果に満足できない
「私のターンですねぇ。それではぁルーレットを回しますぅ」
ルーレット盤が回転し、針は3で止まった。
「ほら見てくださいナゾ?
先ほどのことを根に持っているのか、なぞなぞ博士は勝ち誇った感じで
そんな中、駒が進み、ダイワスカーレットの居る場所とマスが重なった。
『今日は違う牧場に遊びに来たアストンマーチャン。おや、ゲート入りの訓練をしているダイワスカーレットを発見! せっかくだから彼女と一緒にゲート入りの訓練をしよう。一緒に訓練した結果、2頭のパラメーターがアップし、親密度がアップ。更に5のカードを手に入れた』
彼女がルーレットを回して針が示した数字は6。6マス進むがそのマスはあまり良くないイベントの起きる悲しみマスだった。
『美味しく干草を食べているヤマニンジュエリー。干草が美味しくって止まらない。その結果、体重が増えてしまった。スピードのステータスがダウン』
「あーあ、スピードが落ちたか。でも、運ゲーだから仕方がないよね。別の何かで挽回できることを祈ろう」
クロのターンが終わり、3順目となる。俺の番となるが、カードを持っていないので、ルーレットを回すしかない。
ルーレットを回すと、針が示した数字は6だ。6マス進み、イベントが発生した。
『皇帝の息子として期待されているトウカイテイオー、彼は足が長く、華奢な体付きだったので、見栄えが良くなく、それほど高い評価を得ていなかった。さて、どうしようか?』
選択肢には『デビューに向けて頑張って走る』と『無理せずにのんびり練習をする』がある。ここは『デビューに向けて頑張る』が良いだろう。
そう判断して、俺は前者を選んだ。
『練習に練習を重ねた結果、非常に柔軟性のある動きを見せるようになり、評価が上がった。スピードのステータスがアップし、ファンを10人獲得した』
ファンを獲得したことで、俺が優勝へと一歩近づいたな。
「それじゃ、あたしの番ね。と言っても、ルーレットを回すしかないのだけれど」
『ダイワスカーレットの耳に、兄のダイワメジャーの活躍の話題が聞こえてきた。兄の活躍を誇りに思い、ダイワスカーレットは練習を頑張る。その結果自信が付いた。ダイワスカーレットのスピードとパワーのパラメーターが上がった』
選択肢が起きることなくイベントが終わり、
「アタイもルーレットを回すぜ! うおりゃ!」
元気良くルーレット盤が回転し、針が数字を指し示す。その数字は10だった。
「10マスも進める! これなら、きっと誰かのマスと重なるはず」
誰かとのイベントを待ち望んでいるのだろうか。
当然俺の前を通り過ぎ、イベントが始まった。
「なんでこんなときに限って9じゃないんだよ! 1マス戻るイベントが起きないか?」
いや、スゴロクじゃないから、それはないだろう。
心の中でツッコミを入れつつ、彼女のイベントが始まった。
『
そのようなイベントの選択肢は『調教を頑張る』と『頑張らない』だった。
「そんなの決まっている! ウオッカは凄い牝馬だ! 『調教を頑張る』しかないだろうが!」
前者を選び、イベントが進行。
『調教の結果、動きが鋭くなり、当初の騎手では操ることが不可能なレベルにまで成長した。全てのステータスが大幅にアップし、ファン10人を獲得した』
「よっしゃ! よく分からねぇが、帝王と1位争いをすることができたぜ!」
ファンを獲得して順位が上がったことに喜びを感じたようだ。
「俺の番ッスね。今回俺がやることは分かりきっているッス! 3のカードを使用してルーレットを回すッスよ」
画面を操作してカードに項目を持って行くと、3のカードを使用する。その後ルーレットの数字は全て3になった。ルーレットが回転し、結果は3、当然3マス進む。
「1回目の帝王は9マス進んだッス! その結果、超ラッキーマスだったのを俺は覚えているッスよ」
3マス進み、超ラッキーマスのイベントが発生する。
どうせカードを使わなくとも、3が出ていたような気がするのは俺だけだろうか?
そんなことを思いながらもイベントが始まった。
『ナイスダンサー産駒のナイスネイチャは、同じくナイスダンサー産駒のナイスナイスナイスと同じくらいに走るのではないかと期待されていた。成長具合も良かったが、姉がデビュー後に筋を痛めて引退した知らせを受け、慎重にデビュー時期を決めた。結果、盤石の構えでデビューを迎える準備ができた。全てのステータスが大幅に上がった』
「よし、これでデビュー戦もどうにかなりそうッスね」
「それではぁ、今度は私の番ですねぇ。次はぁ、どんなイベントが起きるのでしょうかぁ? そおれぇ!」
その瞬間、ルーレットが周り、針は数字の6で止まった。
駒が6マス進み、イベントが始まる。
『アドマイヤコージンの初年度産駒であるアストンマーチャンは、ついに競に出される。しかし、なかなか買い手が付かない状況に陥っていた。もう、諦めかけたその時、女性医師の目に止まり、アストンマーチャンは無事に買い手が見つかった。馬主が決まったことで、アストンマーチャンはやる気を出した。根性がアップし、更に8のカードを手に入れた。
「このゲームてぇ、本当に馬の人生を歩んでいる感じですねぇ。まさかこんなイベントまで用意されているとはぁ」
ゲームの感想を
「ようやく私の番ね。まだカードも持っていないし、ルーレットを回すか」
クロがルーレットの項目を押してルーレット盤を回す。回転して止まり、針が指し示した数字は、4だった。
駒が動き、イベントが起きる。
『ヤマニンジュエリーはトウカイテイオーの話題を耳にした。その話を聞いたヤマニンジュエリーは自分も頑張ろうと鼓舞する。全てのパラメーターが上がり、6のカードを手に入れた』
3順目が終わったところで場面が切り替わり、今度全盛期と言うワードが出てくる。
「それでは、幼年期が終わったので、次は全盛期ナゾ? 全盛期はジュニア期からシニア期までのイベントが起きるナゾ? これからは選択肢でどのレースに出走するのかが決まって来るナゾ?」
これから先は全盛期か。いったいどんなイベントが起きるのか、楽しみだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます