第五話 桜花賞、阪神競馬場
〜
色々なことがあった一週間だったけれど、ついに、桜花賞が開催される週末となったわ。
「
「いや、結局俺の方も見つけることができなかった」
「そう、ならお祭り娘の居る部屋に行きましょうか。別に彼女の助力はいらないのに」
「まぁ、そう言うなよ。クロも俺に協力してくれる仲間だ。きっと、何かしらのヒントを得られるはずだ」
あたしと
「おかえり、その様子だと、学園のアイドルは見つけられなかったみたいね」
「その通りよ。でも、時間になったら控え室に顔を出すでしょうし、その時に聞いてみるわよ。それよりも、さっさと恒例の作戦会議をしましょう。レース出走の時間まで、あまり余裕がないわよ」
「そうだね。なら、早速始めようか」
お祭り娘がタブレットを操作すると、空中ディスプレイが現れ、阪神競馬場のコースが表示される。
「今回のG Iレースの桜花賞は、阪神競馬場で行われる1600メートルだね。昭和の時代はおむすむ型と呼ばれていたコースだけど、平成になってから新たに外回りのコースが新設されたの。だから、横長のおむすび型になっている」
お祭り娘がコースの全体図を説明してくれる。阪神競馬場の外回りは、内回りのコースに比べて坂があるから、その辺も頭に入れていた方がいいでしょうね。
「阪神競馬場の内回りは、1周1689メートル、標準的なサイズながら、新設された外回りのコースは、1周2089メートルになっているの。右回りの競馬場の中では、日本最長で、東京競馬場の2083.1メートルを上回っているわ」
次に競馬場の長さに付いて語り始めるお祭り娘に、思わず笑みを浮かべる。
本当に細かいと言うか、丁寧と言うか。まぁ、些細なことでも伝えておきたいと言う彼女の優しさから来るのでしょうね。
「そんな外回りのコースは、
お祭り娘の言葉を聞きながら、コースの内容を頭の中に叩き込んでいく。
いくつかポイントを押さえていた方が良さそうね。
「お祭り娘、当然、このコースで勝つために押さえておいた方が良いポイントとかもあるのでしょう?」
「もちろんだよ。今回の阪神競馬場の1600メートルのスタート地点は、だいたいこの辺りだね」
内回りコースの
「ここから右回りで走って行くのだけど、まずは内回りにある第3コーナーだね。ここが分岐になっているから、間違って内回りのコースに行かないこと。修正できないところまで進んだら、失格になるから。コースの間違いだけはしないでね」
コースの間違いをしないように注意をすると、今度はゴール前に急な坂を指し示す。
「そして最後のゴール前にある坂は、疲れ切った馬たちには厳しいから、どれだけスタミナを持っているのか、どれだけ疲れ難い走りをしているかが鍵となると思うわ。阪神競馬場の外回りのコースは、紛れが生じ難く、馬の実力がストレートに反映されるから、より強い馬が有利となるコースになっている」
「自惚れるつもりはないけれど、強い馬に関してなら、ダイワスカーレットはこのコースの恩恵を得られそうね。なにせ、
「自分で自惚れていないと言いつつ、実際には自惚れているような?」
お祭り娘が苦笑いを浮かべながら、あたしのことを見てくる。
別に良いじゃない。ダイワスカーレットが2冠を取ったのは事実なんだし。
「あ、そうだ。今回は4月だから影響はないと思うのだけど、阪神競馬場の特徴として、馬場の傷みが他の競馬場と比べて進行しやすいと言う特徴があって、梅雨の時期になると、タフなコンディションが要求されるの。VR競馬場は、そこも再現してあるから、もし、6月に行われる宝塚記念とかに出走することになったら、その辺りの注意もしていた方が良いわね」
思い出したかのように、お祭り娘が追加でポイントを話してくれた。
確かに、今は4月だし、雨の影響を受けるコースではないでしょうが、一応頭に叩き込んでいた方が良さそうね。
あたしはタブレットを開き、現在ダイワスカーレットに装備させているアビリティを確認する。
現在彼女に装備させているアビリティは、全部で5つ。
1つ目は
そして2つ目は
3つ目も
4つ目は
そして最後の5つ目は
多分、今回のレースでは、これがあれば十分なはず。油断はできないけれど、今回のレースはこれらを駆使して勝ってみせる。
さて、それじゃ次に、ローブデコルテの対策を考えましょうか。
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