終章 青薔薇の城・下
カルロッタ先生とアマデオさんは一週間もかけずに見事な薔薇の花園を整えて、ソフィーと僕が幸せに暮らす邸宅を作ってくれてから帰って行った。
「まずは人間の権利者全てに使い魔を送って、『青薔薇の乙女』をこの青薔薇の城へ人身御供として差し出させるようにするわね。彼女達が迫害される前に保護して、しかるべき教育を受けさせて、いずれじゃレムリア大陸でもここで暮らすのも自由に選べるように……」
断ったら軽く脅しましょう、と悪い顔をするソフィーも美しいと思う。
案の定、皇帝達は震え上がったらしい。否むならば次は帝都を薔薇の城にするのも楽しそうと言われたのだ、さぞや怖かっただろう。
「でも……しばらくは『青薔薇の乙女』は現れないんじゃないのかな?」
ソフィーもジャックさんもシャルルさんも己の『青薔薇の乙女』を見つけたのだし……。
「もう」
ソフィーがすねてしまった。あれ、どうしたんだろうと僕は思って……気付いた。
「もしかして……ソフィーと僕の……?」
そうだ、僕達の子供……!
最初に愛し合った時だけに、吸血鬼は子を成せるんだっけ。
でもソフィーは口を押さえて、おずおずと言うんだ。
「その、嫌かしら……?わたくしは、もしもジャックが少しでも望まないのなら、」
僕は黙ってドレスの首元をはだけて、首筋を見せる。
「大好きなソフィー。ずっとソフィーの側にいるから」
ジャック、と手を離した口元から白い牙が見えた。
ほら、ソフィーの愛する『幸せの青い薔薇』はここで待っているんだよ。
一つの命を永遠に分かち合うその時を。
「僕を愛してよ……大好きなソフィー」
いつでも、いつまでも――幸せの青い薔薇が咲いている棘の城の中で、時を忘れて僕達は愛し合い続ける。
【完結】貴方達が長年に渡り迫害していたのは魔女ではなくて『青薔薇の乙女』でした――後悔?今更ですわよと最愛の吸血姫が言っています―― 2626 @evi2016
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