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Nから連絡が来た。同窓会で知人に、取りついでもらえないか頼んでいたのだ。レスポンスが早い。今日の夜なら空いているというので指定された駅へ。
小学生のあいだは仲が良かったけれどその後はろくに口をきいていない。大学附属で小学校から高校まで一緒だった。ともに美術部で、美大を受験して、と共通点も多く、よりを戻す機会はあったはずだ。Nに避けられ続けていたことを、私は長年疑問に思ってきたのだった。
答えは本人があっさりと教えてくれた。小六の私が絶交宣言をして、Nはそれを律儀に守っていたらしい。
避けられていたと思ったのは私のせいだったのか。愕然として謝ると、Nは自分が私に浴びせたというひどい発言をあれこれと挙げた。お互い様だよ、と笑う顔が大人で、懐かしい気持ちが吹き飛んだ。新鮮だった。
Nに案内されたのは、線路沿いにある狭いビルの二階だ。電車がみえるテラスのある焼き鳥屋だった。赤い提灯がいっぱい飾られていてお祭りみたい。注文のときに特急が通ってうるさかった。
寒くなってきたのでオーバーを着たままでいた。それなのに乾杯はグラスの冷たい日本酒にした。いやらしさのない甘口で好きだった。
焼き鳥も炭火のこうばしさが良くて、肉汁をふくんでぷるんとしたモモとか、とろんと焼けたネギとか、ふかふかなのに濃ゆいレバーとか、ほかもぜんぶ美味しかった。
煙のにおいを髪と服と鼻腔に染み込ませて帰った。シャワーのあとに見たらNからお礼のメッセージが来ていて、八つ当たりなんだけど、まともになりやがってと思う。
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