心霊スポット

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第1話

「ねぇ、心霊スポット行かない?」

「やだよ、俺そういうの行かない主義なの。」

「えー、いいじゃん、行ってみようよ〜。案外、楽しいかもしれないよ?」

「いやだよ、それでなんか憑いたらどうするだよ。」

「えっ、幽霊とか信じるタイプ?」

「そんなんじゃないけどさ...。」

「怖いんだ笑」

「うるさい。とにかく行かないったら行かないの。」

「ふーん。つまんないの。」

麻子はふくらましたほっぺの空気をストローでジュースの中にブクブクと押し込んだ。

 それにしても珍しい。麻子はあまり食い下がるタイプではない。どちらかと言うと聞き分けが良いと言われるような子だ。

「そんなに行きたいのか?心霊スポットに。」

「まーねー。でも、和人が行きたくないって言うなら仕方ないもん。」

「てか、どうして今の時期なんだ?とっくに夏は過ぎて、何なら冬だぞ。」

「時期なんて関係ないよ。行きたくなっちゃったんだもん。でも、もういいよ。」

 麻子は残念そうだった。そんな顔を見ると、こっちが罪悪感を感じてしまう。つくづく、俺は頼まれごとに弱い。

「いいよ。行こう、心霊スポット。」

「いいの!?やったー!よかったー!やっぱ、和人は優しいね。」

「まあ、そんなにお願いされちゃな。仕方ないけど、一緒に行ってやるよ。」

「ありがとう、和人。」

 俺は多少、不安はあったものの、麻子の嬉しそうな顔を見るとどうでも良くなった。心霊スポットに行くのは2日後になった。俺は、いいところを見せようと張り切っていた。

 今思えば、ここで断っておけば良かったのだ。後悔することになるなんて、この時は知る由もなかった。

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