第2話
「麻子、大丈夫か。」
「うん、思ってたよりも寒いんだね。」
「まあ、昼間とはいえ山の中だからな。日陰も多いし。」
「防寒対策してて良かったね。」
「ああ。ほら、日が暮れる前に帰るんだから急ぐぞ。」
俺らは今、ある別荘に向かっている。山といっても大した高さのところにあるわけでもない。避暑地目的で作られた別荘だろう。
その別荘では、12年前、一家殺害事件が起きた。父親、母親、息子、娘の4人家族で、誰も連絡が取れず、音信不通。不審に思った父親の母方が家に行ってみたが、誰もいなかったため、警察に捜索願を出した。警察が近所に聞き込みを行ったところ、近々、別荘でキャンプをすると話していたらしい。そこで、別荘に行って中を確認したところ、リビングで食事中に何者かに殺された後だった。殺された家族には、顔の皮を剥がされた後にもう一度、顔を縫い付けられた痕跡が残っていたらしい。犯人はまだ捕まっていない。それともう一つ不可解なことがあって、それは
「ねぇ、もう分かったから言わなくていいよ?」
「あぁ、ごめん。ちょっとグロいよね。それにしても、こんな事件があったところも心霊スポットになるのか。」
「この辺りでは、有名なんだよ。顔のない人が歩き回ってるとか、夜になったら子供泣き声がするとか。」
「えっ、夜までいるの?帰るっていってなかったっけ。」
「やっぱ、ここまできたら泊まらないと。」
「まじか。てか、やけに楽しそうだな。」
「まあねー。」
麻子が入念に防寒対策をしていたのはこのためだったのか。泊まることは予想外だったが、一晩くらい大丈夫だろう。写真で見た感じ、そこまで老朽化も進んでいないようだし。...嫌だけどな。かなり。
「やっと着いたね。」
「おー、やっぱでかいな。」
「よし、入ろう。はい、懐中電灯。」
「...準備が早いな。」
そうして俺たちは別荘へと入っていった。
心霊スポット non @Kanon20051001
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