23話:猿も木から落ちる
~ 森の
「ねぇ
未だ残る朝霧と木漏れ日により、キラキラ輝く紫陽花に囲まれた森の小道で。
薬屋:
つい先程も見た光景を前に、盾にされた
「
「えぇ~? だってあんなにモフモフな尻尾だよ? 触るなって方が無理でしょ」
「無理じゃないだろ。大人なんだからそれくらい我慢しろ」
「えぇ~? それを我慢しなきゃならないなら、僕は大人になんてなりたくない。そう――大人になんてなりたくない!!」
「「………………」」
大の大人がしょうもないことを二度も口にし、言葉を返すのも馬鹿らしくなった結果だが、これには
「ちょっと二人共~、流石にガン無視は僕も哀しいんだけど? もっと楽しくお喋りしながら行こうよ」
「だったらもう少し真面目にやってくれ」
「そうだぞ薬屋。お前はもうちょっと真面目にやれ」
ただ、それで真面目になる男ではないらしく……。
「何かさー、真面目ってのは僕に似合わないと思うんだよね。僕は真面目になんてなりたくない。そう――真面目になんてなりたくない!!」
「「………………」」
二人の顔には呆れを越して諦めの色が見て取れるが、残念ながら彼がどんなにふざけていようとも、現在“主導権”を握っているのは紛れもなく
彼等が置かれた状況的には、
「それで
「あらま、サラッと話を元の軌道に戻したね。まぁこれ以上ふざけると、マジで嫌われちゃいそうだから別にいいけどさ」
腕を伸ばして背伸びをし、それから
「今向かってる先は、ボクが知っている“
「
「そう。
「あぁ。人間から生み出される“負の感情”だっけ? それが『あやかし』に憑りつくと人間に悪さをするって」
「うん、大体その認識で合ってるよ。より正確を期すなら“負の感情の集合体”って言った方が本質的には近いけど、まぁそこはさして重要じゃない」
今ここで重要なことは、その
「なぁ。俺達がそこに行って本当に大丈夫なのか?
「その可能性が無い、とは言い切れないから“危険な場所”って最初に言ったんだよ。まぁ
「当然だ。ボクが
両手を腰に当て、自慢げに鼻を鳴らす
その隙を狙って
それから今の出来事を無かったかのように、
「
「そうやって
「その場合は――」
「「「ッ!?」」」
3人の視線が、すぐ近くで揺れた茂みに吸い寄せられる。
ちょうど
「あたた……まさかアッチが木が落ちるとは」
(……ん?)
茂みから、腰を抑えながら出て来たのは、“青白い顔”と“明るい茶色の毛”を持つ猿だった。
体長は1メートルにも満たず、せいぜい70センチ程度。
お腹周りの毛は白っぽく、頭の周りは少し色が濃いものの、日の当たり方によっては全体的に「金色」にも見える綺麗な毛並み。
どうやら木から落ちたらしく、腰を抑えているその猿に
「あらま、誰かと思ったらキンジか。久しぶりだね」
「おっと、
「彼は
「ははー、そう言えばそんな話もあったっけ」
言われて納得と頷く猿が、人の言葉を喋るのは今更の話。
この猿も十中八九『あやかし』であり、(コイツも喋るのか……)と困惑している
ともあれ。
かくして現れた猿が、普通に二足歩行して
「初めまして若旦那。アッチはキンジ――
――――――――――――――――
*あとがき
続きに期待と思って頂けたら、本作の「フォロー」や「☆☆☆評価」を宜しくお願いします。
お時間ある方は筆者別作品「■黒ヘビ(ダークファンタジー*挿絵あり)/🌏異世界アップデート(純愛物*挿絵あり)/🍓ロリ巨乳の幼馴染み(ハーレム+百合*挿絵あり)」も是非。
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