少女ふたりが電車に乗り、世界の終わりから逃れようとする。
その様子を描いた小説です。
ただ、その「世界の終わり」の描写がすごい。
天使が落下し、電車のモニターには謎のテロップが流れ、五十億の芋虫がはいずり回る。
そして少女たち2人の存在も次第に……。
混沌とした光景が描かれているけど、ビジュアルがまざまざと想像できますし、その状況の中で、「2人」の心の動きが展開していく。
とくに、変わりゆくふたりがお互いをつなぎとめようとする様子は、異様でありつつも胸を締め付けます。
「世界の終わり」はこういうものかもしれない。そのとき最後に残された2人は、こういう気持ちかもしれない。
めくるめく幻想のなか、そんなたしかな「実感」をもたらしてくれる作品。
3000字で味わえる幻想体験を、ぜひ。