第22話 クソメガネ・フォーエバー

 あの日以降。


 俺と梓さんは週末に俺の部屋で逢瀬を重ね、愛をはぐくんでいる。


 今日も梓さんの絶頂に至る嬌声が響き渡る。


 だが。


 会うたびに梓さんの『経験人数』は増えていっており、先日とうとう3桁を突破していた。


 一体、どこでナニをしているのか。


 そんな疑問は、俺の「メガネレベル」が上がったことで解消された。


 新しいスキル、「千里眼」が生えたことにより、離れた場所にいる梓さんの様子を覗くことが出来るようになったのだ。


 まあ、ヤッてるヤッてる。


 異世界の貴族のおぼっちゃまとか、その悪友とか、さらには貴族当主のおじいちゃんとか、年端も行かない少年とか。


 あるときはスラムに行って薄汚い男たちに輪姦されていたり、隠密集団みたいなのに攫われて、目出し帽をかぶった怪しい連中にもてあそばれていたり。


 さらには山賊に攫われて1週間連続不眠不休で慰み者になっていたりなど。


 どこのAVだよってくらい穴という穴に注ぎ込まれておられました。


 しかも、そのすべてにおいて梓さんは嫌がることなく嬉々として肉の交わりを受け入れていらっしゃる。


 臭くてきったねえ山賊とかでもお掃除おしゃぶりとか当たり前なんだぜ?


 いまだゴブリン編とかオーク編は見られていないが、それも時間の問題なんじゃないだろうか。


 あ、もちろん、異世界だけじゃなくてこちらの世界でも励んでおられました。


 会社の社長とか上司、同僚はコンプリートしていたし、リアル浮浪者相手にも半グレの若者たちにも、腹の出たおっさん集団にも喜んで腰を振って上の口も下の口も後の穴もたいへんおいしそうにいただいていらっしゃいました。


 まあ、寝取られ放題ですわな。



 え? 俺はそれを黙って見ていたのかって?


 ああ、悩みはしたさ。


 だけど、千里眼で梓さんが他の男にヤラれている姿を見るのが……まあ、興奮したんだ。


 俗にいう、特殊性癖に目覚めてしまったってやつだな。


 寝取られを指摘すれば、かならず俺たちの関係はぎくしゃくする。


 別れに至る可能性も高いだろう。


 だが、俺はそれは嫌だ。


 どんなに汚れようと、俺は梓を愛してしまったのだから。


 さいわい、梓さんには避妊や性病を避けるスキルが生えていたので、俺以外の子種で孕む危険はない……と思いたい。


 さらに、梓さんも俺のことを愛してくれており、そのステータスには俺への「深い愛」という表記もあるのだ。


 その証拠に、今俺のモノで突かれまくっている最中の彼女は「避妊」スキルを外してくれているのだ。


 これって、俺のは孕みたいって思ってくれているってことだよね。

 

 え? そんな状態で毎週サカっていてまだ妊娠しないのかって?


 それは、俺も「避妊」スキルを使っているからだ。



 俺に生えてきたスキルは、『自在受精』とかいうふざけた名前で「避妊」だけでなく「孕ませ」とか「男女産み分け」も選択できる。


 で、梓さんには「避妊」の方を使っているわけだ。


 「孕ませ」のほうは使ってみたのかって?


 もちろん使ってみましたよ。


 誰にって?


 まずは異世界で山賊から助けた3人だな。


 貴族の娘さんと俺の子供は時期伯爵家当主になる予定だ。


 冒険者の彼女は、子育てのために冒険者を引退してギルド職員になったし、商人の娘さんは、家族を増やして親の商店を再興するんだと息巻いてたから3つ子にサービスしておいた。


 ほかにも、いろいろ望まれて子種を各所に植え付けました。


 あ、俺、異世界では神の使いで英雄扱いなんだわ。


 なんでも、クソ、メガネクウソ、メイガーニーって、こっちの世界では『神のような尊いあなた様』みたいな意味で、神を称える言葉として事あるごとに皆が口にしているのだとか。


 で、何度も何度も俺のあだ名クソメガネが呼ばれるから、俺はこっちの異世界に呼ばれたらしいんだ。


 そんないきさつがあって、俺は神様的な扱いを受け、その子種を欲しがる名家だの女性だのが殺到してきたんだね。


 結婚している夫婦の夫が自分の妻を連れてきて「ぜひ子種のお恵みを!」なんて言われることもしばしば。

 初潮が来てまもない娘を親が連れてくるなんてことも日常茶飯事だ。


 ちなみに、梓さんの方は『メガネザル』ってあだ名があったみたいで、こっちの世界でのメガーネ、ザールメイガーニー・ジアールーって言葉が『女神のようなあなたに愛を』みたいな意味らしく、慈愛の女神みたいな感じでこっちの世界に呼ばれたみたい。


 だからなのか男性を惹き付けていろいろハメちゃうようになっちゃったみたいだな。



 でも、他にも原因は有ってだな。


 俺が梓さんのステータスを見ていると、経験人数が増えるごとにどんどんレベルも上がっていって、魅力のステータスがべらぼうに高くなっていったんだよな。


 だから、異世界だけでなくこっちの世界でも男を惹き付けたんだな。うん。



 で、そのステータスの上昇だが、どうやら俺にも適用されているようだ。


 あいかわらず自分のステータスは自分で見られないのだが、メガネレベルが上がるにつれて、女性からの秋波アピールが目に見えて増えてきたんだ。


 まあ、『メガネ魅了』なんて変なスキルも生えたんだけれど、それを使わなくても女性が寄ってきてしまうんだ。


 ご遠慮したい相手とかは、『隠密』スキルを使ってどうにか切り抜ける感じだ。


 で、もちろんそのステータスはこっちの世界でも有効なようで。


 ちなみに、俺の経験人数はとうに4ケタを超えている。


 こっちでは、近くの女子高はコンプリートしたし、二つの中学を攻略中だ。そろそろ小学校にも広がっていくだろう。


 当然、『性豪』スキルは会得している。



 だから、俺の本命、経験豊富な梓さんもいろんな汁を垂らしてアへ顔絶頂痙攣中になるわけだ。


 あ、『性豪』スキルだけど、梓さんにもあったね。





 と、いうわけで。


 4桁越えの俺と、3桁越えの梓さん。


 互いが互いの寝取られに気付かぬふりをしながらの交際は続いていく。




―――― 完 ――――






 

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クソメガネレヴォリューション 桐嶋紀 @kirikirisrusu

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