ツンデレヒロインは聡い俺に屈する!?

夕日ゆうや

ツンデレな彼女と俺。

「べ、別にあんたのことが好きじゃないんだからね!」

「そっか。じゃあ、なんで弁当箱を渡してくれるんだ?」

「たくさん、作りすぎたのよ。ブタのエサにしてもいいけど、でもあんたはブタみたいだし?」

「そうなんだね。ありがと」

 俺は素直に弁当箱を受け取ると、パカッと開く。

 唐揚げに卵焼き、ひじきの煮物、オムライス。

 気合い入っているなー。

「頂きます」

「あっ……」

 俺は箸を持ち丁寧に口に運ぶ。

 どう? と言いたげな顔をする冷子れいこ

「うんっ。おいしい!」

 目を潤ませる冷子。

「ぜひ毎日食べたいな」

「それって……!」

 何かを期待する視線を向けてくるツンデレ。

「ふ、ふん。別にあんたに好かれてもいいってわけじゃないんだからね!」

「そう? 俺はけっこう好きだよ。冷子のこと」

「そ、そんな口車に乗せられると思っているのかしら? あんたなんてリンゴ百個分くらいの価値しかないんだからね!」

 リンゴ百個ってけっこうあるような気もするけど。

「分かった。ありがと」

「べ、別によろこぶところじゃないんだからね」

「はいはい。分かっているって」

 ジト目を向けてくる冷子。

 俺は笑って卵焼きを頬張る。

「これからも作ってくれよな」

「べ、別に嬉しいわけじゃないだからね!」

「何も言っていないけどね」

 からかうように返すと顔をまっ赤にする彼女。


 俺ってなんて幸せ者なのだろう。


                            ~完~

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