22話:お酒を抜く薬
両手を膝に手を突き、「ぜぇぜぇ」と荒い呼吸を繰り返しているのは、桃色の髪を持つパーカー姿の男性。
その正体は言わずもがな、ほんの十数分前には
「遅いぞ
「しょうがないじゃん。僕ってばほら、完全にインドア派の人間だし」
言って、ここで
「そういう訳で
「何がそういう訳だ。薬屋には二度と触らせない」
「まぁまぁそう言わず」
「嫌だ」
そのまま彼を盾に「グルルルッ」と威嚇する様な声を発している。
(あらら、
それで言えば、そもそも
昨日『薬屋:
どうやら二人の間に何があったらしいが、それを
「なぁ
「あー、白蛇様の状態ってそんな酷いの? まぁ
静かに息を潜め、旅館の中を覗こうとして。
それで引き戸に掛けていた手を、
「……なるほどね、今ので何となく察したよ。どうやら白蛇の旦那、飲んじゃ駄目な酒を飲んじゃったみたいだね」
「飲んじゃ駄目な酒? そんな酒があるのか」
「うん。人にもお酒との相性ってあるでしょ? それは『あやかし』も同じで、何でも飲める『あやかし』もいれば、そうじゃない『あやかし』もいる。白蛇の旦那は特に厄介で、何でも飲めるけどモノによっては酷く酔いやすいんだよ。日頃から気を付けるようには言ってるんだけど、如何せん無類の酒好きだからねぇ」
諦めたように「やれやれ」と肩を竦める
この態度には
「参ったな、今日一日は駄目そうな感じか。……まぁでも、明日になれば酔いも醒めるだろ。カピの助には悪いけど、今日一日は生贄になって貰おう」
謝罪の意味を込め、旅館の中に居るカピの助に手を合わせる
「多分だけど、今日一日じゃ白蛇様の酒は抜けないぞ」
背後の美少年から不穏な言葉が届き、それを
「
「1ヵ月? その間ずっとあの状態か?」
「そう、中々に地獄でしょ? だから今日は“お酒を抜く薬”を渡す筈だったんだけど……まさかその約束を忘れるくらい飲んじゃうとはね」
「あー、そう言えば『
薬を飲ませることさえ出来れば、白蛇様の問題は解決する。
あの状態の白蛇様に薬を普通に飲ませるのは難しいかも知れないが、水に混ぜて酒だと言えば多分飲んでくれるだろう。
そういう考えの元に薬を要求した
さも当然という顔で
「無いよ」
「え?」
「薬なら無いよ」
「……え、どういうことだ? 元々今日は薬を渡す予定だったんだろ?」
「うん。元々はそのつもりだったんだけど、今朝になって薬を調合しようと思ったら“在庫が切れてた”。いやー、ちゃんと在庫管理はしておかないと駄目だね」
言って「はっはっはっ」と明快に笑う
何も面白くない
そこへ追い打ちをかける様に、旅館の中から「もう辞めて~」とカピの助の悲鳴が届いた。
先ほど見捨ててしまった
「1ヶ月もあのままじゃあカピの助が可哀想過ぎる。
「ん~、その材料ってのが市場にほとんど出回らない代物だからねぇ。急ぎとなると自分で採りに行く必要があるけど、ちょっと危険な場所にあるから一人では無理かな。まぁ二人が手伝ってくれるなら採りに行ってもいいけど」
「しょうがない、緊急事態だからな。俺に何が出来るかはわかんないけど、やれるだけやってみる。――
ここで
しかし、それでも白蛇様の現状を良しとはしないのか、最終的には渋々と頷いたのだった。
――――――――――――――――
*あとがき
続きに期待と思って頂けたら、本作の「フォロー」や「☆☆☆評価」を宜しくお願いします。
お時間ある方は筆者別作品「■黒ヘビ(ダークファンタジー*挿絵あり)/🌏異世界アップデート(純愛物*挿絵あり)/🍓ロリ巨乳の幼馴染み(ハーレム+百合*挿絵あり)」も是非。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます