roomlight

@jo_kak

第1話

誰にも知られない場所

誰も知らない時間 それは秘密のドア

あなたを引き入れて鍵をかける

待っていたんだ ただ愛し合うために


窓からの光は薄くたよりない

カーテンを曳きながら

これが最後かもしれないと思う

それは自然で とても怖い

終わらせることが出来るのは

あなただから


あなたを抱いた夜に

僕たちは終わった

なぜそうせずにいられなかったのか

それは今でも答えが出ない


あなたを力づくで

愛することもできるけれど

全てを投げ打って

跪いて差し出した魂

あるいはそれは愛 

それは僕の真心

気の済むまで抱いて


脱がされていく

指先が触れるだけで

苦しくて 手を伸ばす

掴むのは細い髪

ぼんやりと照らされている壁の模様が

僕を嗤う仮面の男にも

この身を焼く業火にも見える


目隠しされてもあなたを感じて

全身が痺れるようだ

窓辺の薔薇が散る


早く終わらせてしまいたい気持ちと

このまま長く続いてほしい気持ちとが

交錯する

それは僕たちの関係と似ている

あなたを連れて行きたい

もっと遠く


未来に期限があるかのように

あなたは急いでいる

なぜ僕を抱くの

たった一瞬でも 他の誰でもない僕を

愛して

それだけでいい


僕が溺れているところが見たいなら

心も身体も

もうあなたの思うままに堕ちている


思いつく限りのいやらしいことを

僕にさせて

どんな恥ずかしいことでもできる

あなたの喜ぶのがみたい


あなたのすべてを受け入れて

未来への絶望も

全部呑み込んで溶かしてあげる

今はそうして

あなたの中の炎を

絶えず燃やして


もう抑えきれない欲望を

あなたはさらに追いつめる

目隠しが解かれ

暗い瞳に射抜かれた

その沼の深い深い底を覗く

僕は震えながら果てた


それを見届けてあなたは

やっと声を上げた

その後も何度も達しながら目を閉じて

いく筋かの涙を流した

そして僕の胸へゆっくり倒れた


ああ なんて 綺麗なんだ

悲しいけれど

このために僕は存在すると思われるほど

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

roomlight @jo_kak

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ