第19話 人化
世界龍ボルディアとリンとの戦闘をテレビにて見ていた陣。最初は窓から見ていたもののその速さにてゼルベルト以外のキャシーと陣は何が起きているのか見えなかった。
その為リンが戦闘風景を陣とキャシーが見えるように調整してテレビで放送した。
「がんばれーリンさん!あと少し!そこだ!いけえ!」
完全に格闘技の観戦のような感じで椅子に座りテレビのリンvs世界龍ボルディアの戦いを見ているキャシー。
陣はそんなキャシーの様子を見て当初の怒りは若干和らいだ。
「・・・リンのマスターが陣様で良かったです・・・」
そう突然にゼルベルトが呟いた。その言葉の意味が分からずに首を傾げる陣。
「どういうこと?ゼル爺?」
「・・・何度か言っておりますが世界龍ボルディアは世界最強です・・・そのような存在がこうも逃げるのみで何もさせてもらえないというのは・・・もしこれを悪しき心を持つ者が持てばいくらでも悪用が出来ますからな・・・」
「そうかな?リンには範囲がある。範囲外に出られたら何もできないよ?」
「・・・たとえそうであっても騎士たちや領軍のようにこの家にやってくる者はいますし、恐怖にて誰も訪れない禁忌の場所となるまでに一体どれほどの犠牲者が生まれる事か・・・」
「・・・なるほど・・・」
ゼルベルトの言葉に納得した陣。すでに約10万の人間を殺せた事を考えればその後に国の敵となり世界の敵となれば何千万を超える可能性もある。
「でもそんな悪い人のもとにはリンさんは来てないよ!リンさんがいるのはお兄ちゃんが優しいからだもん!そんな事よりもリンさんを応援しよう!」
「・・・確かにそんな起こりえない未来を想像して恐怖することほど不毛なことはありませんな・・・」
「・・・そうだね・・・」
テレビには雷を撃ち続けながら逃げている世界龍ボルディアとそれを異に返さずに追いかけるリン。
そして世界龍ボルディアが逃走を決意してリンの範囲外に逃げようとしている場面が。
「そろそろですかな?」
「え?そうなの?」
ゼルベルトの言葉通りに逃げようとした世界龍ボルディアを地面から出てきた伸びた床が貫通。痛みにより転げ回る世界龍ボルディア。
「うわあ・・・痛そう・・・なんだかかわいそうになってきちゃった・・・」
世界龍ボルディアの様子を見てキャシーが同情する。そしてそれは陣も同様だった。テレビからは世界龍ボルディアの声も時折聞こえてきておりそれも影響していた。
「・・・そろそろ終わってもいいかもな・・・」
そう思っていたところに世界龍ボルディアから陣へ向けての降参の言葉が。
『こ!?降参じゃ!?悪かったのじゃ!?謝るから許してほしいのじゃ!?』
そう世界龍ボルディアの降参宣言を聞き陣がリンへ指示を飛ばす。
「リン、もう攻撃しなくていい。でも逃げられないように拘束してくれ」
『是。了解いたしました』
「じゃあ、ちょっと行ってくる」
陣が席を立ち外に出ようとしたときキャシーも立ち上がる。
「私も行く!」
「キャシーちゃんも?・・・どう思う?ゼル爺?・・・」
悩みつつもゼルベルトへ相談する陣。
「構わないかと・・・だがキャシー?陣様の傍を離れないと誓えるかい?」
そうゼルベルトはいいつつキャシーへ確認するゼルベルト。
そしてゼルベルトにそう聞かれたキャシーは陣に抱き着いた。
「これでいいでしょ?お爺ちゃん?」
そうして陣たちは外へ出て世界龍ボルディアの元へ。
扉を出て外に行き目に入る世界龍ボルディア。それは散々映像で見ていたものの生で見た世界龍ボルディアは金色の龍ではあるがその輝きは嫌らしくなく美しい龍でありその姿は大きく拘束されているものの圧倒されるものがあった。
「・・・これが・・・世界龍ボルディア・・・」
若干その存在に呆気に取られていた陣とキャシー。そんな陣を確認した世界龍ボルディアが話しかけてきた。
『お主じゃな!?お主がこやつの主じゃな!?もうこの家には手を出さん!?二度と顔も見せんことを誓う!?故に助けてほしいのじゃ!?頼むのじゃ!?』
情けない声でそう発する世界龍ボルディア。陣としてはここまで怯えてるしもう二度と来ないだろうと思ったものの家の周囲を確認して畑が無いのを確認するとやはり少しの怒りが芽生えてきた。
「・・・陣様・・・世界龍ボルディアは人化が出来たはずでございます・・・」
『ギクッ!?』
あからさまに態度に出た世界龍ボルディア。ならば龍の姿よりも話しやすいかもと思った陣。
「なら人化してくれ。いう事を聞かないとまた痛い目にあうぞ?」
『うう~・・・分かったのじゃ・・・』
ポン
そういう音が鳴ったと思ったら現れたのは金髪でドレスを着た年齢13か14ほどの女の子だった。
「なんだ女の子じゃないか?」
その世界龍ボルディアの見た目のためについそう言った陣。
「女の子?それは我に言っておるのか?」
人化した世界龍ボルディアは陣の女の子発言を受けて目を見開き驚きの表情となる。
「そうだろ?どこからどう見ても女の子じゃないか?ダメだよ?人様の迷惑になるような事をしたら?」
また女の子と言い今度は説教もした陣。外見年齢が中学生ほどのためについそういう発言をしてしまった。
世界龍ボルディアはそんな自身を女の子と言ってのけ説教もした陣がおかしくおもしろかった。
「ふ・・・ふふふ・・・ぶわはははは!!面白いのう!お主!よし!勝負をしようではないか!!」
世界龍ボルディアが突然勝負を持ちかけてきた。だがそこでキャシーが一言。
「ディアちゃん負けたよね?」
「うぐっ!?」
キャシーにて真実を突きつけられた世界龍ボルディア。陣はどうするのか?
前世はブラックだったから異世界では引きこもりたい プラントスクエア @igo0155
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。前世はブラックだったから異世界では引きこもりたいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます