第12話 身勝手


 楽園と


 白紙と


 蝶は


 出逢う



 楽園は歓喜した


 お調子者の白紙と笑い


 舞う蝶に見惚れた



 白紙は驚いた


 楽園の色に染まり


 踊る蝶と戯れた


 

 蝶は笑った


 楽園は求める全てを持っていた


 白紙は自分に未来をくれた



 1つと


 1枚と


 1頭は


 幸福を手に入れた



 けれどそれらは気が付いた


 楽園は蝶に恋をして


 白紙は楽園に染められたくて


 蝶は白紙に未来を見出だした


 三者三様の求め方


 満たされることのない求める方向


 一緒にいても気まずくなって


 言葉が中々出てこなくなって


 少しだけ辛くなって


 少しだけ飽き飽きしてきた



 蝶は白紙に夢中で だけど私の花と光に寄る


 

 楽園は蝶に心酔で だけど僕を染めていく



 白紙は楽園に盲従で だけど私に未来を語る


 

 自分たちは何をしているのだろう


 何がしたいのだろう


 分からなくなってくる


 何故か苦しくなってくる



 いつしかそれらはどうしてか


 退屈だった昔が恋しくなった



 それらはもう一度何かに頼む


 自分を元に戻しておくれ


 

 平和で素晴らしいままの自分に


 

 白くて汚れなき自分に



 求めながらただただ舞っていた自分に



 あの頃の愚かで夢見がちで求めているばかりの


 あのどこまでも恵まれていた私たちに


 どうかどうかお願いです



 きっと自分達にとっての幸福はあれだった


 退屈というのはきっと幸福の先にあるもの



 幸福をもう見落としたりしないから


 自分達にチャンスを下さい


 

 

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